炎と風の反逆者

小森 輝

文字の大きさ
62 / 70
小さすぎる世界への抵抗

炎と風の反逆者 62

しおりを挟む
「伝宝、繋がっているか?」
『もちろんです』
 命が問いかけると、すぐに伝宝さんの声が頭の中に返ってきた。この速さ、やっぱり最初から念話で盗み聞きしていたな。まあ、今は念話が繋がっていないほうがダメなのだろうから命もその辺は触らないようだ。
「校舎に人は残っているか?」
『少し待っていてくださいね』
 30秒ほど待つと返答が返ってきた。流石、仕事が早い。
『まだ、校舎には2名残っています』
 命が苦虫を噛み潰したような顔をした。
「わかった。いなくなったら、また連絡してくれ。それと、皆にはもう少し頑張ってくれと伝えておいてくれ」
『了解。そっちも頑張ってね』
 まだ校舎に人が残っていたか。
 ここは命の判断を仰ぐしかない。
「どうする? 探すか?」
「それしか方法はないだろうな」
 校舎はこの規模の教室が10ヶ所もあるほどの大きさだ。探すのは、かなり骨が折れるだろう。
「虱潰しに探していくしかないだろうな。楽ではないだろうが、ここで待っていても無駄だろうしな」
「そうか。じゃあ、校内案内の続きと行こうか」
「そうだな」
 気が乗らないが、それでも楽しみを見出しながら教室を出ようとしたが、ドアまで行く前にそれは開いた。
「まさか、あちらから出てきてくれるとはな。探す手間が省けてよかったよ」
 命は不敵な笑みを浮かべている。
 それに反して、俺は新たに入ってきた男女の2人を見て動揺していた。
「誘……なんで、そいつと一緒にいるんだ」
 男の方が冷たく言い放った。
「ん? 誘の知り合いだったのか」
 説明を求めるためにも俺のほうを見るが、命だって顔を合わせている人物だ。
「俺の友人だよ。俺を連れて行くときにも会っただろ?」
「そう言われると……見覚えが……あるかな?」
 最後が疑問形になっている。これは間違いなく覚えていないな。
「男のほうが忍海紀彦で、女のほうが杠茜音だ」
「誘の友人なら手荒な真似は出来ないな」
 軽く紹介してやると、命の警戒が解けた。
「誘、何でお前はそっちにいるんだよ」
「何でって俺は……」
 俺は此方が正しいと思って此方にいる。
 しかし、紀彦を説得できるだけのことを俺は出来ない。
「誘、あんたそこの女にたらしこまれてるんじゃないの?」
「そ、そんなことないぞ」
「そうだぞ。流石にそれは失礼と言うものだ」
 茜音も俺が自分の意志で此方にいることを信じていないようだ。
「誘、どうする? 話し合いなんて出来る状態じゃないと思うが?」
「お前と話し合うつもりはない。俺たちは誘を説得するために来たんだからな」
 紀彦はやる気だ。ならば仕方ない。
「すまない。紀彦、茜音」
 こうなったら紀彦と茜音には、ここから出て行ってもらわなければいけない。2人しかいないんだ。ここから放り出しても、2人なら安全に地上に下ろすことが出来る。
 親友と幼馴染に攻撃するのは心が痛むが、いずれ、時が来れば分かってもらえるだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

処理中です...