インキュバスには負けられない

小森 輝

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 僕の高校生活なんて、こんな感じだ。
 スポットライトが当たっているのは菊臣で、僕は脇役。ただ、菊臣のおこぼれで女子とはなせるのなら、他の冴えない生徒に比べるとまだましなのかもしれない。
 しかし、僕だって健全な男子高校生。女子とただ話すだけでは満足できないこともある。
 そう言った日には、家に帰ってからパソコンでいかがわしいサイトを開いてしまう。
「まあ、菊臣だってこれぐらいやってるだろうし……。逆にやってなかったら不健全だよな……」
 そんな言い訳をしながら、ネットの海を漂っていく。
 正直、この時間が一番不毛な時間に感じる。高校生なんだから、この時間で勉強したら成績が上がるんじゃないのかとか、そんな罪悪感を抱えてしまいながらも探すことをやめることはできない。
 そんなことをしていると、うっかり変なサイトを開いてしまった。
「なんだ? これ……」
 そのサイトは、周囲に過剰なほど真っ赤なバラのイラストが敷き詰められていた。正直、画面の彩度が高すぎて目が痛い。
 しかし、そのお陰か、真っ赤なバラを避けるために画面中央にある吹き出しのようなものへと視線が移動してしまう。この目が痛くなるようなバラの演出は画面中央に視線を動かすための作戦立だったのだろうか。
「そこまでして見せたいものってなんなんだ?」
 注目させたいからといって、こんなに不快感のある見せ方をしたらサイトを開いた人がすぐに閉じてしまいそうだ。そんなリスクを抱えてまで見せたいものとはいったいどんなものなのか逆に気になってしまう。
「えっと、なんて書いてあるんだ?」
 変なサイトなので、あまり長居はしたくないのだが、気になってしまっては仕方がない。
 僕はバラに囲まれた吹き出しの中にある文字を読み始めた。
「なになに……。ここをクリックするだけで、あなたの欲望は全て満たされます、か。またすごく胡散臭いことが書いてあるな……」
 クリックすると、悪質なクリック詐欺のサイトにつながるのか、それともいかがわしい動画が見られるサイトが出てくるのか、それは分からない。そんなリスクを犯してまでクリックする気はないので、URLを検索して、危険なサイトかどうかを検索してみないことには先へは進めない。
「けど、クリックって……どこだ……?」
 アイコンのようなものがあるわけでもないし、文字をクリックするわけでもなさそうだ。
 そうやって、文字をなぞっていくと、最後にあった「*」の文字だけクリックできることに気づいた。
「これだけ主張しといて、クリックする場所がこれって……」
 なんだか至る所がちぐはぐで素人感満載のサイトなので、詐欺サイトではなさそうなのだが、それでも危険は犯したくないので、好奇心を抑えてURLを検索してみようとした。
「あれ……マウスが……」
 一旦、サイトを閉じようとマウスを動かしたのだが、なぜかマウスが吹き出しの中から出て行かない。
「やばいやばい! もう詐欺サイトに入ってたのか!?」
 何度もマウスを動かしても、どこへ動かそうとしても、マウスが吹き出しの外に出ていこうとしない。
「と、とりあえず、サイトを消せばいいんだから……」
 キーボードのEscキーやTabキーなどいろんなボタンを押してみるのだが、サイトが消えることはない。
「し、仕方ない。電源を消して再起動してみるか」
 そう思って、電源ボタンを長押しするのだが、画面が消えることはない。
「な、なんで消えないんだ? もう形振りかまっていられない!」
 最終手段でパソコンの電源を引っこ抜いた。壊れる可能性はあるのだが、もう他の方法が思いつかなかった。
 しかし、これで、一旦、問題は先延ばしにできたはずだ。
「次に起動したときにどうなってるか……」
 そう思っていたのだが、問題はまだそこにあり続けていた。
「はぁ? なんで? 電源抜いてるのに……」
 確かに、パソコンの電源は抜いた。それなのに、画面は吹き出しの周りにバラが敷き詰められた画面のまま変わってはいない。
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