インキュバスには負けられない

小森 輝

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「いやはや、なんて言い訳をするかと思えば、飼い犬が暴れたって。私を犬に例えたとしても暴れてはいないだろ」
 そう言うが、物理的には暴れてはいないが、僕の精神をかなり荒らしたのは事実だ。
「それより、本当に他の人には見えないのか?」
「ん? あぁ、そうだよ。ただし、君のように悪魔と契約した者には見えるようになる」
「悪魔と契約したって……僕がいつ契約したって言うんだよ」
 そんなことをした覚えはない。ホラー的なものは苦手だったので、こっくりさんだってしたことがない。それなのに、悪魔と契約だなんて全く見に覚えがない。
「え? でも、あのサイトをクリックしたじゃないか。あれが契約の証だよ。だから私はあんな派手な登場をしたんじゃないか。まあ、少し煙が多すぎたけれどね」
「あ、あのサイト!?」
 確かに、あのサイトはパソコンのコンセントを抜いても消えなかった。それは悪魔の仕業だったからなのだろう。
 しかし、あれで悪魔と契約だなんてもう回避しようがない。
「あれで契約とかズルいだろ! マウスは外に出ていかないし、パソコンのコンセントを抜いても画面がついたままなんて、クリックするしかないじゃないか!」
「いやいや、普通はあんな怪しいサイトにはいかないんだよ。知ってるかい? あのサイト、観覧数が今まで100にもいってないんだよ。5年もあったのにね」
「じゃ、じゃあ、僕がたまたま契約したってことじゃないか」
「いやいや。たとえ、あのサイトに行ったとしても君以外は全員ブラウザバックしてるんだよ。中央の吹き出しにマウスカーソルを持って行って数秒がたたないとロックはかからない仕組みなんだ。つまり、君は選ばれし人間だってことだよ。凡人の振りはやめたまえ。このむっつりスケベ」
 むっつりスケベという言葉には、少し頭に来る部分があるが、怒りをぶつける相手が全裸の男なので勢いをそがれてしまう。
「分かった。お前が悪魔で、僕と契約したってことは分かった。だから、早く服を着てくれ」
「服? 言ったじゃないか! 服は人間が着るもの。悪魔である私には必要ないとね」
「お前には必要なくても僕には必要なんだよ! なんて言うか……気が散る!」
「そうかそうか。まあ、私はインキュバスだからね。君に求められるのも仕方があるまい。君は私の契約者。つまり、私は君のペットみたいなものだからね。だけど、私の体は格別。人間では満足できなくなるかもしれないけれど」
 そう言いながら腰を突き出すと、さっきまで萎れていた股の逸物がそそり立っていた。
「やるかよ! そんなの! 男同士でなんて!」
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