インキュバスには負けられない

小森 輝

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 ここで冒頭へと戻ってくるわけだ。
「俺と付き合ってくれ!」
 僕に告白してきたのは菊臣だった。もちろん、「付き合ってくれ」というのは、買い物に付き合うとか、そう言う意味ではない。菊臣から感じる緊張した雰囲気で察することができる。この「付き合ってくれ」というのは、お付き合いしてほしいという意味の「付き合ってくれ」なのだ。
 菊臣はイケメンだ。それに、僕とは小学生の時からの付き合いで、お互い、いろいろと見知っている。そんなイケメンから告白されたとなれば、誰だってOKして菊臣の彼女になるのだろう。
 ただし、それは告白されたのが女性あれば、の話だ。
 僕は男だし、もちろん、菊臣も男だ。昨日の悪魔の言葉が蘇る。同性愛、BLというやつだ。
 しかし、一応、僕が勘違いしているという可能性もある。答えを出す前に、それを確認しておかなければならない。
「それは、買い物に付き合ってほしいとか、そう言う意味じゃ……ないんだよな?」
「…………」
 確認のつもりだったのだが、僕の言葉で酷く傷ついたのか、菊臣は口を堅く結んで押し黙ってしまった。こんな悲しそうな菊臣を見たのは初めてだ。確かに、告白した相手からそんな言葉が出てきたら脈なしと思ってしまうのも無理はないだろう。
「ごめん。一応、一応、確認をしたかっただけなんだ」
「いや、いいんだ。そう言う反応になるのも分かっていたから……。でも、何もできなくなる前に、この気持ちを伝えたかったんだ」
「何もできなくなるって……?」
「だって、精志郎、最近、お前の周りに女子がたくさんいるじゃないか。中学まではそんなことなかったのに、高校になってから急に……。しかも、そのことを聞いたって勘違いだって話を逸らすし、それに、今日は何か悩み事があるみたいだったし……。その前にって……」
 僕の周りに女子が多いのは菊臣が原因で僕がモテている訳ではないし、今日、悩み事があったのもあの悪魔のことだ。全て、菊臣の勘違いなのだ。
 しかし、その勘違いも今となっては関係ないこと。例え、勘違いがなくなったとしても、菊臣が僕に好意を寄せているという事実は変わらない。
 そう言えば、学校にあの悪魔が来たとき、あいつは僕が勘違いしていると言っていたが、それはまさかこのことだったのだろうか。
 いや、もしかすると、これもあの悪魔の能力かもしれない。インキュバスという悪魔についてはよく知らないが、サキュバスの男版というのなら、他者を欲情させることだって可能かもしれない。
 そうに違いない。全てはあのインキュバスに出会ったことが原因だ。
 そうなれば、話は早い。まずはあいつを問いつめるのが先だ。
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