インキュバスには負けられない

小森 輝

文字の大きさ
58 / 59

58

 サキュバスも居なくなり、危機は去ったのだが、当然、そんなこと菊臣には分かっていない。
「ほら! 何もたもたしてるんだ! 早く入れればいいじゃないか!」
 しかし、アワセは自分が敗北していることが分かっているので、菊臣を襲うことはない。
「菊臣……。もう大丈夫だから、ズボン、はけよ……」
 サキュバスによって服を消されていた僕は、拘束が外れるのと同時に服も元通りに戻っていた。今、この場で服を着ていないものは、菊臣とアワセが下半身だけ露出していて、そして、インキュバスが相変わらず全裸だった。
「あ、あれ? 精志郎、いつの間に服を……?」
「いいから、早くズボンをはけ」
 床に落ちていた脱ぎ捨てられた菊臣のズボンを拾い、投げつけた。
「お、おう……」
 状況も理解していないし、納得もいっていない様子なのだが、とりあえず、ズボンははいてくれた。
「これで、一件落着だね。さあ、早くここから出よう。この空間はサキュバスが作り出した空間だからね。そのサキュバスがいなくなったから、この部屋は直になくなってしまう。消滅に巻き込まれる前に早くここから出るんだ」
 ここでサキュバスが嘘をつく理由もないので、さっさとここからでた方がいいだろう。
「菊臣、とりあえず、ここから出よう。もう大丈夫だから。菊臣は部活を途中で抜けてきたんだろ? 早く戻った方がいいんじゃないか?」
「それはそうだけど……」
 菊臣が気になっているのは、やはりアワセのことだった。サキュバスから解放されたアワセなのだが、ズボンもはくことなく、ただただ立ち尽くしている。
 そんなアワセに優しく肩に手をおく人物がいた。
「アワセ君は私に任せておいてくれ。彼はあのサキュバスから過度な射精管理をされていたみたいだからね。後は私が適切な処理をしておいてあげるよ。なに、私だって性欲を司る悪魔、インキュバスなんだから、エネルギー吸収という意味でも利点があるんだ。だから、心配せず、アワセ君は私にまかせておきたまえ」
 今更、この悪魔の言葉を信じないなんてことはできない。なので、アワセのことはインキュバスに任せることにした。つまり、僕に任されたことは、悪魔について全く知らない菊臣のことだ。
「とりあえず、菊臣、ここから出よう。話は学校に向かいながらでもいいだろ?」
「精志郎がそれでいいっていうなら……」
 まだアワセのことが気になっているようだが、僕が菊臣の背中を押し、一緒にここから出ることにした。
 これで、サキュバスとの一件は幕を下ろしたというわけだ。
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……