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4章: 血縁なき絆
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「ウチの店は下品な趣味はおかねえんだ。帰んな」
睨み合いの末、店主が遂に介入する。
「な、何よ! アタシら、魔導科なのよ? 店から出て行けって言うの?」
「魔導科だろうと、ここが俺の店で、そっちが客であることに変わりはない。客が店を選ぶように、店だって客を選ぶのは当然だろう? それとも、オタクらの学校に抗議でもするか?」
「・・・・・・いいわ。行きましょう。こんな店」
赤髪の少女は踵を返し店を出た。
残された取り巻きの二人は顔を見合わせ、彼女に続く。
「全く」
店主は再びカウンターの奥に入ると、居合わせた客達も徐々に落ち着きを取り戻した。
「大丈夫か?」
レムダは床にしゃがみ込んでいるアイシャに手を差し伸べる。
その手が意外だったのか、アイシャはしばらく呆然としていた。
「あ、ありがとう」
ともあれ、さいっごはレムダの手を取り立ち上る。
「じゃあ、ボクも・・・・・・」
「待てよ」
急ぎ足で合流しようとするアイシャを店主が呼び止める。
あの人相で睨まれてアイシャはドキリと立ち尽くす。
「外は寒いぞ。コーヒーくらい、飲んでいきな」
「でも」
目配せをした先でレムダも頷いた。
「じゃあ」
淹れられたコーヒーの湯気が揺れている。
アイシャもようやく落ち着きを取り戻した。
「ごめん、気持ち悪いと思ったよね?」
「何の話?」
「君がゲオルグ家の人間で、その血を取り込むために近づいたってこと」
「ああ、別に驚きはしなかったよ。最近、魔導科でそういう考え方があるってことを知ったばかりだったから」
「ボクの家は、その血統説の信奉者なんだ」
「そうか」
「一族には代々、綺羅星の魔導士を輩出していたんだけど、ボクにはなぜかその才能が受け継がれなかった。だから、親からはせめて魔力の有る人間と結婚してその素養を家系に取り込めばいいって言われていてさ」
「そんなの、アイシャが自分で決めるべき事だろ。ましてや赤の他人のアイツらが――」
「赤の他人、というわけでもないんだよね。あの中心にいたのは、ボクの姉なんだ」
「何だって?」
睨み合いの末、店主が遂に介入する。
「な、何よ! アタシら、魔導科なのよ? 店から出て行けって言うの?」
「魔導科だろうと、ここが俺の店で、そっちが客であることに変わりはない。客が店を選ぶように、店だって客を選ぶのは当然だろう? それとも、オタクらの学校に抗議でもするか?」
「・・・・・・いいわ。行きましょう。こんな店」
赤髪の少女は踵を返し店を出た。
残された取り巻きの二人は顔を見合わせ、彼女に続く。
「全く」
店主は再びカウンターの奥に入ると、居合わせた客達も徐々に落ち着きを取り戻した。
「大丈夫か?」
レムダは床にしゃがみ込んでいるアイシャに手を差し伸べる。
その手が意外だったのか、アイシャはしばらく呆然としていた。
「あ、ありがとう」
ともあれ、さいっごはレムダの手を取り立ち上る。
「じゃあ、ボクも・・・・・・」
「待てよ」
急ぎ足で合流しようとするアイシャを店主が呼び止める。
あの人相で睨まれてアイシャはドキリと立ち尽くす。
「外は寒いぞ。コーヒーくらい、飲んでいきな」
「でも」
目配せをした先でレムダも頷いた。
「じゃあ」
淹れられたコーヒーの湯気が揺れている。
アイシャもようやく落ち着きを取り戻した。
「ごめん、気持ち悪いと思ったよね?」
「何の話?」
「君がゲオルグ家の人間で、その血を取り込むために近づいたってこと」
「ああ、別に驚きはしなかったよ。最近、魔導科でそういう考え方があるってことを知ったばかりだったから」
「ボクの家は、その血統説の信奉者なんだ」
「そうか」
「一族には代々、綺羅星の魔導士を輩出していたんだけど、ボクにはなぜかその才能が受け継がれなかった。だから、親からはせめて魔力の有る人間と結婚してその素養を家系に取り込めばいいって言われていてさ」
「そんなの、アイシャが自分で決めるべき事だろ。ましてや赤の他人のアイツらが――」
「赤の他人、というわけでもないんだよね。あの中心にいたのは、ボクの姉なんだ」
「何だって?」
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