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1章: 学院内権力組織

決着

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 腹にせよ、頭にせよ、自分より背の低い女の子を殴るのは忍びない。
 それに、斧を振り回す彼女に身体で体当たりするのはシュロムにとっても危険だった。
第一、これは本来魔法の技術を競う勝負のはず。
「しょうがないな」
「え、あっ!」
 先ほどまで両足を踏ん張らせて斧を振るっていたティラの両足が徐々に地面から浮いた。
 空中に浮いたことで重心配分が変わり、彼女の身体より重い両手斧が下に回り込む。
 当然それを握りしめていたティラの身体は上下が逆さまになり、言うまでもなくスカートもずり落ちる。
 現れたのはこれまた水色と白の横ストライプ。
「縞パンだと!!」
 この公式戦に及んで、シュロムが始めて絶句した瞬間だった。
「ちょっと、いやん!!」
 羞恥に耐えかねた彼女は斧を手放しスカートの裾を握りしめる。
「見ないでよ! もう!」
「そういうわけにいくか! これは公式戦なんだぞ!」
「じゃあ、お願いします! 見ないで!」
 威圧が駄目なら哀願に切り替えるとは何と値打ちの低い女だ。
「それにしてもお前、この前のフリル付きに加え今日は縞パンとは。さては、実は案外エロイ性格なんだな? その隠れた性的欲求不満を解消するために、隠れた下着だけは香り付きのわざと派手な柄を――」
「ち、違うってのっ!!」
 ティラは顔を真っ赤にして反発する。
「それとも何だ? お前、男に見られる前提で、そういうパンティーばっかり履いているのか? 派手な下着を男共に見られたことで止めどなく溢れてくる屈辱感に、ひそかな悦を感じているのか! だからお前、何振りかまわずパンツ見せつけて来るんだろ!」
「それも違うって! ていうかアンタって、そういうイカれた妄想がどこから次々と湧き上がってくるのよ?」
「ふっ、経験ってところかな。俺は今まで数多くの女性達のパンチラを目にしてきた。だから彼女達の性格と、履いているパンツの関係ってものが見えてくるんだよ。時には驚かされることもあったさ。だがお前のようなマニアックな趣味の持ち主は初めてだ」
「決め顔で終わった人間の言葉を連発しないでよ! いいからもう下ろして!」
「おっと、本題を忘れていた。いい加減、決着を付けようか」
「え、ねえ、私をどうするつもり?」
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