お米大好き農家のおっさんが異世界転移した物語 〜とりあえず田んぼ作るか〜

りんご定明

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「さて、また出発するか」

「はーい」

 それからなんか眠くなったらしい2人は寝た。ちなみに寝た時刻は午後7時。かなり早い。






「お!煙の火元が見えてきたな」

「ん!」

 2人は目撃してしまった。煙がくすぶる馬車の残骸と、わずかに残っている血の跡を。

「どわっ!なんだこれ?横転事故………ではなさそうだが………」

「ねーねー。まだ新鮮な血の匂いがあるよ」

 古代緑聖魁皇破滅竜のスペックはとても優秀である。

「血…………無理…………」

 おっさんは血液恐怖症である。よって、気絶する。





「ふんふん。これは、剣の跡か。盗賊か?ゲームの定番っちゃぁ定番だな。ラノベでもよくあるけど、ひと足遅かったか」

「…………おとうさん」

「ん?なんだ?」

「おとうさんじゃないみたい」

「ギクゥ!」

「他人?でも肉体は同じ。魂だけが違う」

 古代緑聖魁皇破滅竜はスペックがいい。それも、魂のわずかな差で本人か本人じゃないかがわかるほど。

「んーーと、なんて言うんだ?あー。憑依?みたいな感じよ」

「違う。魂の根本的な雰囲気が同じ。恐ろしいほどに」

「まぁまぁ、イイじゃん!別に俺のことおにいち………「断る」…」

「さ、行きましょう」

「うぅ、拗ねてやる………うぅ」

 言い終わる前に拒否された雪哉はとても立ち直れないようだ。10分の9は彼が幼女趣味だからだろう。





「あ、そーだ。名前だ!名前」

「ん?なに?変態?」

「名前知らない。だから教えて」

「やだ。変態に教える名前はない」

「オーマイガッ!せめて、苗字でも………」

「………ない。………」

 なにか恥ずかしそうに顔をうつむけてボソリという。

「え?ファッツ?リプレイ。カモン!」

「…前………………ない。………………ないの!」

「ビッグボイス!カモン!」

「名前が無いのォォォォォォォォ!」

「うわっちょ!」

 『咆哮』をのせた、物理的な力を持つ言葉が雪哉の身体………いや、おっさんの身体を突きぬける。

「ひぃー。びっくりした。てか、名前ないんだ」

「…………ん」

「へー。なら、アレにしようかな?それともこれにしようかな?」

 虚空を見つめながら、ふへへと笑う雪哉に、ゾクッとした古代緑聖魁皇破滅竜。

「よし!俺が名前をつけてやる!」

「いらない」

「またか。でも、聞いてから決めるのも遅くないぜ?」

「なら早くして」

「一つ!ポチ「却下」
一つ!コダーイ「却下」
一つ!ペロ「却下」
一つ!リューク「却下」
一つ!ワカサギ「却下」
一つ!リョク「却下」
一つ!花子「却下」
一つ!タマ「却下」
一つ!エメラルド「却下」
一つ!グリーン「却下」
一つ!ラボ「却下」
一つ!緑「却下」
一つ!ロリ「却下」
一つ!ドット「…却下」」

「ぐぬぬ、ならば、これだ!まめつ……「死ね。変態。未来永劫現れんな。カス」」

「あんまりだァァァァ!」






「うーん?私はなにを?」

「あ、おとうさん!やっと起きた。血を見て気絶してから全然起きて来ないんだもん」

「ハハハ、ごめんな。血が昔から苦手でねー」

「よし、馬車をあさりに行こう?おとうさん♪」

「え?あさる?え?どゆこと?」

「だから、案外なにか残ってるかもよ?生活に役立つものとか」

「だからってなー。死んだ人もいるかもしれないし、勝手にあさったら呪われるかもよ?」

「大丈夫!その時には私が追い払うから!」

 どこまでも明るい古代緑聖魁皇破滅竜。そんな姿に癒されながら馬車の中に行く。そんな中……

(こんにゃろー!猫の皮引っかけてんな!いつかあばいたるで!)

 雪哉は1人闘志を燃やしていた。





「うへぇ。やばい量の血だな」

《スキル『血液恐怖症耐性』を獲得した!》




「ん?なんだこりゃ。食べ物?にしてはぶにぶにだし……」

「あ、それ死体だよ?」

「どわらっせい!死体!?誠にすみません!気づかずに踏んでしまい誠にすみません!だから呪わないでー!」

「…………おとうさん?」

「うわぁー!」

 脇からいきなり出てきた古代緑聖魁皇破滅竜に1メートルほど飛び上がって驚くおっさん。



「お!皮鎧だ。これで最低限の防御ができるね」

「お、ありがとう」

「へへ!どういたしまして」

 などというコント?を血に塗られた馬車の中でやるほどには気力が回復した模様。

「マッチはいらないかな?」

「そーだね。いざとなったら私が竜状態になって、ブレスの一つ二つで点火するからね」

「そうだ。名前決めてなかったな」

「うん!やっと気がついてくれた」

「んーー?じゃぁ、ルベルってどう?」

「ルベル………ん?ルベル?ルーベル……ルベール………ルーベリア………………………やり直し」

「うぉふ。なら、グリドラ!」

「グリドラ………グリーンドラゴン……却下」

「クリル……で、どう?」

「グリルに似てるので却下」

「難しいなー」





「お!宝箱みたいな箱発見」

「とーい!」

     べき!

 古代緑聖魁皇破滅竜の一撃が箱を強打し、見事真っ二つに割れた。



「お金?硬貨みたいだな」

「んーー?これはキンメダイ帝国が作った、大祝金貨だね!キンメダイ帝国は滅亡したけど、金貨は保存状態がいいから、今でも使われるね」

「金貨1枚でどんな感じの物が買えるの?」

「だいたい、庶民が贅沢しなければ、1年はなんとか持つぐらいかな?」

「なるほど。小判3両分か」

 なぜかそこで、小判換算してしまうおっさんであった。


──────

りんごマンただいま参上

最近睡眠不足でフラフラしてきた。

寝たい。

(σД・`)ノシ  おやすみぃz…z…zZ…ZZZ
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