【BL】「私のミルクを飲んでくれないか」と騎士団長様が真剣な顔で迫ってきますが、もう俺は田舎に帰ります

ノルジャン

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 チュン、チュン、チュン……。

 窓の外で小鳥が鳴いている。

 朝の清々しい太陽の光りが寝室のベッドを照らし、俺の顔に降り注いできて眩しい。

 むくり、と起き上がるとぼーっとした頭で、いつも自分が寝ているベッドとは違うと気づく。匂いも違う。
 スミスさんの男らしいセクシーな香りでいっぱいだ。
 
 匂いの大元は、スミスさんのシャツだった。俺にスミスさんの匂いがするシャツ一枚が着せられていて、ダボっと俺の膝くらいまで隠れていた。
 
 これは彼シャツというやつか……!

 昨日びしゃびしゃになった俺の体はスミスさんが綺麗にしてくれたのかさらさらとしている。

 隣を見ると、スミスさんが満足そうにニヤけながら寝ている。

「イチゴ……ミルク…………」

 スミスさんの寝言で、昨夜の情事が全て思い出された。

 (うわぁあぁああぁぁあ!!!)

 体全体が一瞬で沸騰したかのように熱くなった。

 俺ってばスミスさんとシちゃったんだ!
 しかもあんなに激しくねちこく求められて、そして最後の方は俺もそれに応えてしまっていた。
 「もっとスミスさんのミルクちょうだい」とか「奥突かれるの好き♡」とか、他にもすっごい恥ずかしい言葉をたくさん言わされた気がする。
 あの後も散々中にミルクを注がれて飲んで、そして俺のミルクもスミスさんに搾り取られて飲まれた。
 おっぱいからも、ちんぽからも。

 (うぎゃーーー!!)
 
 記憶から消し去りたいのに、しっかりと全て覚えてしまっている自分が憎い。

 けどめちゃくちゃ良かったんだよな……!

 おっぱいとちんぽから乳が出てくるとか、よくわかんない現象だったけど、王都ではああいうミルク飲みプレイが流行っているんだろうか。
 
 そして、これが噂で聞いていた一夜の愛……。

 (ワンナイトラブ……ってやつ!)

 都会では、そういう一夜だけの大人の関係ってのがあるって死んだじいちゃんが自慢げに話してたことがあった。

『じいちゃんも若い頃はブイブイ言わせてたもんよ!』

 じいちゃんの若い頃とか全然想像できなかったけど、王都ではよくあることって言ってた。(ブイブイって何だよって思った)
 スミスさんてばカッコいいし、騎士団長様だからモテる。寄ってくる人も多いしさ。
 こんなことは日常茶飯事なんだろうなと思うと、ちょっと胸がズキンと痛む。

 激しかったけど、最中はずーっと甘い雰囲気で、スミスさんは「私の番い可愛い」とか、「好きだ」とかいっぱい言ってくれて、甘やかしえっちをしてくれた。
 えっち自体もスミスさんは上手くて手慣れていた。
 番いって単語は初めて聞いたからよくわかんなかったけど、王都で流行ってるというえっちな関係をさす言葉なのかもしれない。セフレ、みたいな。
 
 それにしても。
 
 (幸せだった)

 恥ずかしかったけど、満たされた。
 一夜だけの相手をあんなに甘やかしてくれるんだ、恋人にはさらに甘くなるんだろうな。
 スミスさんの特別になれる相手が羨ましい。
 
 ちょっとタイミングが突然すぎたけど、田舎に帰る俺に最後の思い出としてスミスさんがえっちしてくれたんだろう。俺がスミスさんに好意を持っていることはバレバレだったかな。

 それに、俺みたいな地味な移民族の男を相手にしなくても、他にも相手はたくさんいるはずだから、きっと仕事が忙しくて溜まってたんだろうな。

 そこで俺はハッ!と気づいてしまった。

 (そっか! スミスさん、俺と同居し始めちゃったからそういう相手を家に呼べなかったんだ!)

 うわうわ! 俺ってばなんてことを……。

 こんなのんびりしちゃいられない。早くこの家から出ていかないと。

 起こさないようにそろーっとベッドから降りて、音を立てないようにスミスさんの部屋を出た。

 そして自分の部屋に戻り、着替えて、ここにくる時に背負ってきたボロボロのカバンに自分の荷物を詰めた。

 鞄も服も、スミスさんが買ってくれたものがあるけど、田舎で使うには品が良過ぎるから持って帰るのはやめておこう。
 きっとスミスさんが孤児院にでも寄付するだろ。
 畳んでベッドの上に置く。

 スミスさんとの思い出は、昨夜十分に出来た。それ以上はいらない。

 着せてくれていたスミスさんの匂いのする大きなシャツをぎゅっと抱きしめた。まだ彼の残り香で溢れたシャツ。はぁ、と熱いため息が出てきた。

 でももう出て行かないと、スミスさんが起きちゃう。

 ガチャ、っと自分にあてがわれた部屋のドアを開けると、スミスさんがちょうど起きてきていて、俺の部屋に入るところだった。

「イチゴ、起きていたんだね。ベッドにいないからどこにいってしまったかと思ったよ」

「す、スミスさん……っんんぅ」

 起きぬけのとんでもない色香を放つスミスさんが、甘ったるい顔で俺に口付けをしてくる。

「昨日抱き潰したつもりだったのに、もう平気で起き上がれるんだね」

「うひゃッ」

 ひっくい声の囁きを耳奥に送り込まれて、ちゅ、と耳にキスされてビクビクと体が震える。

「ベッドに戻ろう? そこでゆっくり今後のことについて話そうよ。蜜月期の過ごし方とかさ、君の故郷の東の村にも一緒に行きたいし」

「は? ……み、みつげつき? おれのこきょうにいっしょにいく???」
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