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35 冒険者ギルドの教育会議

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  冒険者ギルドでは、ある問題を抱えていた。

 冒険者の討伐依頼の達成率の低さから、魔獣、魔物の間引が出来ず増えている問題だった。


  ギルドの会議室には、Aランクのパーティーのリーダーサイコス、Sランクのアントスとダンが呼ばれていた。

「今回、皆を呼んだのは冒険者の再教育をするためだ。」


「「「再教育?」」」

集められた全員がどういう事かわからず説明を聞いた。

どうやら、新人冒険者が無理をして依頼の失敗が増え、ベテラン冒険者は自分の力量に合わない依頼をして大怪我や死亡してしまう人が増えてしまい、冒険者の依頼達成の数が減ってきているということだった。  


「なるほど。要するに俺たちに新人の指導をして欲しいと言うことか?」

  ダンが答えるとギルドマスターは、静かに頷いた。

  「基本的にどう言った指導をするかは、これから決めようと思う。そこで、アントスにお願いがある。」


突然、ギルドマスターから話を振られたアントスは驚きながらも話を静かに聞いた。

「何でしょうか?」

「死の森での実戦訓練の指導を頼みたい。にも協力を頼んで欲しい。」

 死の森という単語が出てきた時、周りで話を聞いていたもの達は蒼白顔になった。

「彼?まさか、ジークと一緒にやれということですか?ジークをまた利用するんですか!?」

アントスは、ギルドマスターの話を聞いて抗議の眼差しでいう。


「うっ。それは…………その。冒険者の中ではあいつは一番死の森に精通しているし、何より指導があいつだとわかれば新人達の士気も上がると思うんだ…………。」

 アントスは、精通…確かに今でも死の森に住んでるしねと思いながらも考える。

そして、

「ジークには、俺から聞いてみるがもしアイツが断ったらこれ以上巻き込まないでやってくれ。」


「わかった。ダンとサイコスには、剣や魔法の指導頼みたい。」

ダンとサイコスが率いるパーティーには、剣と魔法に精通するものがいるためだ。

基礎から応用までを叩き込むようにして欲しいらしい。

「「了解した。」」


こうして、着々と話が進み会議は終了した。













アントスは、これからの事を考えていた。

「はぁー。ジークに言ったらきっと断ったりはしないと思うけど……指導者には向かないんだよな…………。」

ジークの普通は普通ではなかった。
  冒険者が数人で倒す魔物をジークは、一人で倒してしまう。それも、下手したらデコピンで……。
  



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