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6 新妻の務め(1)
しおりを挟む芳原暖斗はまだ高校生なのに結婚してしまった。しかも相手はヤクザだった。しかも、しかも、しかも男だったのだ。暖斗は男なのにヤクザのお嫁になってしまったのだ。姉の有香の結婚式の日に遅れて行ったばっかりに……。
暖斗十六歳の秋だった。
暖斗の夫になった男は名を如月義純という。歳は三十そこそこ。厳つい顔は整っていて、低いちょっとかすれた声はどすをきかせると怖い。百九十はありそうなガタイのいい大男で屋敷の子分さんたちには若頭領と呼ばれている。
今、その義純が暖斗を目の前にして言う。
「お前も俺の嫁になったからには、きっちりと妻の勤めを果たしてもらおう」
義純はその鋭い目で暖斗を見据えて言った。
(うっ、そんなこと言ってもどうすればいいんだよ)
暖斗は義純の視線に射殺されながら思った。義純はフッと視線を和ませて続ける。
「俺に逆らわなきゃあ、どうって事ねえさ」
和ませた笑顔に釣られて暖斗はコクコクと頷いた。義純は非常に亭主関白な男のようだ。
暖斗が頷くと義純は手を叩いて脩二を呼んだ。
「お呼びで、若頭領」
「こいつを頼む」
(また、こいつかよ)
脩二は義純の屋敷で采配を振るっている男だった。まあ執事といったところか。
歳は義純より二つ三つ下か、板前のような短髪。一重の切れ長の目の、左の眉の辺りに傷痕がありる。当たりのソフトな義純と違ってごつごつとした岩の感触がある。どうやら暖斗の教育係でもあるらしい。
「姐さん、ではこちらへ」と脩二に案内された所は風呂場だった。子分さんが二、三人待機している。
広い畳敷きの脱衣室に薄い敷き布団のようなものが敷いてあって、暖斗が驚く暇もなく脩二と子分さんたちによって暖斗の衣服はぱっぱと剥ぎ取られた。
「何するんだよ!」 暖斗は喚いたが、すぐ布団の上にうつ伏せに押さえつけられた。両足を広げられお尻の中に管が入れられ液体が絞り込まれた。
「や、や、止めろ!」
「姐さん、お静かに。若頭領にお約束なさいませんでしたか?」
そう言って脩二が子分さんに合図をすると、暖斗を押さえつけていた子分さんたちは手を離した。
「し、したけど…」
暖斗は自由になってパッと身を起こした。
「十数えてからトイレに行って下せえ」
「うっ……」
先程のは、では…。暖斗は十数えて脩二の示したトイレに駆け込んだ。
暖斗がトイレから出てくると「では風呂に入っていただきましょう」と浴室に追いやられる。
広い浴場で浴槽は檜で出来ていてよい香りがした。脩二が一緒に入って来て体中隈なく尻の中まできれいに洗い流してくれた。
風呂から上がるとさすがにぐったりとする。子分さんが持って来たウーロン茶を一息に飲み干した。
体を拭った後はまた横たえられて両足を広げられ、脩二が後孔の中に何やら薬のようなものを丁寧に塗り込めた。そして最後に何かを押し込まれた。
「な、何を入れたんだよ」
「姐さん用の玩具ですよ」
脩二は暖斗の体に拘束具を付けながら言った。
「と、と、取ってくれ」
暖斗は自分の身体に突き刺さったものが気持ち悪くて腰をくねらせながら言ったが、
「姐さんの為です」と聞き入れてもらえず、そのまま着物を着せかけられ、その上から後ろ手に手錠を嵌められ義純の寝室に放り込まれた。
「若頭領がおいでになるまでここから出てはいけませんぜ」と脩二が怖い顔で念を押す。
まだ義純は来ていなくて、暖斗は自分の尻に刺さったものを取ろうとしたが、後ろ手に手錠をされていては、穿かされた相撲取りのまわしのような拘束具は脱げなかった。
その内どういう訳か体のほうが熱くなってきた。しかし暖斗のモノは拘束具できっちり締め上げられていてどうしようもない。お尻の中に入ったものが動くたびに暖斗の体を刺激する。
(きっとあいつがお尻に塗ったのは何かの薬だったんだ)
暖斗はクッソーと思いながら布団の中で一人悶えるしかなかった。
何度も悪寒のようなものが襲い掛かってきて暖斗の意識が薄れかかった頃、部屋のふすまが開いて義純が顔を覗かせた。
「どうした、死にそうな面しているぜ」
義純は暖斗の枕元に来て顔を覗き込んで言った。
「く…薬…、使ったのか…よ…」
暖斗は熱い息の間に切れ切れに訴えた。
「別にどうって事はねえ、興奮するだけだ。うちはシャブはご法度なんだ」
義純がしゃあしゃあと答える。
「お、俺の気持ちは…」
どうなるんだよと思ったが言葉が続かない。
「お前の気持ちもよくなる」
義純が決め付ける。
(その気持ちじゃない~~っ!!)
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