黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

226話 夜なべ

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夜が更けて酒場の閉店間際、俺たち3人は夕方からしこたま酒をのみまくっていた。

「うーもう飲めーーん」
「あーーー」

どたん!と音を立ててエドガーとガグが机に突っ伏した。

「ははは、同着かー!」

いやー飲んだ飲んだ。
ガグもいい飲みっぷりだった!
こいつも見どころある!

ここで宿をとっている俺たちはもう何も気兼ねなく飲めるのだ。
だけどここでそのままとはいかないから部屋に退散せねばな。
ガグのやつも運んでやらねえとな。

ガグは俺より背が高いのが気に食わないが、話してみると面白いやつだった。
あそこにつける旅人の輪のことを聞いてみたら、やっぱりあれは衝動買いで俺と同じくムキになって競り切ったらしい、そんで更に自分にははまらなかったのだとか。アホである。自分のことなのにサイズを間違えるなんて。
でもまあ俺が思っていたよりはデカそうだ。
それは良かったなと思う。
俺以上に身長デカいのに普人族の普通サイズぐらいだったら可哀想だしな。

あと最初に言い淀んでいた金の使い道はなんと娼妓を身請けしたいのだとか。
ガグは3年前にこの町に来た時に立ち寄った娼館で買った娼妓をいたく気に入り、この街に拠点を変えて金を貯めているらしい。
好きなやつのために頑張れるのは男らしい事だと思う。
俺が金を貸すことは無いがガグのためなら色々手を貸してやってもいいと思う。
俺が帰ってきたら一緒に仕事を受けたいものだ。

さて、2人を運ぶ前に残った料理や酒を胃袋に詰め込む。
残すと罪悪感に苛まれてしまう。
ここの料理は肉料理が多く、口の中の肉の油をこの領特産の美味い冷えた麦酒で流し込む快感が堪らない。
緩くなった酒も魔法ですぐに冷やせてしまう。

料理と酒を片付けたら俺は自分に回復魔法をかけて酔いを飛ばす。
楽しい酒盛りだった。
代金を払い2人を抱えて退散する。
2階の通路途中にある俺とエドガーのへやの入り口にエドガーを置いておき、ガグを部屋に運んでやる。
部屋に入ると少し懐かしい感じがした。
そして雑にガグをベッドに放り込む。
最初にエドガーと飲んだ時もこうしたもんだ。
ガグも雑に扱ってもちっとも起きやしない。
明日寝坊してたらエドガーっぽくて面白いな。
ガグの部屋をでて施錠の魔法で鍵をかけてやった。

それから俺たちの部屋の前で寝ているエドガーを抱えて部屋へ入った。
こっちも雑にベッドに転がしても全く起きる気配がない。
スースーと寝息を立ててすっかり安心し切った様子だ。
無防備すぎるので服を全部脱がせてやる。
酔っ払いの大怪獣もまだ穏やかだ。
これをおかずに女王戦で残した残弾を吐き出して寝たいところだが、まだやり残した事がある。
ギルドに売る治癒の魔道具に使う魔法陣の写しを作っておかなければならない。
これが無いと5千万が手に入らないのだ。
本来は正式な契約が決まった時点で渡す事になっていたのだが俺が暫く離れていては渡せないので先に渡してしまおうと思ったのだ。
制作部門の部長かあの秘書の姉ちゃんにでも渡しておけば大丈夫だろう。
とにかく早く抜きたいのでさっさと作ってしまう。
魔法インクに魔力を流して操作して、紙の上に魔法陣を描いていくだけだ。
もう魔道具自体いくつか作っているので慣れている。
あえて少し欠けた物を描き、欠けた部分は普通のインクで書き足せばこれ自体が魔法陣として機能することは無い。
全部書いてしまうと術式の隠蔽の機能で読めなくなってしまう。
今回紙に描いたものはこれまでと違い隠蔽をしっかりとしたものだ。
ギルドが独占するならば魔法陣を読まれるとダメなのでしっかりと隠すようにした。
魔法学園で罠の魔法陣の試行錯誤をしていたので隠蔽処理はお手のものだ。
あとは明日の朝にギルドに持っていくだけ。
そして昼にはいよいよ出発だ。

寝息を立てる裸ん坊のエドガーを見る。
今日はもう少しだけ起きていよう。
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