黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

228話 寝坊

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「タイガ」

エドガーの声が聞こえる。

「タイガ、起きろー、離してくれ、暑い!」

そうか、暑いか。
抱きしめたまま眠っていたエドガーを更にきつく抱きしめる。

「あつい!」

俺もそう思う。

「タイガ、寝坊だぞ!」
「え!!」

飛び起きて窓の外を見るとすっかりと影は短く太陽は天高く登っている。
時間は昼前か、今日の昼過ぎには街を出なければいけない。
寝過ぎた!
いつもならば時間に正確に寝起きできるはずなのに、寝ていても氣を保ちあたりの気配を感じ取っていたりするのに、今日は完全に意識を失っていた。

昨晩あれからどうなったんだ、失敗か、わからんが支度をしなくては。
まだ、普通に移動しても間に合う頃なのが救いだな。

「珍しいな、タイガが寝坊なんて。
ごめんな、俺もすっかり寝過ごしちまったぜ」
「いや、まだ間に合う時間で助かったが、ちょっと予定がくるったな」
「なんかあったのか?」
「ちょっとギルドに届け物がな。
まだ間に合うか?エドガー後でお使いさせるかもしれん」
「おう、いいぞ」

ギルドに渡そうと思っていた魔法陣、直接手渡せればいいが時間なさそうならエドガーに頼もう。

「とりあえずいつも通り鍛錬と支度するか」

そういうとエドガーが自らこちらにやってくる、朝勃ちしっぱなしで。

「今日は向かい合わせでもいいか?」
「気にせんのならいいが?」

俺はなんと今日は朝勃ちしていない。
本気で意識無くなってたのかもしれん。

「まあ、いいだろ、このままでいいや」

俺としても本気の大怪獣と触れ合う機会がしばらくなくなるので異論はない。
そのまま向かい合わせでエドガーと抱き合う。
硬い感触が俺の腹に食い込んでくる。
力強くどくどくと脈打っているのを感じる。
俺も勃ちそう。
とりあえず切り替えて集中。
エドガーが俺の魂を見ている感じがするな。

「タイガ?やっぱりなんか今日は変だぞ?」
「やっぱり?」
「魂からタイガの意識を感じるというか?タイガの姿その物を見てるような気になってくる。それに今日のタイガは凄く気配が濃ゆい気がする」

エドガーの言う通り俺も魂を感じると俺自身を強く感じるのだが、まず最初から違和感がある。
意識を向けて氣を動かすが、魂に外から向かって氣に触れるのではなく、中から外に向かって氣が動き魂に触れている。
これまで意識と魂は別々だったのに、魂の中に意識が入ってしまっているし、魂の中の心と意識が同じ場所でくっつき、混ざっている。そんな印象を受ける。
俺は魂の中で心の機微を意識が直接感じ、意志を示し、思考をし、感情を表している。

「夜中に試した事が上手く行ったみたいだな。これで聖女の呪いに対抗できればいいんだけどな」
「またこの間みたいに魂に氣を纏うみたいな事したのか?」
「ちょっと試していいか?」
「え、あれ本当に怖いんだぞ!」
「一度実証してるんだし大丈夫だ、エドガーも魂をしっかり見てくれているしな」

ここで試しておかなければぶっつけ本番で死にかねない。
魂と魔力の流れ、この関係は変わっていないのだが、今の状態でも試しておきたい。
もしも大丈夫なら本当に呪いを防げるかもしれない。
俺は再び魂に氣纏う実験をしてみる事にした。
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