3 / 3
第3話、シェバ辺境伯領地
しおりを挟むその日は何事もなく草木の生えていない荒地を過ぎて大きな河が見えて来て河沿いに馬車を走らせていると、前方の丘と言うよりはなだらかな低い山に山裾から頂上まで防御壁に守られた街が見えて来た。
街はバスクさんが言った通り街全体が要塞みたいに見える。
まるで指輪を題名にしたロード、オブザ何とかと言う映画に出て来る王様のいる要塞のような街のようなのです。
街に近づくと街の外には農作地帯があり、農民が農作業をしていたが、農作地帯があまり広くないのでバスクさんに聞くと。
「農作地は河が氾濫して流されるので広げられないで困っております」
街のある場所から目算で10km先に急な崖の高い山が連なり、その山沿いに幅1kmくらいの河が流れている。
農作地帯はその山の反対側の河から離れた所にあるので河が氾濫したなら作物が流されるみたいなのです。
農作地が少なく食料は大丈夫なのかバスクさんに。
「農作地が少ないので食料事情は大丈夫なのですか? 」
「ハッキリ言って厳しいです。足りないので他の領地から不足分は買っています」
私は河の氾濫を防ぐ堤防を築き農地を増やせば良いのにと思いましたが、まだ結婚もしていないのに余計な口出しをしてはいけないと思い、言いませんでした。
街の入り口は鉄で出来た大きな門があり、防御壁は高さが20m幅5mもある。
防御壁の上にいる門番にバスクさんが手を上げて合図をすると門が開き中に入ると、道は狭く石畳の道で乗って来た馬車を降りて今度は小さな馬車に乗り換えて頂上を目指して進みました。
3分の2くらい進んだ所で急な勾配の坂でそこから先は階段で馬車では進めなく頂上まで歩くそうです。
街の中を歩くと家は石作りで人口の洞窟がいくつもあり、バスクさんに聞くと、洞窟の中は広く部屋がいくつもあり兵士たちの宿舎になっていると教えてくれました。
私はこんな街は初めてで珍しいのでキョロキョロしていると、転びそうになりバスクさんが私の腕を掴んで。
「危ないので前を見て歩いて下さい。もうすぐ領主様の館に着きます」
頂上の館が見えて来て、領主様の館前には広い広場があり、建物は館と言うよりは大きな城でビックリしました。
広場には10人の騎士とモーニング姿の男性が並んでいて、私を見ると騎士たちが跪いてモーニング姿の男性が深々と腰を折り頭を下げて。
「ようこそオリビア様、お待ちしておりました。私は執事のセバスと申します。あいにくアルバート様はサブリ帝国が怪しい動きをしているので急きょ様子を見に行かれて留守ですが部屋に案内いたします」
「はい、よろしくお願いいたします」
セバスさんに付いて行き石作りの建物の中に入ると、中は木造で玄関はシャンデリアが下がっていた。
玄関で使用人2人が挨拶して。
「私は侍女頭のユリヤです。よろしくお願いいたします。後の使用人は仕事中なので後で紹介します」
「わしは料理長のベンです。宜しく」
玄関以外は質素で中は3階建てで私は3階に案内されてセバスさんが。
「ここがオリビア様の部屋になります」
部屋の中を見て驚いた。
部屋はリビング、台所、寝室、侍女の部屋、トイレ、洗面所ですがリビングは30畳もあり、寝室には豪華な天蓋付きベッドが置かれている。
私がセバスさんに。
「余りにも広く豪華な部屋なのでビックリしました。急なのに此処まで用意して頂き申し訳ございません」
「何をおしゃいます。公爵家の令嬢ならこれでも足りないくらいだとアルバート様が言っていました」
「あのう、私は無駄な事は嫌いなのでこれからは質素にしてください」
「ええー! 貴族の令嬢は高慢で我が儘でお金使いが荒く宝玉やドレスにお金をつぎ込むと聞いていましたが、オリビア様は珍しい方ですね。でも、本心を申しますがアルバート様は貴族の令嬢は嫌いで一生独身でいると言ってオリビア様がそんな令嬢なら追い返すと言っていました。でもオリビア様なら気に入るでしょう。私も気に入ったので応援いたします」
セバスさんに気に入ってもらえたのは良かったのですが、アルバート様が気に入らない時は追い返えされると聞いて、帰るところのない私は頑張ろうと思いました。
まぁー、追い出されたら知らない街でエレンとのんびり暮らすのも良いかもしれない。
セバスさんが帰る時に。
「アルバート様がお帰りになってから皆に紹介して色々決めますが、それまではゆっくり休んで下さい。用事があるときはそこにある呼び鈴を押してください。忘れていましたが食事は部屋に運ぶので心配しないでください。それと言っておきますが私を始め使用人や他の人は呼び捨てでお呼びください」
セバスさんが部屋から出るとエレンが。
「こんな立派な屋敷と部屋と思いませんでした。でもアルバート様がどんな方は分からないので心配です」
「ああ、セバスが言っていた気に入らない時は追い返すと言っていたので心配なのね。大丈夫よ。いざと言う時は知らない街でエレンと2人でのんびり暮らすから」
夕食は若い女性が運んで来て。
「食事を持ってきました。私はベティといいます。これからはオリビア様の専属侍女としてお世話をいたしますので宜しくお願い致します」
エレンが。
「オリビア様のお世話は私がするので貴女は他の仕事をしなさい」
「でも、この屋敷の事や街の事も知らないのにどうするのですか? 」
私がベティの言う通りなので。
「エレン、ベティの言う通りよ。此処の事を何も知らないのでベティを侍女にして色々聞きましょう」
「そうですね。ベティごめんなさい」
「いえ、何でも聞いて下さい。その代わり私は侍女見習なので侍女としての事を色々教えてください」
どうやらエレンとベティが仲良くなれそうなのでホッとした私なのです。
夕食は野菜サラダ、肉の焼いたステーキみたいなもの、シチューに食後の果物と硬いパンでパンは硬くてスーに付けて柔らくしてから食べました。
ベティに聞いて。
「普段の料理はこれが普通なの」
「今日は特別です。普段はスープと一品の料理とパンでスープとパンだけの時もあります」
やはり農作地が少ないので食生活も貧しいみたいなのです。
部屋には侍女の部屋は一部屋なのでベティは今までの侍女の部屋で寝るそうです。
次の日、目を覚ますとベティが来て。
「おはようございます。良く寝られましたか? 窓から見ると景色が一望できるので見て下さい」
私が寝坊したと思い慌てて飛び起きるとベティが笑い。
「ハハハ、そんなに慌てて起きなくても良いのに。いつもは何時に起きるのですか? 」
「普段は5時頃よ。今日は疲れていたので寝坊したみたい」
「そんなに早く起きて何をするのですか」
「食事の前に掃除や洗濯をしていたわ」
「ええー! それじゃ使用人より酷いですね」
「私は継母に嫌われていたから使用人みたいに扱われていたのよ」
「継母だとそんな意地悪をするのですね」
エレンが起きて来て。
「申し訳ございません。寝坊してしまいました」
ベティが。
「疲れているのに朝から煩くしてすみません」
窓の外を見ると、朝焼けが綺麗で眼下に街と河がキラキラ光り、川沿いに草原が広がり遠くには海も見えて余りにも奇麗なので。
「ベティの言う通りここから景色が一望出来て綺麗ね」
「そうでしょう。でも河が氾濫した時は酷い物よ」
この綺麗な景色が濁流に押し流されるとは信じられない私なのです。
28
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
出て行けと言ったものの、本当に出て行かれるとは思っていなかった旦那様
睡蓮
恋愛
ジーク伯爵は、溺愛する自身の妹レイアと共謀する形で、婚約者であるユフィーナの事を追放することを決めた。ただその理由は、ユフィーナが婚約破棄を素直に受け入れることはないであろうと油断していたためだった。しかしユフィーナは二人の予想を裏切り、婚約破棄を受け入れるそぶりを見せる。予想外の行動をとられたことで焦りの色を隠せない二人は、ユフィーナを呼び戻すべく様々な手段を講じるのであったが…。
婚約破棄は了承済みですので、慰謝料だけ置いていってください
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢アナスタシア・オルステッドは、第三王子アレンの婚約者だった。
しかし、アレンは没落貴族の令嬢カリーナと密かに関係を持っていたことが発覚し、彼女を愛していると宣言。アナスタシアとの婚約破棄を告げるが──
「わかりました。でも、それには及びません。すでに婚約は破棄されております」
なんとアナスタシアは、事前に国王へ婚約破棄を申し出ており、すでに了承されていたのだ。
さらに、慰謝料もしっかりと請求済み。
「どうぞご自由に、カリーナ様とご婚約なさってください。でも、慰謝料のお支払いはお忘れなく」
驚愕するアレンを後にし、悠々と去るアナスタシア。
ところが数カ月後、生活に困窮したアレンが、再び彼女のもとへ婚約のやり直しを申し出る。
「呆れたお方ですね。そんな都合のいい話、お受けするわけがないでしょう?」
かつての婚約者の末路に興味もなく、アナスタシアは公爵家の跡取りとして堂々と日々を過ごす。
しかし、王国には彼女を取り巻く新たな陰謀の影が忍び寄っていた。
暗躍する謎の勢力、消える手紙、そして不審な襲撃──。
そんな中、王国軍の若きエリート将校ガブリエルと出会い、アナスタシアは自らの運命に立ち向かう決意を固める。
「私はもう、誰かに振り回されるつもりはありません。この王国の未来も、私自身の未来も、私の手で切り拓きます」
婚約破棄を経て、さらに強く、賢くなった公爵令嬢の痛快ざまぁストーリー!
自らの誇りを貫き、王国を揺るがす陰謀を暴く彼女の華麗なる活躍をお楽しみください。
白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします
鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。
だが彼女は泣かなかった。
なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。
教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。
それは逃避ではない。
男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。
やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。
王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。
一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。
これは、愛を巡る物語ではない。
「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。
白は弱さではない。
白は、均衡を保つ力。
白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる