拝啓。私を追い出した皆様へ! 化け物と噂の辺境伯に嫁がされましたが噂と違い素敵な旦那様と幸せに暮らしています。

ハーフのクロエ

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第3話、シェバ辺境伯領地

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 その日は何事もなく草木の生えていない荒地を過ぎて大きな河が見えて来て河沿いに馬車を走らせていると、前方の丘と言うよりはなだらかな低い山に山裾から頂上まで防御壁に守られた街が見えて来た。

 街はバスクさんが言った通り街全体が要塞みたいに見える。

 まるで指輪を題名にしたロード、オブザ何とかと言う映画に出て来る王様のいる要塞のような街のようなのです。

 街に近づくと街の外には農作地帯があり、農民が農作業をしていたが、農作地帯があまり広くないのでバスクさんに聞くと。

「農作地は河が氾濫して流されるので広げられないで困っております」

 街のある場所から目算で10km先に急な崖の高い山が連なり、その山沿いに幅1kmくらいの河が流れている。

 農作地帯はその山の反対側の河から離れた所にあるので河が氾濫したなら作物が流されるみたいなのです。

 農作地が少なく食料は大丈夫なのかバスクさんに。

「農作地が少ないので食料事情は大丈夫なのですか? 」

「ハッキリ言って厳しいです。足りないので他の領地から不足分は買っています」

 私は河の氾濫を防ぐ堤防を築き農地を増やせば良いのにと思いましたが、まだ結婚もしていないのに余計な口出しをしてはいけないと思い、言いませんでした。


 街の入り口は鉄で出来た大きな門があり、防御壁は高さが20m幅5mもある。

 防御壁の上にいる門番にバスクさんが手を上げて合図をすると門が開き中に入ると、道は狭く石畳の道で乗って来た馬車を降りて今度は小さな馬車に乗り換えて頂上を目指して進みました。

 3分の2くらい進んだ所で急な勾配の坂でそこから先は階段で馬車では進めなく頂上まで歩くそうです。

 街の中を歩くと家は石作りで人口の洞窟がいくつもあり、バスクさんに聞くと、洞窟の中は広く部屋がいくつもあり兵士たちの宿舎になっていると教えてくれました。

 私はこんな街は初めてで珍しいのでキョロキョロしていると、転びそうになりバスクさんが私の腕を掴んで。

「危ないので前を見て歩いて下さい。もうすぐ領主様の館に着きます」

 頂上の館が見えて来て、領主様の館前には広い広場があり、建物は館と言うよりは大きな城でビックリしました。

 広場には10人の騎士とモーニング姿の男性が並んでいて、私を見ると騎士たちが跪いてモーニング姿の男性が深々と腰を折り頭を下げて。

「ようこそオリビア様、お待ちしておりました。私は執事のセバスと申します。あいにくアルバート様はサブリ帝国が怪しい動きをしているので急きょ様子を見に行かれて留守ですが部屋に案内いたします」

「はい、よろしくお願いいたします」

 セバスさんに付いて行き石作りの建物の中に入ると、中は木造で玄関はシャンデリアが下がっていた。

 玄関で使用人2人が挨拶して。

「私は侍女頭のユリヤです。よろしくお願いいたします。後の使用人は仕事中なので後で紹介します」

「わしは料理長のベンです。宜しく」

 玄関以外は質素で中は3階建てで私は3階に案内されてセバスさんが。

「ここがオリビア様の部屋になります」

 部屋の中を見て驚いた。
 部屋はリビング、台所、寝室、侍女の部屋、トイレ、洗面所ですがリビングは30畳もあり、寝室には豪華な天蓋付きベッドが置かれている。

 私がセバスさんに。

「余りにも広く豪華な部屋なのでビックリしました。急なのに此処まで用意して頂き申し訳ございません」

「何をおしゃいます。公爵家の令嬢ならこれでも足りないくらいだとアルバート様が言っていました」

「あのう、私は無駄な事は嫌いなのでこれからは質素にしてください」

「ええー! 貴族の令嬢は高慢で我が儘でお金使いが荒く宝玉やドレスにお金をつぎ込むと聞いていましたが、オリビア様は珍しい方ですね。でも、本心を申しますがアルバート様は貴族の令嬢は嫌いで一生独身でいると言ってオリビア様がそんな令嬢なら追い返すと言っていました。でもオリビア様なら気に入るでしょう。私も気に入ったので応援いたします」

 セバスさんに気に入ってもらえたのは良かったのですが、アルバート様が気に入らない時は追い返えされると聞いて、帰るところのない私は頑張ろうと思いました。

 まぁー、追い出されたら知らない街でエレンとのんびり暮らすのも良いかもしれない。

 セバスさんが帰る時に。

「アルバート様がお帰りになってから皆に紹介して色々決めますが、それまではゆっくり休んで下さい。用事があるときはそこにある呼び鈴を押してください。忘れていましたが食事は部屋に運ぶので心配しないでください。それと言っておきますが私を始め使用人や他の人は呼び捨てでお呼びください」

 セバスさんが部屋から出るとエレンが。

「こんな立派な屋敷と部屋と思いませんでした。でもアルバート様がどんな方は分からないので心配です」

「ああ、セバスが言っていた気に入らない時は追い返すと言っていたので心配なのね。大丈夫よ。いざと言う時は知らない街でエレンと2人でのんびり暮らすから」

 夕食は若い女性が運んで来て。

「食事を持ってきました。私はベティといいます。これからはオリビア様の専属侍女としてお世話をいたしますので宜しくお願い致します」

 エレンが。

「オリビア様のお世話は私がするので貴女は他の仕事をしなさい」


「でも、この屋敷の事や街の事も知らないのにどうするのですか? 」

 私がベティの言う通りなので。

「エレン、ベティの言う通りよ。此処の事を何も知らないのでベティを侍女にして色々聞きましょう」

「そうですね。ベティごめんなさい」

「いえ、何でも聞いて下さい。その代わり私は侍女見習なので侍女としての事を色々教えてください」

 どうやらエレンとベティが仲良くなれそうなのでホッとした私なのです。
 夕食は野菜サラダ、肉の焼いたステーキみたいなもの、シチューに食後の果物と硬いパンでパンは硬くてスーに付けて柔らくしてから食べました。

 ベティに聞いて。

「普段の料理はこれが普通なの」

「今日は特別です。普段はスープと一品の料理とパンでスープとパンだけの時もあります」

 やはり農作地が少ないので食生活も貧しいみたいなのです。

 部屋には侍女の部屋は一部屋なのでベティは今までの侍女の部屋で寝るそうです。


 次の日、目を覚ますとベティが来て。

「おはようございます。良く寝られましたか? 窓から見ると景色が一望できるので見て下さい」

 私が寝坊したと思い慌てて飛び起きるとベティが笑い。

「ハハハ、そんなに慌てて起きなくても良いのに。いつもは何時に起きるのですか? 」

「普段は5時頃よ。今日は疲れていたので寝坊したみたい」

「そんなに早く起きて何をするのですか」

「食事の前に掃除や洗濯をしていたわ」

「ええー! それじゃ使用人より酷いですね」

「私は継母に嫌われていたから使用人みたいに扱われていたのよ」

「継母だとそんな意地悪をするのですね」

 エレンが起きて来て。

「申し訳ございません。寝坊してしまいました」

 ベティが。

「疲れているのに朝から煩くしてすみません」

 窓の外を見ると、朝焼けが綺麗で眼下に街と河がキラキラ光り、川沿いに草原が広がり遠くには海も見えて余りにも奇麗なので。

「ベティの言う通りここから景色が一望出来て綺麗ね」

「そうでしょう。でも河が氾濫した時は酷い物よ」

 この綺麗な景色が濁流に押し流されるとは信じられない私なのです。
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