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第19話 獣人族
しおりを挟む冬は村民たちは勉強会や同じ趣味のグループなどで交流の機会が増えるので異種族も親しくなっている。
冬の間はピクシー妖精族は夜は俺の館の一部屋で寝ているが、時々俺の布団に潜り込んでいるので寝がえりをするとき潰さないか心配で安眠出来ないので困っている。
バスが来て。
「ルーファス様、出来やしたぜ」
「ん? 何が出来たのだ? 」
「頼まれていた遠距離通信機ですよ」
「頼んでいた携帯電話を本当に作ったのか」
「ハッハッハー! わしに不可能はありゃせんぜ。残念ながらまだ普通に話せませんが、魔力を登録した者同士は念話で話せます。これにルーファス様の魔力を流して登録してください」
渡されたのは手のひらサイズで俺が魔力を流すとバスの声は聞こえないが頭の中に声が響き。
「どうです。聞こえやすか?」
「聞こえるぞ。良く作ったな。春になったら国境のビネス街とロンドナ王都に店を出すから沢山作っておいてくれ」
「分かりやした」
俺はこの領地を豊かにする為に商会を立ち上げて商売にも力を入れることにした。
冬も終わろうとした最後の大雪の日に時ピーコちゃんが。
「大変よ。獣人族が迷い込んだみたいよ」
「本当か。何処にいる」
「村から少し離れた森の中で倒れているから助けてあげてください」
ピーコちゃんの案内で森の中に行くと、獣人族20人くらいが、雪の中に半分くらい埋もれていたのでとにかく治癒魔法で凍傷などを治しておいた。
ピーコちゃんがオーガ族を連れて来てオーガ族が獣人族たちを村に運んで暖房の効いた部屋に寝かせると獣人族たちが意識をとり戻し、あたりを見て、猫族のお婆さんが。
「あれ? 此処は天国かにゃ」
セリーヌが。
「気が付きましたか? 気分が悪くはないですか」
「な、なんじゃと~! 天国には綺麗な天使がいるのか」
「私は天使ではありません。それにここは天国ではありません。アナタたちは行き倒れでこの近くの森で雪に埋もれていたので此処に運びました」
「何じゃとー! 婆たちは助かったのか。てっきり死んで此処は天国かと思たのにゃ~」
俺が。
「俺はこの領地の領主のルーファス・クロフォードだ。他の仲間はいないのか? 」
獣人族たちを見渡し人数を確認したのか、悲しそうに涙を流し。
「婆たちはこれで全員だ。最初は千人以上いたが後は皆が亡くなったのにゃ。婆たちは食べ物を探してこの村の灯りが見えて歩いたが力尽きて意識を失っていた」
俺はもっと早く探せば良かったと後悔した。
「俺は獣人族たちが生きているのを知っていたのに探していればもっと助けられたのにすまなかった」
「とんでもねえ。婆たちを助けてくれただけで十分じゃ。婆たちが死ねばこの地の一族は滅亡したじゃろう。助けてくれてありがとうにゃ~」
どうやら獣人族の族長は亡くなったみたいで一番年寄りの猫族のお婆さんが皆の面倒を見ているみたいだ。
獣人族の半分は猫族でその他は犬族、ライオン族、狼族、豹族がいた。
獣人族たちはその日はお風呂に入れて食事が済むと余程疲れていたのか直ぐに眠り、起きたのは翌日の昼頃だった。
起きて来た獣人族は猫族のお婆さんが代表して俺に礼を言い。
「昨日は助けてくれてありがとうにゃー。遅くなったが婆はリンと言う。ほれ、お前たちも礼を言わんか。
1人1人が名前を言い俺に感謝して礼を言っていた。
夕方には住民たちを集めて獣人族たちを紹介すると、ドワーフ族のバスが。
「この村にようこそ。歓迎する。大変だったな。俺たちが家を建てて上げるが希望はあるか」
猫族のお婆さんが嬉し涙を流し、拳で拭きながら。
「ありがとにゃー。地獄で仏とはこのことじゃな。ほんまに感謝する。婆たちで出来る事は何でもするから宜しくお願いするのにゃー」
猫族のお婆さんのにゃーに子供たちは笑い、その後はにゃーが子供たちの間で流行ったのには笑えた。
獣人族たちは1週間もすると元気になりドワーフ族の家を建てるのを手伝いし始め、リン婆さんは小人族のサヨ婆さんと気が合うのかいつも一緒に話して仲良くしている。
獣人族たちは思ったより早くピース村に馴染み、まるで以前から村に住んでいたみたいでホッとしている。
春が来て獣人族たちの住む家も完成して恒例の歓迎会を開いたがお祭り騒ぎで食べて飲んで踊っている。そんな様子を見てセリーヌが。
「此処に来て3年になるけれどこんなに住民が増えるとは思わなかったわ。でも人間族は私たち3人だけなのね」
「やはり人間族を増やした方が良いのか? 」
「難しいわね。私の理想は人間族も含めて平和で仲良く暮らせれば良いと思うわ」
「セリーヌの言うのは理想だが現実は人間族があの河のように海流の早い海峡を船で渡れる事は出来ないので先ず人間族は来られないだろう」
「そうね。成り行きに任せましょう」
広場に行くと俺の使い魔で蜘蛛魔獣の妖艶な美女ルァと龍人族姿のルースにバスが飲み比べをしている。
飲んでいるのはドワーフ族が作った強い酒の火酒でルースが。
「この酒は強いが麦焼酎の方が味は良いな」
ルァが。
「麦焼酎も飲んだが両方とも美味しかったわ。でも火酒の口の中が焼ける感覚はたまらないわ」
3人はまるで水でも飲んでいるみたいに飲んでいたが最初にダウンしたのは何とドラゴンのルースで最後まで飲んでいたのはルァでバスが。
「わしが飲み比べで負けたのは初めてだぜ。ルァは化け物だ」
ルァがバスを糸で縛りつけて。
「こんな綺麗な私を化け物だと。綺麗だと言いなおしなさい」
「わしはルァの顔を化け物と言ったわけではない。酒の飲み方を言っただけだ。それにしてもルァは綺麗だぜ。それにこの糸は強くて何かに使えそうだな。貰っても良いか」
ルァは糸を解いて。
「持って行って良いわ。いる時は言いなさいよ。いくらでも作るから」
ルァは最初は村に溶け込めなかったがルースが連れて歩き、今では皆と冗談を言うほどになっている。
それにしてもあの蜘蛛魔獣が俺の使い魔になると人化して妖艶な美女になるとはこの世界は不思議な世界だ。
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