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第20話 久し振りの王都で
しおりを挟む雪が溶けて草花が芽を出し2回目の春が訪れた。
最初は領地を開発するつもりはなくスローライフを楽しむつもりでいたが、領民が千人くらいに増え領民は生活が安定したので子作りに励み、今では子供は100人以上はいる。
これからも領民が増えるのでそうもいかなくなり、領地を発展させる羽目になった。
子供たちの将来を考えて教育をするための学校を作る事にしたが先立つお金が不足している。
お金もそうだが教える教師もクロエとセリーヌの2人しかいないのが現状だ。
全く領地経営は面倒くさいが今更投げ出す事もできないのでやらないわけにはいかない。
俺はのんびり暮らすつもりがどうしてこうなったか考えると、前世でIT企業で働いていた時、部下から泳いでいないと死ぬマグロみたいだと言われた事があったが、どうやら俺はのんびりと出来ない性格みたいだ。
先ずは先立つお金を稼ぐ為に商売をすることにした。
ドワーフ族の棟梁バスが作った魔道具の家電品、携帯電話を俺が買い取りそれを売れば利益が出るのでそのお金を使って領地経営をする事にした。
その為に今回は本格的にロンドナ王都にセリーヌと行き調査に行くことにした。
王都に行くとアラン兄貴やセリーヌの両親にも合わないわけにもいかず王宮に行くと、俺の顔を見るなり、アラン兄貴が。
「久し振りだな。大変な事になった。力を貸してくれるか」
「え? 何が起きたのだ」
「ローマル帝国が我が国に侵略して来るかも知れないのだ」
「本当ですか? 」
「以前我が国を裏切ってローマル帝国に我が軍の情報を知らせていた貴族がいたのは知っているだろう。そいつを捕まえて取り調べて白状させて聞いたので間違いない」
全く厄介な事が起きたものだ。
俺がその気になればローマル帝国など一瞬で消せるがそれではアラン兄貴の為にならないので。
「もし、戦争になれば勝算はあるのですか」
「今、貴族たちの軍を王都に集めて準備をしているところだ。ローマル帝国軍は公称4万と言っている。我が軍は全部集めても3万に届かないかも知れないので不利だ」
この世界では日本の戦国時代に似ていて戦争のたびに貴族たちの持っている軍隊を集めて戦うので、統制が取れなく武器は剣、槍、斧で魔法使いが多い方が戦況を左右する。
俺は貴族たちの軍を持つのを禁止して王国の軍に統一して新しく王国軍を作る事を提案して、どうしても不利な戦いになった時は助けると言っておいたのだ。
まぁ、アラン兄貴の事だから勝つだろうが、いざと言う時は俺が魔王を倒した流星魔法でローマル帝国軍を壊滅させれば良いだけだ。
それより今は俺の領地を発展させるための金儲けの方が大事だ。
いざと言う時の為にアラン兄貴に携帯電話を渡しておいたが、戦争の時に連絡に使うからと50台の携帯電話を欲しいと言われ早速携帯電話が売れた。
その晩はセリーヌの実家のエイベル公爵家に泊まる事にして行くと父親のアルベルトが。
「ルーファス様、領地はどうですか? 」
俺の代わりにセリーヌが。
「住民が千人以上になって賑やかになったわ」
母親のマリアーヌが。
「ええー! そんなに増えたの」
「住民は人間族が私たち3人だけで色んな種族がいてピクシー妖精族が可愛いのよ。今度遊びに来てよ」
「本当~、ピクシー妖精族を絵本では見た事があるけれど本物を見てみたいから近い内にいくわ。あなた、一緒に行きましょう」
「残念だが今はそれどころではない。ローマル帝国軍が何時攻めてくるか分からないのでその備えで忙しいのだ」
アルベルトはこの国の軍の最高指揮官の将軍なのでローマル帝国軍の対策で忙しいのだろう。
アルベルトは俺に何か言いたそうだったがアラン兄貴から何か聞いたのだろうが何も言わなかった。
次の日は、商業ギルドで商売をするための登録をして商会の名前はオスロ商会にした。
ついでに商業ギルドでは人材の募集も出来るので教師の募集もしておいた。
店はロンドナ王都の商店街にいい物件があったので借りると面倒なので買うことにしたのだ。
久し振りの王都なのでセリーヌと美味しい物を食べる為に店を探していると寿司屋さんを見つけ入ってみた。
入ってみると老人がカウンターで居眠りをしていたので起こすと。
「スマン、年なのでつい寝てしまったわい」
セリーヌが小声で。
「大丈夫かしら」
まさか今更、出て行くわけにもいかず俺が握り寿司を注文すると老人は鮮やかな技で握り。
「食べてくれ。不味かったら金は要らねえぜ」
食べて見ると酢が少し効いて甘みもあり、ワサビの辛さも丁度良くて俺は思わず。
「美味い! おやじやるじゃねえか」
「あたりめえよ。わしの先祖は何百年前かは忘れたが魔王を倒した勇者から寿司の握り方と味を教わったんだ。その味を代々守って来たんだ。でもよう、わしの息子が帝国の貴族に殺されてよ、後を継ぐ者がいなくてわしの代で終わりだ」
まさか俺が教えたのを何百年も受け継いで来たと聞いて感動したがどうしてやる事も出来ないのだ。
俺は老人の跡継ぎの息子を殺した貴族を八つ裂きにしたい思いに駆られた。
だから俺は権力を振りかざす貴族が大嫌いなのだ。
店を出るとセリーヌが。
「驚いたわ。あの寿司はルーファスが教えたのね。それを何百年も守って来たのも凄いわ。でもあの老人で終わりかと思うと残念ね」
「俺が貴族と言うか権力を振りかざす奴を嫌いなのは分かるだろう」
「そうね、分かるわ」
俺はあの老人が元気な内は時々食べに来ることにしたが長生きしてくれることを願っている。
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