剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

文字の大きさ
167 / 226
第3章 神の悪戯

第162話 本当の理由

しおりを挟む
~夜 訓練所~

皆が寝静まり、明日に備えて英気を養っている時、クロウ、リューク、エムルの3人は集まって今日の夕食の時の話しをする。

「俺は悪いが反対だ」

「…それは何故ですか?」

クロウは夕食の時とは違い、はっきりと『反対』と言った、リュークも疑問に思ってその理由を聞く。

「この世界はゲームの世界に酷似した世界なのは覚えているな?」

「はい、この世界は僕達プレイヤーの想いが具現化した世界であり、女神サナラスも想いの力によって具現化したこの世界を統治する女神様…ですよね?」

「そうだ」

そう、この世界はゲームの世界
…ではない、あくまでも酷似した皆が妄想した新たな世界だ。

「そして、俺達はよくある…か、どうかは分からないけど、本などでは良くあるゲームの世界に転生したと言う…まぁこれもそう言う設定の元なんだけど…兎に角!俺達は転生者だ」

「はい」

「そうだね」

「悪役系、主人公系、ヒロイン系の3枠に当て嵌まる訳だ」

実際はどうなのかは言っているクロウ本人も分からない、クロウ自身も悪役転生かと思っていたが、実際の所はそう言う風な感じにして女神が見ているだけで、本当に本の様な悪役転生と言う感じではなくなった。

「僕は兎に角、クロウ様は悪役らしい事してませんけどね?」

「なんちゃって系の方がしっくり来るよ」

リュークとエムルに正論のツッコミを入れられる、クロウ自身も理解しているが全てにおいて中途半端なのだ。

「うるさいなぁ、こっちだって悪役らしい事はしたかったよ、けど、罪悪感と言うか何故か良い方向に皆が解釈しちゃったんだよ」

「…それは自己責任だと思います」

おれもそう思う」

またしても2人に正論のツッコミを入れられるクロウ、分かっていてもコチラとしては自分なりに頑張ったつもりだったのだ。

…結局はつもりで終わってしまったのだが

「まぁ兎に角!俺が言いたいのは相手側にも転生者がいてもおかしくないって事だ」

「向こう側?つまり敵側って事ですか?」

「そう、魔王軍側に転生した者達がいても可笑しくないと思うんだ」

クロウの言葉にリュークは納得する、確かに魔王sideに転生する作品も存在する、必ずしも転生者が自分達だけと言う事はない。

「確かに、おれ達の他にも転生者は1人いた、なら魔王軍の中にも転生者がいて、負ける未来を回避する為に努力しているかもしれないな」

「そう言う事、普通に進めば勇者であるリュークが勝つ、けど、普通じゃなかったら、リュークでも負けるかもしれない、それが嫌なんだ」

それに和平交渉を求めてくるタイプの人だった場合、勇者がいれば相手型も舐めた態度は取らないだろう。

「なるほど、そう考えると僕も反対ですね」

「と言うか、リュークも中立と言うか反対よりだったよね?その理由は何なの?」

と、エムルはリュークにそう質問する、反対したのは男性陣の2人のみ、クロウの場合は転生者があちら側にもいた場合に備えての事だが、リュークはまだ分からない。

「僕は簡単ですよ、ただ単に自信がないだけです」

「自信がない?」

「はいクロウ様、僕達は平和な世界で暮らしていました、人を殺した事もありません、けど今度戦う相手は魔物とは違い明確に意思があり、言葉を放つ人型、魔物と分かっていても命乞いなどをされたら…と思うと行きたくなくて」

現代日本では北方領土を自国の物だとほざく国や、
竹島を独島とか言って歴史的証拠があるにも関わらず自国の物だとほざく国や、
領海を普通に侵入してくる国や
ミサイルを撃つ国など
昔の事をずっとネチネチ言ってくるヤバい国々が隣国にあり、いつ攻められるかわからない状態だが、基本的には平和な国だ。

そんな国で育った自分が、はたして魔物と意思のあるものを殺せるのだろうか?

と、リュークは考えている。

「成る程な確かに俺も同じ事が起きそうだよ」

おれもだ」

これに関しては慣れてはいけないが、慣れるしかない、殺すか殺されるかの世界で躊躇いは自殺行為だ。

「でも、いつかは選択を迫られるし、覚悟が必要だと思う、そこだけは覚悟しとくしかないな」

「そうですね…僕も覚悟は決めておきます」

おれもだ、人を殺す覚悟、本当はしたくないんだけどな」

そのエムルの言葉に2人は頷く、それでも自国を守る為には必要な事なのだと考えて、3人は自室の部屋へと戻って行った。

——————————————————————
目の前にがいて、それを平気で殺せる人間ははたしてどれだけの覚悟と修羅場を乗り越えたのだろうか…
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...