剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

文字の大きさ
166 / 226
第3章 神の悪戯

第161話 進撃か防衛か

しおりを挟む
訓練に続く訓練の日々、そんな日が2年以上続いたある日、騎士団の中でとある噂が出始めていた。

「こちらから攻める?」

「はい、その様な話しが騎士団内で広まっております」

今日の訓練が終わり、勇者パーティの仲間達とクロウが夕食を食べていると、メイディがその様な事を言ってくる。

「それって本当の話なんですか?」

「本当かどうかは分かりません、あくまでも"噂"です」

リュークの質問に対してメイディはそう答える。

本当の話なのかは騎士団長のヒヨナに聞いた方が良いだろう、憶測で思い込むのは良くない事だ。

「あたくしはその噂が本当だと思いますわ」

「その根拠は?」

ミオは何故か信じるらしく、フィオナはそれを不思議に思い質問する。

「魔王が復活したと言う話しが出てから約2年、あたくし達も騎士団員達と同じくらいには強くなったと自負していますわ」

「ボクもそう思います」

シャルもフィオナの言葉に頷く、話はまだ続くが、ミオ達は確かに強くなった、中盤までなら難なく旅が出来るだろう。

「ならば攻めてこない魔王軍を待つよりも先手を打ってこちらから攻めた方が良いんじゃないかって思いますわ」

「ボクもそう思います」

シャルはまたしてもミオの意見に同意する、
ミオの考えとしては"戦争の準備中であろう魔王軍に対して奇襲を行い、統率がままならない状態にして戦争を有利に進めた方が良い"
と言う事だろう。

エムルがクロウの代わりにミオの考えは↑の通りか尋ねると『そうですわ』と答えてくれたので、この考えで間違いない。

「しかし、それはあくまでも予想であり、既に迎え撃つ態勢が出来ていたらどうするんですか?」

と、クレイは当然の疑問を言う。
これに関してはリュークも同意見だった、魔王軍が約2年もの間何もしていない、と言う事はないはずだ、最低でも迎え撃つ準備は出来ているとリュークは思っている。

「それはそれ、とあたくしは思っていますわ、いつ攻めて来るか分からない状態の中で常に気を張り巡らせてもいつかは切れて隙が出来てしまいますわ」

「だからこそコチラから攻めて魔王軍との戦いを終わらせる方が良い…と?」

ソフィの問いにミオは『そうですわ』と答える、クレイもその言葉で納得する、確かに常に緊張していても長い時間が経てば必ず隙が生まれる、戦争においてそれは不意を突かれる場面となる。

それならば…と考えるのも妥当な判断だろう。

ぼくも賛成です、訓練は今も必要ですが、ずっと来るかもわからない敵を待ち続けるのは年齢的にも今がチャンスです」

と、ハクアは言う。
ハクアの年齢は(キャラクター紹介時点で)20歳で、それから2年が経った為、現在は22歳となっている。

まだまだ若いがその若さがずっと続くわけでもないし、旅が長ければ長い程歳を取り、戦いは不利になる。

ボクもそう思います」

「わたしもそう思うわ、負けるリスクもあるし、敵が待ち構えている可能性もあるけど、敵が来るのを待ち続けるのは反対だわ」

ミサとメジーナも賛成らしく、彼女達は戦意が高い事がよく分かる。

「クロウ様とリューク様はどう思いますか?」

「メイディはどうだ?賛成なのか?」

わたしはクロウ様の意見に従います、クロウ様が賛成ならわたしも賛成ですし、反対なら反対です」

と、クロウに全てを委ねる発言をするメイディ、自分の意見よりもクロウの意見を尊重したいのだろう。

「俺は悪いがどちらでも良い、このまま待ち続けて戦力を集め、万全な状態で待ち構えるのもありだと思っているしな」

「僕も同意見です、魔王が攻めて来ればそこから罠や奇襲、遠距離からの攻撃などをして戦力を削ぎながら戦う事ができる」

と、クロウとリュークは反対寄りに近い中立的な選択をする。

こちらから攻めれば物資や資源の補給が難しくなるし、治療や食糧等大軍を率いて行くならそれらの事も視野に入れていかなければならない、そうなると反対する者も当然出て来るだろう。

「どちらにせよ、攻めるにしても守るにしても、負けない様に鍛錬を積むしかない、負ければ皆んな殺されるし、どんな目に遭わされるか分からないからな」

クロウのその言葉に皆が頷く、どちらの選択を選ぼうともどっちが正しいかなんて分からない、だからこそどちらの道を進もうとも死なない様に、負けない様に強くなるしかないのだ。

——————————————————————
クロウ(とまぁカッコつけて言っているけど、死にたくないからって剣を毎日ぺろぺろしている変態なんだけどなぁ(-_-;))
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...