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最終章~勇者が残したもの~

第26話 祝勝会

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マンルが彼女達に襲われている間

王城~庭園にて~

国王「これより!英雄クロスの勝利を祝い、祝勝会を開く!皆、準備は良いな!」

そう言ってグラスを掲げる、全員が掲げたことを確認すると国王は大きな声で

国王「乾杯!」

皆「乾杯!!」

ここにいるのは国王側、つまり勇者マンルと敵対していた者達だ。

この戦いにより、勇者マンルの事は世に広まるだろう、悪い意味で

そんな中クロスは目の前にある豪華な料理に目がいっている、ただの村人だったクロスは初めて見るものばっかだった

クロス「.........すげぇ」

フローズ「フフックロスったら、そんな子供みたいに目を輝かせて♪」もぐもぐ

クロス「お前なぁ、俺は村人だぜ?こんなご馳走食べた事ないよ。」

クロス「それに...あの時も...」

フローズ「...それもそうね」ぱくぱく

クロス「...ところでさ」

フローズ「ん?何?」ばくばく

クロス「...そんなに食ってると太るぞ」

この僅かな会話の中でもフローズは既に食べていて周りの皿が綺麗になっていた

フローズ「クロス...レディにそんな事を言っていいの?」がつがつ

クロス「だったら食うのをやめろよ!?」

フローズ「いや!」むしゃぁー

クロス「あー!俺の肉がぁー!!」

フローズ「フフッ」ドヤァ

クロス 「......」ひょい

フローズ「ああ!?私のケーキ!」

クロス「ふん」パク

フローズ「ああ!?」

クロス「レディは食べるのを抑えた方がいいのではw」ニヤニヤ

フローズ「クロスと一緒に運動すればいいもん!////////」かぁ~///

クロス「顔真っ赤にして意味深な事言わないでもらえます!?」顔ボン///

わいわいガヤガヤ

国王「..............」

2人で仲良く話しながら食している、
その姿だけでも本当に絵になる2人だ
それを見て国王は

国王「あんなに小さかった我が娘が、こんなにも遠くに行ってしまうとはなぁ」

娘の成長を喜びたいが、他の男のもとに言ってしまう悲しみと複雑な気持ちだった。

王妃「全くねぇ、でも、あんな笑顔をまた見させてくれたのは間違いなく彼のお陰よ。」

国王「クロス、彼のお陰で、私たちはあの忌まわしい勇者と立ち向かう時間をつくってくれた」

2人で彼らを認め、祝福しているとき
不意に後ろから

宰相「国王様、少しお話が」

宰相が来て何やら周りを気にしながらこちらに来た

国王「おお、そうか、では少し席を外す、後は頼んだぞミスタ(王妃)」

王妃「はいわかりましたよ、パピス(国王)」

そう言って2人は中へと入っていった。

王妃「...さてとこれからは私たち大人の出番ね。」

そう言ってクロス達に気づかれないようにするために彼らのもとに行く

————————————————————
国王•宰相

日が差し込まない薄暗い廊下を歩く、
宰相が話があると言っていたのは多分...

国王「話というのは、勇者の親か?それとも...」

宰相「親の方です。聖教会の方は以前として静かです」

国王「..........そうか」

親....か同じ子供を持つ者として恥ずかしい限りだ。

そうやって考えながら歩いていると

宰相「つきました」

国王「うむ」

客間室前

国王(クロスとフローズのお陰で集まった証拠、そして勇者の能力さあて、奴らはどう出る?)

そう思いながら国王は部屋に入っていく。

マンル父「...随分と遅かったですねぇ国王様?」

国王(普通は私が入ってきたら"椅子"から立ち上がり礼をするのが礼儀だが?)

あからさまな挑発をするマンルの父に嫌気が刺しながらも話し始める

国王「すまんかったな、英雄の祝勝会をしていたものでな」

そう言うとマンル父、そして挨拶すらしなかったマンル母はチッと舌打ちする

宰相(ここも録音しているんだけどなぁ)

もうこれだけでも不敬罪でアウトだが、まずは

国王「ところで私になんのようだ?私も暇ではない手短に頼むよ?」

そう、大体予想はついてはいるが、その時の反応を録画することで、こちらが更に有利になる。

マンル母「決まっています。我が息子マンルについてです。」

だろうな、そう思いながら宰相が入れたコーヒーを飲む

マンル母「我が息子マンルは幼き頃から優秀で勇者としても歴代最高だと自負しています。」

あれが歴代最高だと?笑わせる

マンル父「それなのに、あの戦いはなんだ!?明らかに不正しているではないか!?」

たしかに王国騎士団をも凌駕していた、それをいきなり現れた人間に負けたのだ
こう言う奴らならすぐ来るだろうと思ったよ。

宰相「いえ、あれは不正ではありません正々堂々と戦い勇者は負けたのです。」

そうキッパリと宰相が言うと、

マンル父「こら!勇者"様"だろ!口を慎め!?無礼者!!」

マンル母「本当、この国には常識というものがないのかしら?」

国王「..........」

こんな奴らのせいで、この国は危機的状況なのに。
最早呆れてものが言えない、
それでいい気になったのか、マンルの父と母は更に喋り出した

マンル父「そういえば、貴方の娘と私の息子が結婚を約束したのにそちらが一方的に破ったそうですね?」

マンル母「そしてまさかその娘の婚約者がただの村人とか、頭おかしいんじゃないのですか?」

プチッ、抑えろ...まだだ

マンル父「というわけで、こちらは慰謝料を貰います。言い訳は聞きません、もしこちらの意見に文句があるなら裁判でもしましょうか?」

マンル母「まぁ、こちらは聖教会もいますし、特に息子は勇者!何をやってもいいのですよ!」

宰相(国王様...怒りを抑えている)

マンル父「さぁどうしますか?謝るか?裁判か?どちらでもいいですよ?」

マンル母「最も、裁判したところでこちらの勝ちは確定ですがね?」

そう言って勝ち誇っている2人に国王はいう

国王「裁判でじゃ」

マンル父母「ん?」

国王「裁判で決着をつけようと言っているのだ。」

その言葉を聞いて2人は

マンル父「ぷっあははは!本当何言っているんですか?貴方は!万に一つの勝ち目などないのにぷあはははは!!」

マンル母「証拠はあるのですか?証拠は?ないですよね?あるわけないですよね?あっても勇者であるマンルは許されるのですからねぇ!」

宰相(国王の目の前でここまでコケにするとは、死刑確定だな)

と、国王に対して嘲笑っている2人を見て思い、国王は

国王「証拠はあるぞ?」

そういうと、国王は水晶を取り出し勇者マンルの今までの悪行と2人の悪行を映し出した。

マンル父母「なっ!」

フローズとの婚約条件は互いに身綺麗の間柄で、魔王を倒し、それで彼女がマンルに対して好き心があればの話だった。

しかし多くの女性との関係、多くの人達の婚約者を寝取りあまつさえ、その人の人生を奪った

それを隠すために行った数々の悪行その全てがそこに残っていた

国王「言っておくが、例え聖教会でも、ここまでの事は庇えきれんぞ?そんな事をすれば信者が減り信仰どころではないのだからな」

事実、聖教会はこのことについて何も見なかったと後に供述している
例えどのような組織でもそれを支える資金や人がいなければ活動はできない、
それ程のことを言わせた勇者マンルはたしかに歴代最高の勇者だ

.....最も愚かな勇者としてだが

今まで聖教会が隠していたのは勇者が良かれと思ってやってしまったものの尻拭いがほとんどだ、たまにマンルのようになってしまう勇者もいたが魔王を倒した後はその名は消えている

文字通り"勇者"の間は聖教会も可能な限り協力するが、魔王がいなくなったら
"勇者"ではないためどうなっても知らないのだ。
あくまでも"勇者"を信仰しているのだから

国王「さぁ、どうする因みにここも既に録音済みだが?」

マンル父「ぐっ....ぐぅぅぅ!」

全ての悪行が残っているため本来なら圧倒的に不利な状況、しかし彼らは諦めなかった。

マンル母「...いいわよ、裁判してやろうじゃないの!」

マンル父「...!お前!何を言って!」

マンル母「マンルは勇者よ聖教会も味方してくれる!負けるはずがないの!」

そう、マンルが勇者であり、聖教会がいる限り負けるわけがないと、そう思っているのだ。

それに気づいたマンル父は

マンル父「そうだ、負けるはずがない!負けるはずがないんだ!」

そうやってまた元気を取り戻す

マンル父「残念でしたね、国王様、今録音していると言っていましたね?」

マンル父は再度確認する、そう裁判ないてやると言っていないと言わせないためだ。

国王「ああ、言ったな」

マンル父「言っておきますが、偽造もダメですからね?」

国王「なら2つ用意であるから1つやる」

そう言って予め用意していた1つをマンル父に渡す、一旦確認して

そこで確証を得ると笑って立ち上がる

マンル父「では、私はこれで失礼します、では裁判所でお会いしましょう。」

マンル母「それまでせいぜい余生を楽しんでください。」

そう言って立ち去る

2人になって国王と宰相は深いため息をついた

宰相「お疲れ様です、国王様」

そう言って空になったカップにコーヒーを入れる
それにひと口、口付けて置く

国王「ああ、まさかここまで馬鹿とは思わなかった」

宰相「ええ、勇者だから何をやってもいいとは、まぁそんな風にしてしまった国々も国々ですけどね」

国王「そこは言ってくれるな、まさかここまで酷い勇者が現れると誰が予想した?」

宰相「それもそうですね。」

そう言って2人は窓を見る、すっかり夕暮れとなってしまいオレンジ色の夕日が眩しい

国王「聖教会がどう出るかわからない、裁判まで油断するなよ?」

宰相「勿論です」

そうして2人は新たな決意を抱き、裁判の日を迎えた。

結果は火を見るよりも明らかで、マンルの父と母は領土や人権を全て奪われ、今までの賠償金を全て支払うまで死ぬ方がマシな仕事をさせられ、その生涯を終えたのだった。

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補足
なぜマンルの目を眼とするのか

目は普通に皆さんがよく見る目で
眼は能力発動時に起こる眼なので
使い分けていました。
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