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第2部 その1 幼馴染み達が冒険についてくるが別にどうでもいい

第八話 消えない心の傷

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王妃を満足させた後、荷造りの為と言って一旦部屋に戻った。

そしてそこでクロスはフローズを抱きしめて頭を撫でる

この時の彼女は、まるで昔の彼女その者だった。

クロス(こいつが俺に抱きつく癖はやっぱりあれが原因か)

フローズの異常なまでのスキンシップ、それは過去の前世の世界が原因だ、

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フローズの両親(前世)は魔族によって目の前で虐殺されている、彼女を守る為に両親が盾になったのだ。
そして更に悲惨なのは、そこに暮らしていた人達は彼らを餌にして逃げたのだ、もしかしたら助かったかもしれない人達を捨てて自分だけ助かろうとしたのだ。
そのせいでフローズは人を信じられなくなり、孤独な人生を送っていた。

そんな中、クロスも戦争により孤児となり悲惨な人生を送っていた、今日を生きる為に食料を盗み、人を殺し、生きる為にいろんな事に手を染めた。

そんな生活をしている時にクロスはある町でフローズと出会う、
クロスはその時、とある仕事で来ていて、その時に裏路地で行き倒れしている彼女とであった、彼女は遠い虚ろな目をしており、今にも死にそうだった。
普段のクロスならそんな奴を見ても見て見ぬ振りをして通り過ぎる、しかし何故か今回はそんなことが出来ず、自分の持っている水と食料を渡した

クロス「死にたくなきゃ食え、死にてぇのならそのまま死んでろ」

そう言い残しその場を去る

フローズ「......................」

フローズは目の前にある食料を見た、誰かに施しを受けることが初めてで、
何故?という言葉が頭を駆け巡るが、それを受け取り一心不乱に食べた

それからクロスとフローズの不思議な関係が続いた
その時のクロスはしばらくの間ここに滞在することとなり、毎日食料を持ってきてはフローズにあげていた
フローズもそれを黙って食べる
最初はそれだけだった、それから少しずつ話すようになり、お互いの過去を話し合いいつしか2人は恋人関係になっていた

それから2人は旅に出た、決して楽ではない旅路だったが、2人で乗り越えていった

そして2人は愛というのを知らずに育った為に互いに互いを求め合うようになり....そして共依存関係になってしまったのだ。

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クロス(まさかそれが、今でも治ってなかったとはな、まぁそれでも.....)

フローズ「..............」ぎゅ

クロス(それが嫌じゃないと感じるのは、やはり俺もまだフローズに依存している証拠なのかな)

そう思いながら、フローズが落ち着くまでしばらく身を委ねた。

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クロス「.........落ち着いたか?」

あれから、数十分が経ち、フローズはやっと離れた

フローズ「うん、ありがとう、だいぶ落ち着いたわ」

クロス「なら良かった」

フローズ「さて、気分も良くなったし!さっさと準備しましょ!」

そう言って、荷造りを始めるフローズ
どうやら本当に気分が良くなったのだろう。

クロス「なら俺はミク達に声をかけてくる」

フローズ「うん、わかった」

そう言ってクロスはミク達の部屋に向かった

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ミク達の部屋

コンコンコン

メミル「はい」ガチャ

クロス「あ、義姉さん、ちょっと時間いい?」

メミル「クロス?ええ、いいけど」

クロス「ありがとう」

セシル「あれ?義兄さん?どうしたの?」

クロス「ちょっと3人に話したいことがあって、....あれ?ミクは?」

セシル「ミク姉なら自主練中よ、剣の腕が鈍らないようにって」

クロス「なる程」

メミル「でも、もうそろそろ帰ってくる頃よ」

ガチャ

ミク「ふー、疲れたぁ」

メミル「っと噂をすれば」

ミク「何?どうしたの...ってクロス!?」

クロス「なんだ?いて悪いのか?」

ミク「いやそうじゃなくて、珍しいなと思って、何か様があるの?」

クロス「ああ、着替えながらでもいいから聞いてくれ」

~クロス説明中~

クロス「と、言う事なんだけど、一緒に帰らない?」

ミク「.....たしかに帰りたいけど」

メミル「私達の事、両親も知っているんでしょ?」

セシル「例え事情を知っても許してくれるかどうか」

彼女達の言っていることは最もだ、誰もが許すわけではない、例え魅了されていようとも、裏切った事には変わりはないからだ。

クロス「大丈夫だよ、側には俺とフローズもいるし、それに俺の婚約者(仮)なんだし、俺が許せばなんとかなるでしょ」

そう仮とはいえ、今はまた婚約関係なのだ、それに当の本人が許しているのだ、多分大丈夫だろう、多分

ミク「まぁ、クロスが言うなら」

セシル「義兄さん、必ず守ってよ」

クロス「ああ、約束する。」

メミル「なら、行くわ」

クロス「ありがとう、みんな」

これで全員行くことが決まったな

ミク「それでいつ行くの?」

クロス「そうだな、今日荷造りして、明日行こうと思う」

メミル「明日ねわかったわ」

セシル「じゃあ、私達も準備するから」

クロス「わかった、それじゃあ」

ミク「ええ、ありがとね」

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翌日

王城の出入り口前に立派な馬車とそれに驚く4人の姿があった

クロス.ミク.メミル.セシル
(やっぱり王族は違うなぁ)苦笑い

フローズ(そう言えば、クロス達って村から来たんだっけ?それは驚くよね)

国王「何かあればすぐに連絡してくれ、すぐに駆けつける」

クロス「はい、できればそうならない事を祈るばかりです。」

王妃「本当は私達もお会いしたいのですが、まだ仕事が残ってますので残念です」

フローズ「視察と称して行けばいいのでは?」

王妃「あ」

どうやら考えてなかったようだ

宰相「だからと言って今更無理ですよ」

それはそうだ、そんなんで行けば王族として威厳に関わる

ミク「それでは国王様、王妃様行って参ります。」

そう言って5人は頭を下げて馬車に乗る

こうしてクロス達は久しぶりに村へ行く

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馬車の中

馬車の中はなかなか快適で5人乗っても窮屈にはならなかった。

クロス「なかなか広いな5人もいるのにここまでゆっくり出来るなんて」

そう言って背筋を伸ばす、ここまでやっても平気とは流石は王族と改めて感じた。

フローズ「それはそうでしょう、お忍びで行くのではないのですから」

そう言えば昔こっそりと来てたなぁと
クロスとフローズはクスリと笑った

そうやって馬車の中で他愛もない会話をしている中、ふとメミルが気づく

メミル「ねぇそういえば、お父さんとお母さんには話してあるんだよね?私達が帰ってくる事」

クロス「........あ」

その言葉で、全て察する

セシル「え、まさか言ってないの?」

ミク「はあ、どうなっても知らないよ私」

クロス「あはははぁ、まあ何があっても俺がなんとかするから、ね?」

フローズ「まぁ、私もその事を忘れて浮かれていたのもありますので、皆さんどうかその辺で」

クロス「フローズ~」涙目

フローズ「そのかわりみんなに美味しいスイーツ作ってくださいね?」

ミク「あ!それいいかもあたしも久し振りに食べたい!」

メミル「私も食べたいわね♪」

セシル「義兄さんのスイーツ....最高!」

そうやってワイワイしている中

クロスは

「わかったよ、作ってやるよ」
と言って、彼女達を喜ばせた

そうこうしているうちに

クロス「見えてきたぞ!」

馬車の外空眺める

ミク「ぼんやりとしか見えないけど、懐かしさはあるね」

メミル「帰ってきたんだね」

セシル「なんだか、数十年ぶりに、帰ってきたみたいだね」

そして4人は目を瞑りそして静かに思う

クロス.ミク.メミル.セシル

(ただいま)

————————————————————
続く




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