国王陛下、王太子殿下、貴方達が婚約者に選んだ人は偽物ですよ。教えませんけれどね♪

山葵

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「何!?予言者によれば、今世に妖精に愛されし者が産まれているとな?それは真か?誰じゃ?」

「そこまでは…王子が、その娘を娶れば、この国は安泰だと予言されました」

「うむ…年齢も不明とな…取り敢えずロバートに合う年頃の令嬢が居る家を調べさせろ。見付からねば更に下の…」

「それが…予言者が言うには、貴族なのか平民なのかも分からないと…」

「ふむ…国中から捜す事になるのか…即刻、国中の娘を…いや調べていたら時間が掛かるな。平民に関しては領主に指示し情報を集めろ!貴族令嬢は茶会を開催し参加させろ」

「御意に」


今世のこの国に、妖精に愛されし者が産まれているとは…。

何百年か前に、妖精王に愛されし者が王家に嫁ぎ、その時代は、国が豊かになり、隣国もひれ伏したと云う。

確かに王太子となるロバートが産まれた頃位から、この国は前よりも豊作に見舞われ国が潤っている。
ロバートと変わらない位に産まれた子に違いない。

何としても捜し出し、王太子と婚姻させねばならぬ。
もし他国に嫁ぎでもすれば大変な事になる。

しかし茶会を開いたところで、どうやって妖精に愛されし者か見分けられるのか?

国王は、議会を開き、皆に問うてみたが、誰も答えられなかった。

悩んで悩んで悩んだ頃に、魔道師が発言した。

「魔法で幻想の世界を造り、災難に合わせてみましょう。勿論、幻想なので本当に怪我などする事は有りません。ですが、その世界では、怪我をした様にも、服が破れた様にも見えます。その中で、何事もなくしている者こそ妖精に守られている者と言えましょう」

国王は、頷き、その計画に賛成した。


王太子ロバートは、国王である父から、妖精に愛されし者を婚約者とすると言われ、うんざりした。

「何が妖精だ!大体そんな物が本当に居るのか!?妖精に愛されし者が、物凄く不細工だったらどうするのだ?いくら心が綺麗でも、人間見た目だろう?
不細工な王太子妃なんて聞いた事ないぞ!まして平民の娘だったらどうするのだ?そんな女と結婚なんて無理だ!」

「ロバート、貴方は将来この国の国王になるのですよ。国が豊かになり、栄えさせるのが貴方の使命。妖精に愛されし者は、この国の将来を変えます。その事を理解しなさい」

「分かっています!ですが母上…」

「ロバート。これは王命です!理解なさい」

分かってはいるさっ!でも美人や可愛い娘の方が良いのは男の性だろう!?

それにそいつが平民の娘だったら王妃なんて務まる訳無い!

あーどうか妖精に愛されし者が美人の貴族令嬢であります様に!
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