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「マリーナ嬢。良かった。何処に行ったのかと探していたんです。突然、王太子が飛ばされて来るなんて、一体何が…」
「本当に驚きましたわ。エルド様、王太子殿下は無事なのでしょうか?これからこの国はどうなるのでしょう…」
国王陛下に子供は王子しか居ない。
世継ぎを作るか、王家筋から後継ぎとして迎え入れるのか…。
「「エルド!」」
「ああ父上、兄上。紹介します。彼女は…「っ!妖精に愛されし者…貴女が、そうでよね?」
エルド様のお兄様は、私を見詰めるとそう言った。
「っ!貴女の橫に居るお方は、もしやっ!!!」
そう言うと片膝を着き頭を下げる。
「父上、エルド!そこに妖精王がいらっしゃる」
2人には見えていないが、慌てて同じ様に片膝を着き頭を下げた。
3人に跪かれた私は、周りが見ていないか焦りながら何とか説得し立ってもらった。
「えっとエルド様のお兄様…「ジルタと申します」
「ジルタ様には妖精が見えているのですか?」
「はっきりとは見えません。光がフワフワと浮いているのが見えるだけです」
「なぜ妖精王が居ると?」
「光が大きく、輝きも違う物が貴女の橫に居るのが見えます。今まで見た事もない輝き、妖精王だと確信しました」
そうなんだ…。
あれ?ジルタ様が見えるなら最初からジルタ様が見れば誰が愛されし者か分かったのでは?
私の考えている事がアルス伯爵に伝わった。
「ジルタは、修行で各国を旅しておりました。まだ修行の途中ですが王太子の婚約発表パーティーに次期当主として出席する為に一時帰国したのです。たまたま手紙が届き連絡が付きましたが、普段は連絡も忘れた頃に寄越す程度で…陛下にもジルタが見える事は伏せておりました」
そうなんだ…彼が居れば、こんな事態にならずに済んだか、その時は私が逃げたかも…。
どう考えても、あんなのとの結婚は無理だわ。
『マリーナ。バレてしまったが、どうする?消すか?』
「消す?何をです?」
『この国を消しても良いが…お前が嫌だろう?この者達の記憶を消すか?』
「グリース様、待って下さい!あ、あのアルス伯爵、ジルタ様、エルド様、私が妖精に愛されし者だという事を黙っていて貰えませんか?」
「それは…「でないと妖精王様があなた方の記憶を消すと言っています」
「僕は黙っていると約束します。マリーナ嬢との事を忘れてしまうなんて出来ない」
「私も黙っていると約束しますよ。どうせ直ぐに次の国に行きますし、妖精王に逆らうなど出来ません。どうかご安心下さい」
「…分かりました。私は予言者です。予言するだけで誰かまでは分かりません。そう此れからも…」
「ありがとうございます。グリース様、皆さん約束してくれましたわ」
『まったくお前は…ならばもしも破った時の為に術を掛けておこう。破った時は記憶が失くなるだけではない。生きた屍になるだろう』
「そんな事…」
『約束を破らねば良い事だ』
「妖精王様が3人に約束を破らない様に!と誓いの術を掛けました」
「術?それはどんな?」
「全ての記憶を失くすとの事です」
そう全ての記憶…。生きていた記憶さえも。
「どうか妖精王様を怒らせません様に」
「「「約束致します」」」
アルス伯爵とジルタ様は先に屋敷に帰ると言って帰ってしまった。
エルド様は、私を送ると言って残ってくれていた。
どうせ両親は私の事など忘れているし、先に帰っても問題ないだろうと屋敷に戻る事にした。
「本当に驚きましたわ。エルド様、王太子殿下は無事なのでしょうか?これからこの国はどうなるのでしょう…」
国王陛下に子供は王子しか居ない。
世継ぎを作るか、王家筋から後継ぎとして迎え入れるのか…。
「「エルド!」」
「ああ父上、兄上。紹介します。彼女は…「っ!妖精に愛されし者…貴女が、そうでよね?」
エルド様のお兄様は、私を見詰めるとそう言った。
「っ!貴女の橫に居るお方は、もしやっ!!!」
そう言うと片膝を着き頭を下げる。
「父上、エルド!そこに妖精王がいらっしゃる」
2人には見えていないが、慌てて同じ様に片膝を着き頭を下げた。
3人に跪かれた私は、周りが見ていないか焦りながら何とか説得し立ってもらった。
「えっとエルド様のお兄様…「ジルタと申します」
「ジルタ様には妖精が見えているのですか?」
「はっきりとは見えません。光がフワフワと浮いているのが見えるだけです」
「なぜ妖精王が居ると?」
「光が大きく、輝きも違う物が貴女の橫に居るのが見えます。今まで見た事もない輝き、妖精王だと確信しました」
そうなんだ…。
あれ?ジルタ様が見えるなら最初からジルタ様が見れば誰が愛されし者か分かったのでは?
私の考えている事がアルス伯爵に伝わった。
「ジルタは、修行で各国を旅しておりました。まだ修行の途中ですが王太子の婚約発表パーティーに次期当主として出席する為に一時帰国したのです。たまたま手紙が届き連絡が付きましたが、普段は連絡も忘れた頃に寄越す程度で…陛下にもジルタが見える事は伏せておりました」
そうなんだ…彼が居れば、こんな事態にならずに済んだか、その時は私が逃げたかも…。
どう考えても、あんなのとの結婚は無理だわ。
『マリーナ。バレてしまったが、どうする?消すか?』
「消す?何をです?」
『この国を消しても良いが…お前が嫌だろう?この者達の記憶を消すか?』
「グリース様、待って下さい!あ、あのアルス伯爵、ジルタ様、エルド様、私が妖精に愛されし者だという事を黙っていて貰えませんか?」
「それは…「でないと妖精王様があなた方の記憶を消すと言っています」
「僕は黙っていると約束します。マリーナ嬢との事を忘れてしまうなんて出来ない」
「私も黙っていると約束しますよ。どうせ直ぐに次の国に行きますし、妖精王に逆らうなど出来ません。どうかご安心下さい」
「…分かりました。私は予言者です。予言するだけで誰かまでは分かりません。そう此れからも…」
「ありがとうございます。グリース様、皆さん約束してくれましたわ」
『まったくお前は…ならばもしも破った時の為に術を掛けておこう。破った時は記憶が失くなるだけではない。生きた屍になるだろう』
「そんな事…」
『約束を破らねば良い事だ』
「妖精王様が3人に約束を破らない様に!と誓いの術を掛けました」
「術?それはどんな?」
「全ての記憶を失くすとの事です」
そう全ての記憶…。生きていた記憶さえも。
「どうか妖精王様を怒らせません様に」
「「「約束致します」」」
アルス伯爵とジルタ様は先に屋敷に帰ると言って帰ってしまった。
エルド様は、私を送ると言って残ってくれていた。
どうせ両親は私の事など忘れているし、先に帰っても問題ないだろうと屋敷に戻る事にした。
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