7 / 14
7
しおりを挟む
「ご機嫌ようエルド様。本日は一体どうされたのですか?」
エルド様は、挨拶をする私を見ると一瞬固まった様に動かない。
「マ、マリーナ嬢が、て、手紙で1人で行くと書いてあったので、もし宜しければ…あ、あの僕で良ければご一緒しても?」
「エルド様の御迷惑でなければ、どうぞ宜しくお願い致します」
私は皆に見送られ、エルド様と共に王宮へと向かう。
馬車の中でエルド様は、私の方を向いてくれず窓の外を眺めてばかりいる。
「エルド様。ご気分が悪いのですか?具合が悪いのでしたら屋敷にお戻りになられた方が…」
「い、いや気分は悪くないです」
「でしたら私と話したく無いのですか?では、ここで降ります。停めて下さい!」
『マリーナを泣かした!』
『コイツ懲らしめて良いよな?』
「ち、違います!その…マリーナ嬢があまりにも綺麗で…すみません。僕の様な者が…」
「私が綺麗ですか?」
「綺麗です!とても綺麗です!!」
「本当に?」
「本当です!!」
「ありがとうございます」
エルド様に綺麗と褒められるのは誰よりも嬉しく思う。
これが恋なのだろうか?
いつかは諦めなければならない恋だけれど…今だけはエルド様、貴方を好きで居させて下さい。
「マリーナ嬢?」
「エルド様。茶会の日に私に話し掛けて下さり、ありがとうございます」
エルド様は、照れた顔をして笑ってくれた。
王宮に着いてもエルド様は、私をエスコートしてくれる。
このまま私と一緒に居てはエルド様がご令嬢達に要らぬ誤解をされてしまうかもしれない。
折角の出逢いを私のせいで失くしてしまう。
私は化粧室に行く振りをしてエルド様の側を離れる。
「あれ?君は誰ぇ?君みたいな美人な令嬢いたかなぁ~?」
1人廊下を歩く私は、すれ違い様に腕を掴まれる。
痛い!誰と聞く貴方こそ誰!?
「王太子殿下…」
「う~ん、やっぱり見た事ないやぁ~。君、婚約者選びの茶会に来てなかったよね~?何で来なかったのぉ~?来ていたら僕は間違いなく君を選んだのになぁ~」
はぁ?何を言っているのだ、この人は!?
今日は、あなたとアイリスの婚約発表の日でしょう!?なぜ、この人は今私を口説いているのだ?
こんな人が王太子なの?この国の未来は大丈夫?
「そうだぁ!君さぁ~俺の側室にしてあげるよぉ~。さっき婚約発表しちゃったからさぁ~する前だったら正妻にしてあげれたんだけれどなぁ~。残念!でも君だったら側室でも、俺がたぁ~ぷり愛してあげるから心配しなくても大丈夫だよぉ~」
「け、結構です!お断り致します!!」
腕を振り払い、先に進もうとするが、王太子は、また私の腕を掴み無理矢理引っ張って空いている部屋へと連れ込んだ。
「王太子殿下!?あなた方の晴れの日に何をするおつもりですか!?」
「君が悪いんだよぉ~。俺が側室にしてあげると言っているのに断るからさぁ~。嫌がるなら既成事実を作ってしまおうかと思ってねぇ~♪」
「な、何を馬鹿な事を!貴方はこの国の王太子なのですよ!!」
「だから~俺が望んだ物で手に入らない物はないんじゃないかぁ~。俺はねぇ~君が欲しいんだよぉ~」
『なんて愚かな…。これが此の国の王太子とは…』
「グリース様…」
『マリーナ。お前が止めても私は、こやつに制裁を下すぞ』
「構いません。この様な人が国王になるなど在ってはなりません」
「お前、何をブツブツ言っているのだ?」
「貴方は妖精王グリース様を怒らせました」
「はぁぁ?何を言っ…!?ま、まさか、お前が妖精に愛されし者?ア、アイリスじゃなかったのか!?えっ?妖精王が怒ってる!?」
妖精王は、王太子に手を翳し吹っ飛ばした。
怒りを含んだ威力は凄まじく、王太子は壁を突き破りパーティー会場まで飛んでいった。
突然、気絶した王太子が壁を突き破り飛んで来た事で会場は大騒ぎになっている。
このままこの部屋に居ては不味いと急いで会場へと戻り何食わぬ顔をして騒ぎを見ていた。
「グリース様。王太子は、死んではいないのですよね?」
『死んではおらん。だが、頭は間違いなく死んだなっ』
気絶する王妃様。
泣き叫ぶアイリス。
倒れそうになりながらも気丈に指示を出す国王。
オロオロする両親。
遠目で見ている貴族達。
パーティーは、勿論お開きとなった。
エルド様は、挨拶をする私を見ると一瞬固まった様に動かない。
「マ、マリーナ嬢が、て、手紙で1人で行くと書いてあったので、もし宜しければ…あ、あの僕で良ければご一緒しても?」
「エルド様の御迷惑でなければ、どうぞ宜しくお願い致します」
私は皆に見送られ、エルド様と共に王宮へと向かう。
馬車の中でエルド様は、私の方を向いてくれず窓の外を眺めてばかりいる。
「エルド様。ご気分が悪いのですか?具合が悪いのでしたら屋敷にお戻りになられた方が…」
「い、いや気分は悪くないです」
「でしたら私と話したく無いのですか?では、ここで降ります。停めて下さい!」
『マリーナを泣かした!』
『コイツ懲らしめて良いよな?』
「ち、違います!その…マリーナ嬢があまりにも綺麗で…すみません。僕の様な者が…」
「私が綺麗ですか?」
「綺麗です!とても綺麗です!!」
「本当に?」
「本当です!!」
「ありがとうございます」
エルド様に綺麗と褒められるのは誰よりも嬉しく思う。
これが恋なのだろうか?
いつかは諦めなければならない恋だけれど…今だけはエルド様、貴方を好きで居させて下さい。
「マリーナ嬢?」
「エルド様。茶会の日に私に話し掛けて下さり、ありがとうございます」
エルド様は、照れた顔をして笑ってくれた。
王宮に着いてもエルド様は、私をエスコートしてくれる。
このまま私と一緒に居てはエルド様がご令嬢達に要らぬ誤解をされてしまうかもしれない。
折角の出逢いを私のせいで失くしてしまう。
私は化粧室に行く振りをしてエルド様の側を離れる。
「あれ?君は誰ぇ?君みたいな美人な令嬢いたかなぁ~?」
1人廊下を歩く私は、すれ違い様に腕を掴まれる。
痛い!誰と聞く貴方こそ誰!?
「王太子殿下…」
「う~ん、やっぱり見た事ないやぁ~。君、婚約者選びの茶会に来てなかったよね~?何で来なかったのぉ~?来ていたら僕は間違いなく君を選んだのになぁ~」
はぁ?何を言っているのだ、この人は!?
今日は、あなたとアイリスの婚約発表の日でしょう!?なぜ、この人は今私を口説いているのだ?
こんな人が王太子なの?この国の未来は大丈夫?
「そうだぁ!君さぁ~俺の側室にしてあげるよぉ~。さっき婚約発表しちゃったからさぁ~する前だったら正妻にしてあげれたんだけれどなぁ~。残念!でも君だったら側室でも、俺がたぁ~ぷり愛してあげるから心配しなくても大丈夫だよぉ~」
「け、結構です!お断り致します!!」
腕を振り払い、先に進もうとするが、王太子は、また私の腕を掴み無理矢理引っ張って空いている部屋へと連れ込んだ。
「王太子殿下!?あなた方の晴れの日に何をするおつもりですか!?」
「君が悪いんだよぉ~。俺が側室にしてあげると言っているのに断るからさぁ~。嫌がるなら既成事実を作ってしまおうかと思ってねぇ~♪」
「な、何を馬鹿な事を!貴方はこの国の王太子なのですよ!!」
「だから~俺が望んだ物で手に入らない物はないんじゃないかぁ~。俺はねぇ~君が欲しいんだよぉ~」
『なんて愚かな…。これが此の国の王太子とは…』
「グリース様…」
『マリーナ。お前が止めても私は、こやつに制裁を下すぞ』
「構いません。この様な人が国王になるなど在ってはなりません」
「お前、何をブツブツ言っているのだ?」
「貴方は妖精王グリース様を怒らせました」
「はぁぁ?何を言っ…!?ま、まさか、お前が妖精に愛されし者?ア、アイリスじゃなかったのか!?えっ?妖精王が怒ってる!?」
妖精王は、王太子に手を翳し吹っ飛ばした。
怒りを含んだ威力は凄まじく、王太子は壁を突き破りパーティー会場まで飛んでいった。
突然、気絶した王太子が壁を突き破り飛んで来た事で会場は大騒ぎになっている。
このままこの部屋に居ては不味いと急いで会場へと戻り何食わぬ顔をして騒ぎを見ていた。
「グリース様。王太子は、死んではいないのですよね?」
『死んではおらん。だが、頭は間違いなく死んだなっ』
気絶する王妃様。
泣き叫ぶアイリス。
倒れそうになりながらも気丈に指示を出す国王。
オロオロする両親。
遠目で見ている貴族達。
パーティーは、勿論お開きとなった。
114
あなたにおすすめの小説
男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。
kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
絶縁状をお受け取りくださいませ旦那様。~離縁の果てに私を待っていたのは初恋の人に溺愛される幸せな異国ライフでした
松ノ木るな
恋愛
アリンガム侯爵家夫人ルシールは離婚手続きが進むさなかの夜、これから世話になる留学先の知人に手紙をしたためていた。
もう書き終えるかという頃、扉をノックする音が聞こえる。その訪ね人は、薄暗い取引で長年侯爵家に出入りしていた、美しい男性であった。
ある、義妹にすべてを奪われて魔獣の生贄になった令嬢のその後
オレンジ方解石
ファンタジー
異母妹セリアに虐げられた挙げ句、婚約者のルイ王太子まで奪われて世を儚み、魔獣の生贄となったはずの侯爵令嬢レナエル。
ある夜、王宮にレナエルと魔獣が現れて…………。
透明な貴方
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。
私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。
ククルス公爵家の一人娘。
父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。
複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。
(カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)
うちに待望の子供が産まれた…けど
satomi
恋愛
セント・ルミヌア王国のウェーリキン侯爵家に双子で生まれたアリサとカリナ。アリサは黒髪。黒髪が『不幸の象徴』とされているセント・ルミヌア王国では疎まれることとなる。対してカリナは金髪。家でも愛されて育つ。二人が4才になったときカリナはアリサを自分の侍女とすることに決めた(一方的に)それから、両親も家での事をすべてアリサ任せにした。
デビュタントで、カリナが皇太子に見られなかったことに腹を立てて、アリサを勘当。隣国へと国外追放した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる