9 / 14
9
しおりを挟む
「マリーナ嬢、貴女が妖精に愛されし者だったのですね」
「黙っていて、ごめんなさい。妖精王グリース様と誰にも言わないと約束したのです…」
エルド様と会うのも今日が最後になるかもしれない。
妖精に愛されし者など嫌に決まっている。
もう少しで屋敷にも着く。
最後はエルド様と笑って別れたい。
「エルド様。今まで私の様な者と仲良くして頂き、文通までしていただいて、ありがとう御座いました。どうかこれからもお身体に気を…「ちょ、ちょっと待って下さい!マリーナ嬢は何を言っているのですか?それではまるで、もう会わない様な言い方ではないですか?僕…マリーナ嬢に嫌われる様な事をしてしまいましたか?それなら謝ります」
「エルド様は何も悪い事をしていません。ただ私の様な者がエルド様の側に居ると他のご令嬢達も近寄って来れませんし…」
「僕は貴女以外の女性に近付かれては困ります。マリーナ嬢こそ綺麗なのですから僕よりお似合いの方が居るかもしれません。ですが、僕はマリーナ嬢と一緒に居たい。僕と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
『わぁ~とうとう言ったよ』
『マリーナおめでとう』
『俺のマリーナを…ぶっ飛ばして良いか?』
「私…私で良いのですか?」
「マリーナ嬢が良いのです。貴女が好きです」
マリーナはエルド様の言葉に喜び涙したが、ハッ!と家族の事を思い出す。
私は、ロザリオ侯爵家で使用人として生きてきた。
エルド様と結婚すると言って、あの人達が認めてくれるのだろうか?
もし嫌がらせで直ぐに勘当され放り出されたらエルド様とは結婚は出来ない。
マリーナは、エルド様に全てを話す事に決めた。
「エルド様、少し長くなるのですがお話したい事が御座います。屋敷ですと、いつお父様が帰ってくるか…」
「ならばアルス伯爵家で良いですか?」
私達は、侯爵家を通り過ぎアルス伯爵家へと向かった。
伯爵家の応接室で私は、今までの侯爵家の事を全て話した。
エルド様はうっすらと眼を赤くし聞いていた。
「…マリーナ嬢…辛い目に合いましたね…」
『エルドが泣いてるぞ』
『マリーナ泣かした』
「マリーナ嬢、僕はアルス伯爵家の次男です。このアルス伯爵家は兄上が継ぎます。まぁ本人は嫌がって居ますが…。お父様は、僕の為に子爵家の爵位もそのままにして貰って居ます。貴女が僕の所に嫁いできても何も問題はないのですが、貴女は家を出られた後の事を決められていたのではないですか?」
「…私は旅に出ようかと思っていました。ロザリオ侯爵家を出たらエルド様と一緒に居られないと思っておりました。ですが貴方と一緒に居られるのなら私は貴方と一緒に居たい」
私が、この国を出れば妖精達も減ってしまう。
妖精王もこの国から離れるかもしれない。
それでもエルド様が誰かと幸せになるのは見たくなかった。
だから、自分勝手だけれど自分を捨てた侯爵家や顔で選ぶ王太子の居る国などに未練など無かった。
エルド様は、従者に父上に話をしたいと伝えに行かせた。
戻って来た従者からアルス伯爵は執務室に居ると伝えられる。
執務室に入ると、伯爵はエルドの他に私も一緒に居る事に驚いた。
「父上、兄上、僕はマリーナ嬢と結婚をしたいと思います。どうか許可して下さい」
私達は、頭を下げて頼んだ。
「マリーナ嬢、我がアルス伯爵家は、この前まで子爵家であった家です。侯爵家の貴女が嫁ぐなど…」
「それなのですが…マリーナ嬢、話して良いですか?」
私は頷く。
エルド様は、私が先程話した事を伯爵に話した。
「まさか…そんな事が…」
伯爵もジルタ様も黙ってしまった。
「黙っていて、ごめんなさい。妖精王グリース様と誰にも言わないと約束したのです…」
エルド様と会うのも今日が最後になるかもしれない。
妖精に愛されし者など嫌に決まっている。
もう少しで屋敷にも着く。
最後はエルド様と笑って別れたい。
「エルド様。今まで私の様な者と仲良くして頂き、文通までしていただいて、ありがとう御座いました。どうかこれからもお身体に気を…「ちょ、ちょっと待って下さい!マリーナ嬢は何を言っているのですか?それではまるで、もう会わない様な言い方ではないですか?僕…マリーナ嬢に嫌われる様な事をしてしまいましたか?それなら謝ります」
「エルド様は何も悪い事をしていません。ただ私の様な者がエルド様の側に居ると他のご令嬢達も近寄って来れませんし…」
「僕は貴女以外の女性に近付かれては困ります。マリーナ嬢こそ綺麗なのですから僕よりお似合いの方が居るかもしれません。ですが、僕はマリーナ嬢と一緒に居たい。僕と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
『わぁ~とうとう言ったよ』
『マリーナおめでとう』
『俺のマリーナを…ぶっ飛ばして良いか?』
「私…私で良いのですか?」
「マリーナ嬢が良いのです。貴女が好きです」
マリーナはエルド様の言葉に喜び涙したが、ハッ!と家族の事を思い出す。
私は、ロザリオ侯爵家で使用人として生きてきた。
エルド様と結婚すると言って、あの人達が認めてくれるのだろうか?
もし嫌がらせで直ぐに勘当され放り出されたらエルド様とは結婚は出来ない。
マリーナは、エルド様に全てを話す事に決めた。
「エルド様、少し長くなるのですがお話したい事が御座います。屋敷ですと、いつお父様が帰ってくるか…」
「ならばアルス伯爵家で良いですか?」
私達は、侯爵家を通り過ぎアルス伯爵家へと向かった。
伯爵家の応接室で私は、今までの侯爵家の事を全て話した。
エルド様はうっすらと眼を赤くし聞いていた。
「…マリーナ嬢…辛い目に合いましたね…」
『エルドが泣いてるぞ』
『マリーナ泣かした』
「マリーナ嬢、僕はアルス伯爵家の次男です。このアルス伯爵家は兄上が継ぎます。まぁ本人は嫌がって居ますが…。お父様は、僕の為に子爵家の爵位もそのままにして貰って居ます。貴女が僕の所に嫁いできても何も問題はないのですが、貴女は家を出られた後の事を決められていたのではないですか?」
「…私は旅に出ようかと思っていました。ロザリオ侯爵家を出たらエルド様と一緒に居られないと思っておりました。ですが貴方と一緒に居られるのなら私は貴方と一緒に居たい」
私が、この国を出れば妖精達も減ってしまう。
妖精王もこの国から離れるかもしれない。
それでもエルド様が誰かと幸せになるのは見たくなかった。
だから、自分勝手だけれど自分を捨てた侯爵家や顔で選ぶ王太子の居る国などに未練など無かった。
エルド様は、従者に父上に話をしたいと伝えに行かせた。
戻って来た従者からアルス伯爵は執務室に居ると伝えられる。
執務室に入ると、伯爵はエルドの他に私も一緒に居る事に驚いた。
「父上、兄上、僕はマリーナ嬢と結婚をしたいと思います。どうか許可して下さい」
私達は、頭を下げて頼んだ。
「マリーナ嬢、我がアルス伯爵家は、この前まで子爵家であった家です。侯爵家の貴女が嫁ぐなど…」
「それなのですが…マリーナ嬢、話して良いですか?」
私は頷く。
エルド様は、私が先程話した事を伯爵に話した。
「まさか…そんな事が…」
伯爵もジルタ様も黙ってしまった。
97
あなたにおすすめの小説
男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。
kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
絶縁状をお受け取りくださいませ旦那様。~離縁の果てに私を待っていたのは初恋の人に溺愛される幸せな異国ライフでした
松ノ木るな
恋愛
アリンガム侯爵家夫人ルシールは離婚手続きが進むさなかの夜、これから世話になる留学先の知人に手紙をしたためていた。
もう書き終えるかという頃、扉をノックする音が聞こえる。その訪ね人は、薄暗い取引で長年侯爵家に出入りしていた、美しい男性であった。
ある、義妹にすべてを奪われて魔獣の生贄になった令嬢のその後
オレンジ方解石
ファンタジー
異母妹セリアに虐げられた挙げ句、婚約者のルイ王太子まで奪われて世を儚み、魔獣の生贄となったはずの侯爵令嬢レナエル。
ある夜、王宮にレナエルと魔獣が現れて…………。
透明な貴方
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。
私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。
ククルス公爵家の一人娘。
父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。
複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。
(カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)
うちに待望の子供が産まれた…けど
satomi
恋愛
セント・ルミヌア王国のウェーリキン侯爵家に双子で生まれたアリサとカリナ。アリサは黒髪。黒髪が『不幸の象徴』とされているセント・ルミヌア王国では疎まれることとなる。対してカリナは金髪。家でも愛されて育つ。二人が4才になったときカリナはアリサを自分の侍女とすることに決めた(一方的に)それから、両親も家での事をすべてアリサ任せにした。
デビュタントで、カリナが皇太子に見られなかったことに腹を立てて、アリサを勘当。隣国へと国外追放した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる