国王陛下、王太子殿下、貴方達が婚約者に選んだ人は偽物ですよ。教えませんけれどね♪

山葵

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「私が生活してこれたのは、屋敷で働く使用人の人達とグリース様や妖精達のお陰なんです。だから皆さんが思っているより辛くなかったんですよ」

「分かりました。私の方からロザリオ侯爵家にカリーナ嬢との縁談の申し込みをしてみます。断られた時は…いえ、その時にまた考えましょう」

私はエルド様に送られ侯爵家へと帰る。

「僕の事はエルドと呼んで下さい」

「では私の事もマリーナと…あと話し方も変えましょう!」

「そうだね。恋人なのに敬語は可笑しいね。…君をあんな奴らの所になど帰したくない。婚約者になれば僕が君を守れるのに」

『コイツ腹立つ!俺っちがマリーナを守ってきたのに』

『もうスイっ!マリーナが好きだからってヤキモチ焼かないの!!』

『マリーナ、守ってくれる人間が出来て良かったね♪』

「うふふ…そうね」

「マリーナ、どうしたの?」

「妖精が私達を祝福してくれてるわ♪」

『俺っちは祝福してないぞ!!』

『『こらっスイ!』』

「妖精が?良かった!…ああ着いてしまった。それじゃあマリーナ、また…」

「えぇエルドまたね…」

私は後ろ髪を引かれながらも屋敷に入る。

エルドもマリーナが屋敷に入るのを確認してから馬車を出させた。


2日後、お父様から執務室へ呼び出される。

「お前の結婚相手が決まった。相手はアルス伯爵家の次男だ。
今回の婚約発表パーティーの為に、我が家もだいぶ金を使ったからな。お前の支度金は出せないと言ったんだが、それでも良いと言ってきた。
お前の何をそんなに気に入ったんだか。
アルス家は、予言者として陛下の覚えも良いし、我が家にとっても悪い話ではない。
どうせお前などアイリスが結婚したら追い出すつもりでいたのだ。
最後に我が家の役に立って良かったなっ。
アルス伯爵家には承諾の手紙を出して置いた。話は以上だ」

やったわ!結婚が認められた。
私、エルドと結婚出来るのね。

部屋を出ると、そこに執事が私を呼びに来た。

「アルス伯爵家子息がお越しです。お嬢様、おめでとうございます」

「ありがとう」と告げて玄関に急ぐ。

「エルド!」

「マリーナ、先触れもなく突然来てごめんね。父上から婚姻が了承されたと聞いて嬉しくて来てしまった」

『なんかムカつく!吹っ飛ばそう!!』

『マリーナおめでとう♪』

『マリーナ、王様が呼んでるの~。森に来て欲しいって~』

「グリース様が?」

『そこのヤツも連れて来い!だってさぁー。王様にボコられろ』

「エルド。妖精王グリース様が私達を呼んでいるらしいの」

エルドは、驚き息を止めてしまった。

私は、グリース様を待たせてはいけないとエルドの手を引き森へと歩き出す。

「妖精王は、僕とマリーナが結婚する事を怒っているのかな?」

「それは無いと思うけれど…」

森の奥へと進むと、1本の大木の下でグリース様は待っていた。

『マリーナ良く来た。その男と結婚すると決めたのだな?後悔はしないか?』

「しません。エルドと共に生きると決めました。エルドと これからの人生を共に歩んで行けたらと思っています」

『そうか…』

グリース様は、エルドを見詰めると何か呪文の様な言葉を言った。

「あっ!」

エルドは、膝を着き頭を下げた。

『エルド。私の声が聞こえるか?』

「はい、妖精王」

『妖精に愛されしマリーナは、そなたと添い遂げる事を選んだ。そなたがもしマリーナを裏切れば、この国が滅び、この国に住む民が滅びよう。それでも、そなたはマリーナを選ぶか?』

「私はマリーナを裏切りません。必ずどちらかが先に死ぬまで添い遂げると誓います。妖精王グリース、どうか私とマリーナとの結婚をお許し下さい」

『お前の言葉を信じ、許そう。マリーナ、私の可愛い子。必ず幸せになるのだよ』

「「ありがとうございます」」

グリース様がエルドに近付くと、リーとミゥが私の耳を塞いだ。

『今までマリーナを虐げてきたロザリオ侯爵家には制裁を下す。今まではマリーナが望まぬゆえ侯爵家に居る間はと何も制裁を下さなかったが、余の我慢も限界を迎えていた。エルド、マリーナを一刻も早く屋敷から連れ出せ』

「勿論、早急に結婚し、あんな所から1日でも早く連れ出したいと思っています」

『そうか。ならば私も手を貸すとしよう。今、国王は、王太子の件で執務をしていない。貴族の婚姻は国王の許可が無いと出来ないのであろう?まったく面倒な事だ。すべて私に任せるが良い。お前は直ぐに婚姻許可申請をしろ』

「畏まりました。どうか宜しくお願い致します」

『ではマリーナ、エルド、また余に会いに来い』

そう言うとグリース様は消えてしまった。

「エルド。グリース様と何の話をしていたの?」

「男同士の話しをちょっとね」

これは話す気はないのだとマリーナは聞くのを諦めた。
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