国王陛下、王太子殿下、貴方達が婚約者に選んだ人は偽物ですよ。教えませんけれどね♪

山葵

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宰相であるフィルランダ侯爵は、国王の言葉に耳を疑った。

妖精の愛し子かもしれないと疑惑の渦中にいるアルス伯爵家の嫁マリーナを後宮に閉じ込め側室にすると言ったのだ。

アルス伯爵家次男と妻、マリーナは、まだ婚姻したばかり。

嫌がる夫人を無理やり手篭めにするつもりなのか?

彼女が本当に妖精の愛し子ならば、彼女を傷付ける行為はこの国をも滅ぼす事に繋がるのでは?

宰相は、国王に考えを改める様に進言するが、国王は聞く耳を持たない。

自分の代で直系が途絶えるのを恐れてなのか?

国王の意図は分からないが、このまま従えばこの国は妖精に…いや、妖精王により滅びる。

何としてもそれだけは、この国、いや民の為に阻止しないといけない。

国王には退位して頂き、フィリップ殿下に即位してもらおう。

王太子となられてまだ間もないフィリップ殿下には酷な事だが、もうそれしかこの国を守る事は出来ないだろう。

国王は、激怒し反逆者として私を罰しようとするだろう。

それでも私が遣らねばならぬ。

宰相は、フィリップ王太子の執務室へと向かった。



フィリップは、宰相の言葉に驚き動揺を隠せなかった。
将来、国王となる者としてあるまじき行為なのは分かっている。
しかし、宰相が口にした言葉は、それ程に衝撃的な言葉だったのだ。

「陛下が妖精に愛されし者を…それは真なのか?かの御方は、妖精王にも愛されていると聞いている。そんな事は妖精王が許すまい。この地は枯れ草1つも生えない荒地になり、水は枯れ人も家畜も住めぬ土地となり、この国は終わりだ。陛下は御乱心なされたのか!?」

「今の国王は、誰の言葉も受け入れません。このままでは国が滅びましょう。アルス伯爵には、嫁のマリーナ夫人の体調がすぐれないと召還を延期する様に指示を出しました。ですが、国王が痺れを切らすのも時間の問題かと」

「国王が諦めるまで夫と共にマリーナ夫人を何処かに…」

「それは無理かと。夫人は妖精に愛されています。夫人が居る場所は潤い、豊かになりますので隠すのは難しいかと…かと言って他国に出すわけには行きません」

「………私の所有している山の麓の別荘はどうだ?あそこは周りに何もない。ブラングラス公爵領地で町に出るにも半日は掛かる。あそこならバレるまい」

「では、直ぐにアルス伯爵家に使いを出します」

宰相は、直ぐに信頼のおける部下に指示を出し、フィリップ殿下と、これからの事を話し合った。

フィリップ殿下は、国の為、民の為に、国王となる事を決意した。

今の国王には、元王太子の件で心労から病に倒れ廃位を決意した。と言う筋書きで決まった。

勿論、国王が素直に廃位をするわけがない。
フィリップ殿下と宰相で、国王陛下を追い込む事になるが、貴族達も国王陛下が御乱心と知れば、こちらに付く筈。

国の為、民の為に2人は動き出した。

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