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「エ、エバン殿下!?」

「マリー、遅くなってごめんね。迎えに…あぁマリー綺麗だ!」

「あ、ありがとうございます。じゃなくて何故エバン殿下がここに?」

驚きの余り、エバン殿下に思わずツッコミを入れてしまいましたわ!
ブランに呼ばれお父様もお母様も慌てて玄関ホールへとやって来た。

「会場に行こうとしたら、マルコからカインがモニカを迎えに行ったと報告があってね。それならば私がマリーをエスコートしても文句を言われる事はないかと思い迎えに来た。私では不服かな?」

「そんなわたくしの様な者を殿下がエスコートするなんて恐れ多い事で…それにわたくしでは殿下のお立場に傷が付いてしまいます」

「恐れ多いって…何で君は…。あーマリー、そろそろ出発しないと遅れてしまう。私の立場など気にしないでくれ。さぁお手をどうぞ♪」

本当に良いのかとお父様とお母様を見れば2人は嬉しそうに笑って頷いている。

私はエバン殿下の手に手を乗せ馬車に乗り込んだ。

殿下はお父様に詳しい事は後日にと告げ馬車に乗り込んだ。

会場に着けば、私達が最後だった様だ。
学園長もなかなか来ないエバン殿下に何か有ったのでは?と心配してオロオロしていた。

エバン殿下が会場に入ると皆が注目した。

婚約者のいない令嬢達は同じく婚約者のいないエバン殿下にエスコートをお願いしたが、皆、断られていた。

1年生2年生の時は、1つ上の第1王女をエスコートしていた。

では今年は誰が?

「あれは生徒会で書記をしているグランド伯爵令嬢ではなくて?」

「まぁでは今年は生徒会の方に頼まれたのね…わたくしに頼んでくだされば良いのに…」

「あら?でもグランド伯爵令嬢には婚約者がいたのでは?」


「エバン殿下…ご令嬢達の目がとても恐いです。わたくしは友達の所に行きますので、他のご令嬢とダンスは踊って下さい」

「駄目だよ!今日の私のパートナーはマリーなんだから。さぁダンスを踊ろう」

エバン殿下の手に乗せた手を離そうとしたら、離すものかという様にギュと握り締められた。

取りあえず1曲踊れば解放してくれるだろうか?

本来なら婚約者がいる者はファーストダンスは、婚約者と踊るのが普通だ。
けれど私の婚約者は迎えにも来ない。
エスコートもしない。勿論、ダンスの誘いも来ない。

「何を考えているの?」

「いえ。エバン殿下と踊れるなんて夢みたいだと。ここは迎えに来なかったカイン様に感謝ですわね」

楽しそうに笑い踊る2人をカインは忌々しく見ていた。

「モニカ、俺達も踊るぞ!」

「え~あたし、ダンスぅ踊れませんよぉ~。無理ですぅ~」

「ダンスも踊れないのか?授業でも習っただろう!?」

「あたしはぁ~ダンスは苦手なんですぅ~。絶対に無理ですぅ~」

「はぁー苦手なのはダンスだけじゃないだろう?逆に得意な事など有るのか?ああベッドの上での行為は得意だなっ」

モニカは酷いですぅ~と言いながら、この変態馬鹿。お前だって侯爵家のくせに何も出来ないだろ!!と心の中で叫んでいたのだった。
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