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1週間ほど別荘に滞在し屋敷へと戻る。

「留守中は、何も無かったかしら?」

「はい。ネズミも入り込む事なく、何事も御座いませんでした」

お父様も、ロバート様も、上手く遣ってくれたのだろう。
私は一安心し、自室で少し休む事にした。

夕食の時に、アスベスが執事に話し掛けている所に食堂に入る。

「おとうさまは、おしごとなの?おそいの?」

困った顔の執事。

「アスベス。お父様は、仕事の関係で、長く帰って来られないのよ。アスベスは、男の子だから我慢できるわよね?お母様だけでは、嫌かしら?」

「ぼく…なかないで おとうさまのかえりをまってる。おかあさまがいれば、さみしくないもん…」

泣きそうな顔をして、微笑むアスベスを抱き締める。

こんなに可愛い子を棄てて、あんな女に走るなんて…。

「さぁアスベス、食事にしましょう!明日は、お土産をおじいさまに渡しに行きましょうね♪」

次の日、仕事へ行く準備をし、アスベスと共に実家へと向かった。

お母様にアスベスを預け、お父様と共に商会へと向かう馬車の中で、カイルの事を聞く。

「そうですか…先月分の給料を持って辞めたのですね。良く大人しく辞めていきましたね?」

「逆らう事なく素直だったぞ。しかし、カイルのヤツ…リリアナ、すまん」

「お父様のせいではありませんよ。それにカイルは、これから大変な道を自ら選んだのです。今まで流されてきた彼が選んだ道です。祝福してあげましょう」

「そうだなっ!祝福してやろう」

そう言って苦笑するお父様を見て、強面のお父様に逆らう人などいないか…強面の顔しているけれど、本当は情に脆く優しく愛情深い人なんだよね。

それをカイルも知っていれば、お父様を上手く騙して商会を辞めさせられる事は無かったのかも知れないのに…本当に残念な人。

私とカイルとの結婚だって、止めるお母様の意見も聞かずに、経営で困っているカイルの義父様に頼まれて援助とカイルを引き受けた。

お父様も私も、カイルが、ここまで愚かだとは思わずに…。

「それでどうだろう、アスベスを連れて2人で我が家に戻って来ないか?」

「ありがとうございます。ですが、やれる所までアスベスと2人で頑張ってみます。それに、屋敷の皆が支えてくれていますしね。ただ当分の間、カイルが屋敷に来ても困りますので、アスベスを私が仕事をしている時にお母様に見て貰おうかと。宜しいですか?」

「あぁ大丈夫だ!ケイナも喜ぶ」

これでカイルがアスベスに接触する事も防げる。
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