9 / 11
9
しおりを挟む
1週間ほど別荘に滞在し屋敷へと戻る。
「留守中は、何も無かったかしら?」
「はい。ネズミも入り込む事なく、何事も御座いませんでした」
お父様も、ロバート様も、上手く遣ってくれたのだろう。
私は一安心し、自室で少し休む事にした。
夕食の時に、アスベスが執事に話し掛けている所に食堂に入る。
「おとうさまは、おしごとなの?おそいの?」
困った顔の執事。
「アスベス。お父様は、仕事の関係で、長く帰って来られないのよ。アスベスは、男の子だから我慢できるわよね?お母様だけでは、嫌かしら?」
「ぼく…なかないで おとうさまのかえりをまってる。おかあさまがいれば、さみしくないもん…」
泣きそうな顔をして、微笑むアスベスを抱き締める。
こんなに可愛い子を棄てて、あんな女に走るなんて…。
「さぁアスベス、食事にしましょう!明日は、お土産をおじいさまに渡しに行きましょうね♪」
次の日、仕事へ行く準備をし、アスベスと共に実家へと向かった。
お母様にアスベスを預け、お父様と共に商会へと向かう馬車の中で、カイルの事を聞く。
「そうですか…先月分の給料を持って辞めたのですね。良く大人しく辞めていきましたね?」
「逆らう事なく素直だったぞ。しかし、カイルのヤツ…リリアナ、すまん」
「お父様のせいではありませんよ。それにカイルは、これから大変な道を自ら選んだのです。今まで流されてきた彼が選んだ道です。祝福してあげましょう」
「そうだなっ!祝福してやろう」
そう言って苦笑するお父様を見て、強面のお父様に逆らう人などいないか…強面の顔しているけれど、本当は情に脆く優しく愛情深い人なんだよね。
それをカイルも知っていれば、お父様を上手く騙して商会を辞めさせられる事は無かったのかも知れないのに…本当に残念な人。
私とカイルとの結婚だって、止めるお母様の意見も聞かずに、経営で困っているカイルの義父様に頼まれて援助とカイルを引き受けた。
お父様も私も、カイルが、ここまで愚かだとは思わずに…。
「それでどうだろう、アスベスを連れて2人で我が家に戻って来ないか?」
「ありがとうございます。ですが、やれる所までアスベスと2人で頑張ってみます。それに、屋敷の皆が支えてくれていますしね。ただ当分の間、カイルが屋敷に来ても困りますので、アスベスを私が仕事をしている時にお母様に見て貰おうかと。宜しいですか?」
「あぁ大丈夫だ!ケイナも喜ぶ」
これでカイルがアスベスに接触する事も防げる。
「留守中は、何も無かったかしら?」
「はい。ネズミも入り込む事なく、何事も御座いませんでした」
お父様も、ロバート様も、上手く遣ってくれたのだろう。
私は一安心し、自室で少し休む事にした。
夕食の時に、アスベスが執事に話し掛けている所に食堂に入る。
「おとうさまは、おしごとなの?おそいの?」
困った顔の執事。
「アスベス。お父様は、仕事の関係で、長く帰って来られないのよ。アスベスは、男の子だから我慢できるわよね?お母様だけでは、嫌かしら?」
「ぼく…なかないで おとうさまのかえりをまってる。おかあさまがいれば、さみしくないもん…」
泣きそうな顔をして、微笑むアスベスを抱き締める。
こんなに可愛い子を棄てて、あんな女に走るなんて…。
「さぁアスベス、食事にしましょう!明日は、お土産をおじいさまに渡しに行きましょうね♪」
次の日、仕事へ行く準備をし、アスベスと共に実家へと向かった。
お母様にアスベスを預け、お父様と共に商会へと向かう馬車の中で、カイルの事を聞く。
「そうですか…先月分の給料を持って辞めたのですね。良く大人しく辞めていきましたね?」
「逆らう事なく素直だったぞ。しかし、カイルのヤツ…リリアナ、すまん」
「お父様のせいではありませんよ。それにカイルは、これから大変な道を自ら選んだのです。今まで流されてきた彼が選んだ道です。祝福してあげましょう」
「そうだなっ!祝福してやろう」
そう言って苦笑するお父様を見て、強面のお父様に逆らう人などいないか…強面の顔しているけれど、本当は情に脆く優しく愛情深い人なんだよね。
それをカイルも知っていれば、お父様を上手く騙して商会を辞めさせられる事は無かったのかも知れないのに…本当に残念な人。
私とカイルとの結婚だって、止めるお母様の意見も聞かずに、経営で困っているカイルの義父様に頼まれて援助とカイルを引き受けた。
お父様も私も、カイルが、ここまで愚かだとは思わずに…。
「それでどうだろう、アスベスを連れて2人で我が家に戻って来ないか?」
「ありがとうございます。ですが、やれる所までアスベスと2人で頑張ってみます。それに、屋敷の皆が支えてくれていますしね。ただ当分の間、カイルが屋敷に来ても困りますので、アスベスを私が仕事をしている時にお母様に見て貰おうかと。宜しいですか?」
「あぁ大丈夫だ!ケイナも喜ぶ」
これでカイルがアスベスに接触する事も防げる。
2,133
あなたにおすすめの小説
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。
藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。
バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。
五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。
バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。
だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
感想の返信が出来ず、申し訳ありません。
〖完結〗愛人が離婚しろと乗り込んで来たのですが、私達はもう離婚していますよ?
藍川みいな
恋愛
「ライナス様と離婚して、とっととこの邸から出て行ってよっ!」
愛人が乗り込んで来たのは、これで何人目でしょう?
私はもう離婚していますし、この邸はお父様のものですから、決してライナス様のものにはなりません。
離婚の理由は、ライナス様が私を一度も抱くことがなかったからなのですが、不能だと思っていたライナス様は愛人を何人も作っていました。
そして親友だと思っていたマリーまで、ライナス様の愛人でした。
愛人を何人も作っていたくせに、やり直したいとか……頭がおかしいのですか?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全8話で完結になります。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
〖完結〗もうあなたを愛する事はありません。
藍川みいな
恋愛
愛していた旦那様が、妹と口付けをしていました…。
「……旦那様、何をしているのですか?」
その光景を見ている事が出来ず、部屋の中へと入り問いかけていた。
そして妹は、
「あら、お姉様は何か勘違いをなさってますよ? 私とは口づけしかしていません。お義兄様は他の方とはもっと凄いことをなさっています。」と…
旦那様には愛人がいて、その愛人には子供が出来たようです。しかも、旦那様は愛人の子を私達2人の子として育てようとおっしゃいました。
信じていた旦那様に裏切られ、もう旦那様を信じる事が出来なくなった私は、離縁を決意し、実家に帰ります。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全8話で完結になります。
知らない男に婚約破棄を言い渡された私~マジで誰だよ!?~
京月
恋愛
それは突然だった。ルーゼス学園の卒業式でいきなり目の前に現れた一人の学生。隣には派手な格好をした女性を侍らしている。「マリー・アーカルテ、君とは婚約破棄だ」→「マジで誰!?」
〖完結〗王女殿下の最愛の人は、私の婚約者のようです。
藍川みいな
恋愛
エリック様とは、五年間婚約をしていた。
学園に入学してから、彼は他の女性に付きっきりで、一緒に過ごす時間が全くなかった。その女性の名は、オリビア様。この国の、王女殿下だ。
入学式の日、目眩を起こして倒れそうになったオリビア様を、エリック様が支えたことが始まりだった。
その日からずっと、エリック様は病弱なオリビア様の側を離れない。まるで恋人同士のような二人を見ながら、学園生活を送っていた。
ある日、オリビア様が私にいじめられていると言い出した。エリック様はそんな話を信じないと、思っていたのだけれど、彼が信じたのはオリビア様だった。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
〖完結〗私との婚約を破棄?私達は婚約していませんよ?
藍川みいな
恋愛
「エリーサ、すまないが君との婚約を破棄させてもらう!」
とあるパーティー会場で突然、ラルフ様から告げられたのですが、
「ラルフ様……私とラルフ様は、婚約なんてしていませんよ?」
確かに昔、婚約をしていましたが、三年前に同じセリフで婚約破棄したじゃないですか。
設定はゆるゆるです。
本編7話+番外編1話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる