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マリアの実家に暮らす様になり愕然とした。
何だこの生活は?これが男爵家の生活か?
平民と変わらないではないか?
使用人はいない。
家の中の仕事は義母とマリアで遣っている。
うちの実家も、リリアナの実家に比べて使用人の数は少なかったが、0人では無かった。
朝、起きて、顔を洗う桶を待っていたが、一向に遣って来ない。
仕方なく、朝食の準備をしているマリアの所に行き聞くと、自分で裏の井戸に行き洗えと言う。
今、思うと泊まっていた時も、マリアが世話をしてくれていたので、使用人が居ない事に気が付かなかった。
井戸に行けば、近くには野菜畑。
お金の節約の為に自家栽培してるのだと言う。
勿論、馬車もなく、出掛けるのは歩き。
俺は、お小遣い程度に少し抜いた給料の残りをマリアに渡す。
これで2ヶ月~2ヶ月半は暮らせると言う。
マジか!?どれだけ質素に暮らしているのだ!?
俺は、早急に仕事を見つけなければ…と思い、義父に紹介して貰える様に頼んだ。
義父の仕事を手伝っても良いのだが、傾いている会社で働いても給料は貰えない。
ならば外で働いて給料を貰った方が良いとなったのだ。
義父が紹介してくれたのは、小さな工場の事務。
俺…数字は苦手なんだよなぁー。まぁやれるだけやってみるかっ!
「カイルさん、ここ間違ってますよ。これで何回目ですか?」
「すみません…すぐに直します」
「ブルドさんの紹介だし、バーナー商会に居たと聞いたから雇ったのに…」
「すみません。俺、事務じゃなくて配送だったもんで…」
我慢だ。ここで辞めされられては生活が困る。
耐えろ、耐えるんだ俺!!
ヘトヘトになり、帰っても自分の事は自分でしなくてはならない。
食事も、固い肉が少しとスープとパンだけ。
それでも、俺と義父にだけ肉が有るのだとマリアは言う。
夜になるとマリアが俺に甘えた声を出す。
「疲れているんだ。週末まで待ってくれ」
今まで、こんな事は無かったのに…。
リリアナに「疲れているの…」と言われ、凄く憤慨したのを思い出す。
俺は、甘やかされて贅沢に暮らして来たんだな…。
それから暫くして、マリアの妊娠が分かる。
激怒し無理矢理抱いた日に授かった子だ。
俺は、喜んだ!
だがマリア達、家族は喜ばなかった。
今でも生活が苦しいのに、もう1人増えたら、どうなるのかと…。
それにお腹が大きくなれば、昼間短い時間、働いている仕事も休まなくてはならなくなると…。
侘しくなった…。
子供が授かって喜ばない人達に嫌気も差した。
工場に行くと、社長が慌てて俺の所に駆けて来た。
あーまた何か失敗したか?
「カイルさん、悪いんだが隣の領地に品物を納品に行ってくれるか?担当が、怪我をしてしまって、頼む」
俺は2ヶ月振りに、自分の生まれ育った領地へと向かった。
何だこの生活は?これが男爵家の生活か?
平民と変わらないではないか?
使用人はいない。
家の中の仕事は義母とマリアで遣っている。
うちの実家も、リリアナの実家に比べて使用人の数は少なかったが、0人では無かった。
朝、起きて、顔を洗う桶を待っていたが、一向に遣って来ない。
仕方なく、朝食の準備をしているマリアの所に行き聞くと、自分で裏の井戸に行き洗えと言う。
今、思うと泊まっていた時も、マリアが世話をしてくれていたので、使用人が居ない事に気が付かなかった。
井戸に行けば、近くには野菜畑。
お金の節約の為に自家栽培してるのだと言う。
勿論、馬車もなく、出掛けるのは歩き。
俺は、お小遣い程度に少し抜いた給料の残りをマリアに渡す。
これで2ヶ月~2ヶ月半は暮らせると言う。
マジか!?どれだけ質素に暮らしているのだ!?
俺は、早急に仕事を見つけなければ…と思い、義父に紹介して貰える様に頼んだ。
義父の仕事を手伝っても良いのだが、傾いている会社で働いても給料は貰えない。
ならば外で働いて給料を貰った方が良いとなったのだ。
義父が紹介してくれたのは、小さな工場の事務。
俺…数字は苦手なんだよなぁー。まぁやれるだけやってみるかっ!
「カイルさん、ここ間違ってますよ。これで何回目ですか?」
「すみません…すぐに直します」
「ブルドさんの紹介だし、バーナー商会に居たと聞いたから雇ったのに…」
「すみません。俺、事務じゃなくて配送だったもんで…」
我慢だ。ここで辞めされられては生活が困る。
耐えろ、耐えるんだ俺!!
ヘトヘトになり、帰っても自分の事は自分でしなくてはならない。
食事も、固い肉が少しとスープとパンだけ。
それでも、俺と義父にだけ肉が有るのだとマリアは言う。
夜になるとマリアが俺に甘えた声を出す。
「疲れているんだ。週末まで待ってくれ」
今まで、こんな事は無かったのに…。
リリアナに「疲れているの…」と言われ、凄く憤慨したのを思い出す。
俺は、甘やかされて贅沢に暮らして来たんだな…。
それから暫くして、マリアの妊娠が分かる。
激怒し無理矢理抱いた日に授かった子だ。
俺は、喜んだ!
だがマリア達、家族は喜ばなかった。
今でも生活が苦しいのに、もう1人増えたら、どうなるのかと…。
それにお腹が大きくなれば、昼間短い時間、働いている仕事も休まなくてはならなくなると…。
侘しくなった…。
子供が授かって喜ばない人達に嫌気も差した。
工場に行くと、社長が慌てて俺の所に駆けて来た。
あーまた何か失敗したか?
「カイルさん、悪いんだが隣の領地に品物を納品に行ってくれるか?担当が、怪我をしてしまって、頼む」
俺は2ヶ月振りに、自分の生まれ育った領地へと向かった。
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