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あれから2ヶ月が過ぎ、3日後には私とジル様の結婚式がザイザル辺境伯領で執り行われる。
今日は、お父様とお母様が結婚式に参列する為に王都からやって来る。
モイス伯爵家からザイザル辺境伯領へと旅立った日、もうお二人に会う事はないかもしれないと思っていた。
ジル様に婚約を解消されたら、モイス伯爵家には戻らず、そのまま修道院に行くつもりでいたからだ。
ジル様と出会い、私は本当の恋をした。
アルベルトへの想いは、物心付いた時から近くに居て、いつも一緒に居るのが当たり前で、ずっと一緒に居たいと思う気持ちを恋と勘違いしたのだと思う。
アルベルトへの思いと、ジル様への想いは、あまりにも違い過ぎる。
アルベルトが、カトリーヌお姉様と駆け落ちした時は、悲しくて涙が止まらず瞼が腫れる程に泣いた。
2人に裏切られた事がとても悲しかった。
もしジル様に捨てられたなら、私は生きていけるのだろうか?
心が壊れて死んでしまうのではないだろうか?
そう思うと、駆け落ちしてくれたカトリーヌお姉様のお陰で私はジル様に出会えたのだもの、感謝しないといけないわね。
あれからカトリーヌお姉様が、どうしているのかは分からない。
お父様は、ご存知なのかもしれないが、聞こうとは思わない。
知ったとしても、私は手を差し伸べる事は出来ないのだから。
「アルベルトが婿入した商会は潰れた」とロイとガイルが嬉しそうに笑いながら話していたのをアンナが通りがかりに聞いた様で、アンナが嬉しそうに私に話してくれた。
「お嬢様を傷付けたんですもの、当然の報いです!大体、お嬢様からカトリーヌ様、そして商会の娘とコロコロと。あの人は、本当に誰が好きだったんですかね?」
アルベルトの好きな人?
爵位を捨ててまで駆け落ちするぐらいだから、お姉様を好きなのだと思っていたが、彼もまた本当の恋ではなかったのかもしれない。
市井に出て、現実を見た時に恋の魔法は消えたのだろう。
まぁカトリーヌお姉様にとっては、ジル様との婚約が嫌でアルベルトを使ったんのだから、彼は捨て駒だったんだろうけど…。
あの2人は、自分達が犯した過ちは簡単に許されると思っていたのだろう。
アルベルトは嫡男だし、お姉様は両親に愛されていたから。
まさか除籍される程の事をしたとは思いもせずに…。
あとの事を何も考えずに行動するなんて馬鹿な事をするから…。
結婚式の日、王家代表として王太子殿下が婚約者と参列してくださった。
それを聞きつけた方達が王都より駆け付けて、想像よりも参列貴族が多く、私は緊張し過ぎて顔が引きっつてしまう。
「ああ、アイリス。とても綺麗だ!」
「ジ、ジル様も、とてもす、素敵です…」
参列者の奥方様達が正装したジル様を見て色めき立っておりますよ。
「ちょっとザイザル辺境伯様、なんて素敵な方なの!?」
「冷徹だと噂だったではない。奥様を見て微笑む姿…どこが冷徹なの?」
「誰なの、根も葉もない噂を流した人は!!うちの娘を嫁がせたかったわぁー」
ジル様は、私の手を取ると「さぁ行こうか」と微笑む。
ふわゎゎゎ。ヤバいです、ジル様!!
破壊力がすご過ぎますぅ~。
倒れた御婦人を慌てて支える当主様の姿が見えますよ。
私、本当にこんな素敵な旦那様と結婚して良いのでしょうか?
ジル様にエスコートされ、私達は神父様の元へと進んだ。
今日は、お父様とお母様が結婚式に参列する為に王都からやって来る。
モイス伯爵家からザイザル辺境伯領へと旅立った日、もうお二人に会う事はないかもしれないと思っていた。
ジル様に婚約を解消されたら、モイス伯爵家には戻らず、そのまま修道院に行くつもりでいたからだ。
ジル様と出会い、私は本当の恋をした。
アルベルトへの想いは、物心付いた時から近くに居て、いつも一緒に居るのが当たり前で、ずっと一緒に居たいと思う気持ちを恋と勘違いしたのだと思う。
アルベルトへの思いと、ジル様への想いは、あまりにも違い過ぎる。
アルベルトが、カトリーヌお姉様と駆け落ちした時は、悲しくて涙が止まらず瞼が腫れる程に泣いた。
2人に裏切られた事がとても悲しかった。
もしジル様に捨てられたなら、私は生きていけるのだろうか?
心が壊れて死んでしまうのではないだろうか?
そう思うと、駆け落ちしてくれたカトリーヌお姉様のお陰で私はジル様に出会えたのだもの、感謝しないといけないわね。
あれからカトリーヌお姉様が、どうしているのかは分からない。
お父様は、ご存知なのかもしれないが、聞こうとは思わない。
知ったとしても、私は手を差し伸べる事は出来ないのだから。
「アルベルトが婿入した商会は潰れた」とロイとガイルが嬉しそうに笑いながら話していたのをアンナが通りがかりに聞いた様で、アンナが嬉しそうに私に話してくれた。
「お嬢様を傷付けたんですもの、当然の報いです!大体、お嬢様からカトリーヌ様、そして商会の娘とコロコロと。あの人は、本当に誰が好きだったんですかね?」
アルベルトの好きな人?
爵位を捨ててまで駆け落ちするぐらいだから、お姉様を好きなのだと思っていたが、彼もまた本当の恋ではなかったのかもしれない。
市井に出て、現実を見た時に恋の魔法は消えたのだろう。
まぁカトリーヌお姉様にとっては、ジル様との婚約が嫌でアルベルトを使ったんのだから、彼は捨て駒だったんだろうけど…。
あの2人は、自分達が犯した過ちは簡単に許されると思っていたのだろう。
アルベルトは嫡男だし、お姉様は両親に愛されていたから。
まさか除籍される程の事をしたとは思いもせずに…。
あとの事を何も考えずに行動するなんて馬鹿な事をするから…。
結婚式の日、王家代表として王太子殿下が婚約者と参列してくださった。
それを聞きつけた方達が王都より駆け付けて、想像よりも参列貴族が多く、私は緊張し過ぎて顔が引きっつてしまう。
「ああ、アイリス。とても綺麗だ!」
「ジ、ジル様も、とてもす、素敵です…」
参列者の奥方様達が正装したジル様を見て色めき立っておりますよ。
「ちょっとザイザル辺境伯様、なんて素敵な方なの!?」
「冷徹だと噂だったではない。奥様を見て微笑む姿…どこが冷徹なの?」
「誰なの、根も葉もない噂を流した人は!!うちの娘を嫁がせたかったわぁー」
ジル様は、私の手を取ると「さぁ行こうか」と微笑む。
ふわゎゎゎ。ヤバいです、ジル様!!
破壊力がすご過ぎますぅ~。
倒れた御婦人を慌てて支える当主様の姿が見えますよ。
私、本当にこんな素敵な旦那様と結婚して良いのでしょうか?
ジル様にエスコートされ、私達は神父様の元へと進んだ。
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