10 / 29
9.もっと深いところに触れたい ☆
しおりを挟む
体を壁の方へ向けられ佐倉に背中を見せる格好になった。
「渉、力抜いて」
容赦ない佐倉の言葉さえも耳元で囁かれば背中がわななくようなゾクゾク感をもたらした。
「そ・・・んな・・・むりっ」
ゆるゆるとした快楽に逆らうように辛うじて言葉を吐けば佐倉の舌が腰から首にかけて線を引く。そのまま耳に口づけられた。
「っ・・・」
「大丈夫。ほら、息を吐いて」
快楽に浸されればその声にすがるしかないような気になり、首を捻って佐倉を見た。交わう視線。佐倉の舌が口内を犯しに来る。ぴちゃ、ぴちゃと音を立てて佐倉の舌が僕の舌を撫で、それに答えるように佐倉の舌を吸った。青の僕は完全に息をひそめ、赤の僕が僕を支配する。
「ひんっ・・・」
ヌルっとした指が僕の壺に侵入する。異物感に目を開けると佐倉が僕の頭を撫でた。壺の中の指はヌルヌルと僕の壺の内側を撫で、僕の体は異物を押し出そうと収縮する。
「もう、抜・・・あっ」
抜いて、と言葉にする前に萎みかけた竿をゆるゆると扱われ、先ほどまで快楽の美味しさを味わっていたソコはまた貪欲に快楽をつかみ始めた。
「渉の中に俺の指が入ってる。わかる?」
分からないわけないじゃないか!!
そう叫んでいるのに、口から洩れるのは熱を帯びた息と押し殺した嬌声だけ。
「柔らかくなってきた」
佐倉の指が僕の壺を自由に行き来する。異物感に慣れ始めている自分の体が、まるでこの異物を求め始めているような気がして、酷く淫らだと思った。
「あっ、やだ、あっ、やっ・・・」
ビクっ、ビクっと突然大きな衝撃が体を突き抜け、それが快楽だと理解できぬまま小鹿のように体を震わせた。
「ココがいいの?」
僕の体を反転させ、僕の両手を佐倉の首に回し、不意に片足を持ち上げられ、僕の腰に回している佐倉の腕に足をかけられた。大きく足を開く体勢に顔に熱が上がる。
「やだ・・・恥ずか・・・あぁっ」
一度抜かれていた指をもう一度蕾に突き立てられ、高い声を上げた。
「俺しか見てないから、恥ずかしいことなんてないだろ?」
「どうし・・・あっ、んっ」
どうして?という言葉は佐倉の唇によって塞がれた。
唇は佐倉に塞がれ、壺をかき混ぜられ耐えず快楽を与えられるのに、中心に熱が集まるばかりで出口を見つけられない。触れて開放して欲しいのに触れてくれない。無意識に中心に自分の手を伸ばせば佐倉が密着を深くしてそれを阻んだ。
「あっ」
咎めるような目で佐倉を見る。
「すげぇ、そそられる」
シャワーの音がまるで雨音の様に響く。
僕は佐倉に、快楽に屈服した。
「おねがい・・・。イカせてっ」
「俺も」
僕の足を下し、体を反転させると同時に佐倉がカチャカチャとベルトを外す音が聞こえた。カチャカチャと忙しく、余裕のない音だ。閉じられた足の間、太ももに佐倉の熱を感じる。僕の中心を握りながら、佐倉の腰がゆっくりと前後にスウィングした。
壁についた僕の手の横に佐倉の大きな手がある。粗くなり始めた佐倉の呼吸が耳元に聞こえ、そのリズムに煽られた。
「こうしてると渉の中にいるみたい」
不意に腰をつかまれ佐倉の動きが加速する。パン、パン、と淫らな音がシャワー室に響き、佐倉の右手で激しく中心をこすられ、激しさに押し付けられた壁の冷たさが自身の熱さを教えた。
「あんっ・・・あっ・・・やっ・・」
嬌声が止まらなくて自身の腕を口にあてた。
「・・・んっ・・・んっ・・・はぁ・・・んっ」
口を押えても漏れる嬌声。
まるで犯されているみたいだ。
「渉・・・もうっ」
「あぁっっ!!」
太ももで佐倉の中心が震えた直後、僕もようやく精を開放し脱力のあまりそのまま崩れた。佐倉が身をかがめ僕を見つめる。
そして文句を言う気力もない僕にそっと口づけた。
芸術祭はそれぞれの学科の教室が展示室として開放されており、自由に出入りできる。作品のとなりに値段が書いてあるものに関しては購入も可能だ。油絵の展示教室には2、30人の人がおり、そこは足早にまわったが自分の絵の前に何人かが立ち止まっているのを見た時には、ふっと表情が緩むのを感じた。
そうだ、どうせなら普段よく見られないものを見よう。
そうして僕が向かったのは音楽科の棟だ。ここには去年の芸術祭の時に足を踏み入れたきりだ。少しの緊張を抱きながら足を進める。
「あれ?もしかして・・・」
自分に話し掛けられたような気がして振り向く。
「あ、壮太くん」
「やっぱり。高橋君じゃん。今日はもう店じまいなの?」
「うん、僕も芸術祭を見て回りたいし」
「ひとり?」
「うん」
「じゃ、俺が案内してあげるよ。音楽棟、慣れてないでしょ?」
「ありがとう。助かるよ」
壮太君に案内されるまま校内を歩く。
「ここはと隣の部屋は映像作品を上映してるんだ。5分間の短い映像作品が午前と午後に分けて上映されてる。プログラムはこれね」
プログラムを持って中に入る。教室の中は簡易的な上映ルームになっており、並べられた椅子の後ろの方に座った。
ジャーン、と鳴った最初の音に目がスクリーンにくぎ付けになる。最初の音の衝撃とは裏腹に小鳥が木の枝をちょこちょこと踊る様に歩くような音が続き、その音に川の流れが加わった。
すごく綺麗な音の羅列・・・。
二つ目の映像は一つ目の対極にあるような映像と音楽だった。目まぐるしく変わる映像に歪ませた音が良く似合う。体の血液が洗濯機の中にでもいるように渦巻きそうだ。
三つ目を見終わった時、壮太君に服を引っ張られ「出ない?」と合図をされ、他の教室も見たかった僕は頷いて従った。
「凄いね。音楽って無限」
「そうなんだよ!音楽はねー、無限なんだ。他の芸術とも相性が良いし、主役に立つことも他のアートを引き立てる事も出来る。高橋君、わかってるねぇ」
壮太君は嬉しそうに、ふふん、と鼻をならした。
「もっと見ていたかったかもしれないけど、ここにある映像作品は大学のHPでも見ることが出来るんだ。だから、今しか見られないものを見に行こうよ!」
「渉、力抜いて」
容赦ない佐倉の言葉さえも耳元で囁かれば背中がわななくようなゾクゾク感をもたらした。
「そ・・・んな・・・むりっ」
ゆるゆるとした快楽に逆らうように辛うじて言葉を吐けば佐倉の舌が腰から首にかけて線を引く。そのまま耳に口づけられた。
「っ・・・」
「大丈夫。ほら、息を吐いて」
快楽に浸されればその声にすがるしかないような気になり、首を捻って佐倉を見た。交わう視線。佐倉の舌が口内を犯しに来る。ぴちゃ、ぴちゃと音を立てて佐倉の舌が僕の舌を撫で、それに答えるように佐倉の舌を吸った。青の僕は完全に息をひそめ、赤の僕が僕を支配する。
「ひんっ・・・」
ヌルっとした指が僕の壺に侵入する。異物感に目を開けると佐倉が僕の頭を撫でた。壺の中の指はヌルヌルと僕の壺の内側を撫で、僕の体は異物を押し出そうと収縮する。
「もう、抜・・・あっ」
抜いて、と言葉にする前に萎みかけた竿をゆるゆると扱われ、先ほどまで快楽の美味しさを味わっていたソコはまた貪欲に快楽をつかみ始めた。
「渉の中に俺の指が入ってる。わかる?」
分からないわけないじゃないか!!
そう叫んでいるのに、口から洩れるのは熱を帯びた息と押し殺した嬌声だけ。
「柔らかくなってきた」
佐倉の指が僕の壺を自由に行き来する。異物感に慣れ始めている自分の体が、まるでこの異物を求め始めているような気がして、酷く淫らだと思った。
「あっ、やだ、あっ、やっ・・・」
ビクっ、ビクっと突然大きな衝撃が体を突き抜け、それが快楽だと理解できぬまま小鹿のように体を震わせた。
「ココがいいの?」
僕の体を反転させ、僕の両手を佐倉の首に回し、不意に片足を持ち上げられ、僕の腰に回している佐倉の腕に足をかけられた。大きく足を開く体勢に顔に熱が上がる。
「やだ・・・恥ずか・・・あぁっ」
一度抜かれていた指をもう一度蕾に突き立てられ、高い声を上げた。
「俺しか見てないから、恥ずかしいことなんてないだろ?」
「どうし・・・あっ、んっ」
どうして?という言葉は佐倉の唇によって塞がれた。
唇は佐倉に塞がれ、壺をかき混ぜられ耐えず快楽を与えられるのに、中心に熱が集まるばかりで出口を見つけられない。触れて開放して欲しいのに触れてくれない。無意識に中心に自分の手を伸ばせば佐倉が密着を深くしてそれを阻んだ。
「あっ」
咎めるような目で佐倉を見る。
「すげぇ、そそられる」
シャワーの音がまるで雨音の様に響く。
僕は佐倉に、快楽に屈服した。
「おねがい・・・。イカせてっ」
「俺も」
僕の足を下し、体を反転させると同時に佐倉がカチャカチャとベルトを外す音が聞こえた。カチャカチャと忙しく、余裕のない音だ。閉じられた足の間、太ももに佐倉の熱を感じる。僕の中心を握りながら、佐倉の腰がゆっくりと前後にスウィングした。
壁についた僕の手の横に佐倉の大きな手がある。粗くなり始めた佐倉の呼吸が耳元に聞こえ、そのリズムに煽られた。
「こうしてると渉の中にいるみたい」
不意に腰をつかまれ佐倉の動きが加速する。パン、パン、と淫らな音がシャワー室に響き、佐倉の右手で激しく中心をこすられ、激しさに押し付けられた壁の冷たさが自身の熱さを教えた。
「あんっ・・・あっ・・・やっ・・」
嬌声が止まらなくて自身の腕を口にあてた。
「・・・んっ・・・んっ・・・はぁ・・・んっ」
口を押えても漏れる嬌声。
まるで犯されているみたいだ。
「渉・・・もうっ」
「あぁっっ!!」
太ももで佐倉の中心が震えた直後、僕もようやく精を開放し脱力のあまりそのまま崩れた。佐倉が身をかがめ僕を見つめる。
そして文句を言う気力もない僕にそっと口づけた。
芸術祭はそれぞれの学科の教室が展示室として開放されており、自由に出入りできる。作品のとなりに値段が書いてあるものに関しては購入も可能だ。油絵の展示教室には2、30人の人がおり、そこは足早にまわったが自分の絵の前に何人かが立ち止まっているのを見た時には、ふっと表情が緩むのを感じた。
そうだ、どうせなら普段よく見られないものを見よう。
そうして僕が向かったのは音楽科の棟だ。ここには去年の芸術祭の時に足を踏み入れたきりだ。少しの緊張を抱きながら足を進める。
「あれ?もしかして・・・」
自分に話し掛けられたような気がして振り向く。
「あ、壮太くん」
「やっぱり。高橋君じゃん。今日はもう店じまいなの?」
「うん、僕も芸術祭を見て回りたいし」
「ひとり?」
「うん」
「じゃ、俺が案内してあげるよ。音楽棟、慣れてないでしょ?」
「ありがとう。助かるよ」
壮太君に案内されるまま校内を歩く。
「ここはと隣の部屋は映像作品を上映してるんだ。5分間の短い映像作品が午前と午後に分けて上映されてる。プログラムはこれね」
プログラムを持って中に入る。教室の中は簡易的な上映ルームになっており、並べられた椅子の後ろの方に座った。
ジャーン、と鳴った最初の音に目がスクリーンにくぎ付けになる。最初の音の衝撃とは裏腹に小鳥が木の枝をちょこちょこと踊る様に歩くような音が続き、その音に川の流れが加わった。
すごく綺麗な音の羅列・・・。
二つ目の映像は一つ目の対極にあるような映像と音楽だった。目まぐるしく変わる映像に歪ませた音が良く似合う。体の血液が洗濯機の中にでもいるように渦巻きそうだ。
三つ目を見終わった時、壮太君に服を引っ張られ「出ない?」と合図をされ、他の教室も見たかった僕は頷いて従った。
「凄いね。音楽って無限」
「そうなんだよ!音楽はねー、無限なんだ。他の芸術とも相性が良いし、主役に立つことも他のアートを引き立てる事も出来る。高橋君、わかってるねぇ」
壮太君は嬉しそうに、ふふん、と鼻をならした。
「もっと見ていたかったかもしれないけど、ここにある映像作品は大学のHPでも見ることが出来るんだ。だから、今しか見られないものを見に行こうよ!」
応援ありがとうございます!
5
お気に入りに追加
346
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる