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新天地
[1]ー3
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「ああ? なんだおまえは」
「子ども相手に大人の男性がすることじゃありませんわ」
「関係ないやつぁ黙ってろ。こいつは俺の金を取ろうとしたんだ」
「違う! そっちが靴磨きの代金を払わなかったんじゃないか!」
「うるさい! 磨き方がなってないやつに金なんか払えるか」
「ちゃんと磨いたじゃないか! どうせ最初からぼったくるつもりだったんだろ! 金持ちのくせにケチなおっさんだな!」
「なんだとぉ!」
男が腕を振り上げた。少年に振り下ろそうとする瞬間、リリィは反射的にその腕に飛びついた。
「やめて!」
「うるせー!」
「きゃあっ」
腕を振り払われて地面に尻もちをつく。
「その髪、もしかして……」
男の視線に気づいてはっと頭に手をやった。帽子がない。倒れた拍子に脱げたのだ。
「おまえか、うわさの悪女ってやつは」
鼓動が速まる。こんなところまでうわさが届いていたなんて。
「悪女? なんのことかしら」
「とぼけても無駄だ。俺は確かな筋から聞いたんだぞ」
男は王都でのうわさを声高に話し出した。
「第四王子の許嫁でありながら、夜な夜な男漁りを繰り返したり他の令嬢に卑劣な嫌がらせをしたりして、とうとう追放されたんだってな」
うわさはまさに男が今言った通りだ。真実とはかけ離れているが、ここで否定してもなんの意味もなさないことはわかっている。
「なんのことかおっしゃっているのかさっぱりわかりませんわ」
平然と立ち上がり、スカートの砂ぼこりを手で払ってから顔を上げた。
「それよりも、相手が子どもだからと労働の対価を踏み倒す方が、よっぽど卑怯でいやしい人間だと思いますが」
「なにを!」
怒りで顔を真っ赤にした男が腕を振り上げた。殴られる、と身構えた瞬間、突然剣の刃が割り込んできた。
「手を下ろせ」
低い声が聞こえた。
「どんな理由があろうとも、か弱い婦女子に暴力を振るうのはいただけないな」
青ざめた男がそろそろと腕を下ろした。
横を見ると剣の主は見上げるほど背が高かった。黒い髪は襟足で小ざっぱり整えられているものの、前髪が長くて目が完全に覆われている。そのせいで年齢はよくわからない。リリィより少し年上ではないだろうか。
身なりは悪くないが、詰襟のボタンは胸もとまでくつろげて、袖もまくり上げているので。騎士、というよりも雇われ護衛といった風体だ。
「くそっ、払えばいいんだろ!」
男はそう言って小銭を投げつけて去って行った。
「ありがとうございました」
リリィが礼を言うと男性がこちらに顔を向けた。
「勇敢と無謀はまったくの別物だ」
「なっ!」
「あんたみたいな世間知らずのお嬢様がガラの悪い男に向かって行くと普通はどうなるか。育ちがよすぎて知らないのか」
ぐっと言葉に詰まった。
知らないわけはない。前世はそれなりに経験値を積んできた。どれだけ危険なことだったかなんて自分でもわかっている。震える手をぎゅっと握り締めたとき、「ああ!」と悲壮な声が聞こえてきた。
「全然足んねーじゃねぇか! あのくそジジイ!」
地面に散らばったお金を拾い集めた少年が叫ぶ。
「いくらでしたの?」
「三十リュカス」
少年の手の中にはどう見ても十リュカスほどしかない。
「殴られなかっただけでもよしとしたらどうだ。けがをしたら元も子もない」
「母ちゃんに精がつくもの食べさせてやりたかったのに……」
今にも泣き出しそうな顔で小銭を握り締めた少年に、リリィははっとした。
「そうだわ!」
パチンと手を合わせる。
「あなた、ちょっとわたくしの手伝いをしてくださらない?」
「は?」
「あの坂の上までわたくしの荷物を運んでくださいな。思ったより買い過ぎて困っておりましたの」
「やだね。なんで俺が」
少年がくるりと背を向ける。さっきの男に代金を踏み倒されかけたことが尾を引いているのだろう。背中に金持ちなんか信用できないと書いてある。
「もちろんただでとは言いませんわ。お代はきちんとお支払いいたします」
『お代』の言葉に少年が足を止めて少しだけ振り返る。
「……いくら」
口の端が持ち上がらないように気をつけながら、はっきりと言った。
「百リュカスです」
「ひゃっ……やる!」
リリィはにっこりと微笑んだ。
「通りすがりのあなた様も。どうもありがとうございました。本当に助かりましたわ」
ついいつものようにカーテシーをしようと右足を後ろに引いた途端、ずきんと鋭い痛みが走った。しかめそうになった顔に、にこりと笑みを貼りつける。
「では、わたくしたちはこれで」
軽く会釈をしてそっと足を踏みだそうとした瞬間。
「無謀の次はやせ我慢か」
「きゃっ」
ふわりと体を持ち上げられて声が飛び出す。
「さすが稀代の悪女様だな」
「なっ、どうしてそれを……というか、下ろしてくださいませ!」
顔を上げると、思わぬほど近くに彼の顔があった。心臓がどきっと跳ねた。
シャープな輪郭にすっと高い鼻梁と薄い唇。前髪の隙間からのぞく瞳は、深くて美しい緑色をしている。
「さっさと行くぞ」
ついうっかり見惚れているうちに男性は歩きだし、リリィの荷物を持った少年が慌ててついてきた。
「子ども相手に大人の男性がすることじゃありませんわ」
「関係ないやつぁ黙ってろ。こいつは俺の金を取ろうとしたんだ」
「違う! そっちが靴磨きの代金を払わなかったんじゃないか!」
「うるさい! 磨き方がなってないやつに金なんか払えるか」
「ちゃんと磨いたじゃないか! どうせ最初からぼったくるつもりだったんだろ! 金持ちのくせにケチなおっさんだな!」
「なんだとぉ!」
男が腕を振り上げた。少年に振り下ろそうとする瞬間、リリィは反射的にその腕に飛びついた。
「やめて!」
「うるせー!」
「きゃあっ」
腕を振り払われて地面に尻もちをつく。
「その髪、もしかして……」
男の視線に気づいてはっと頭に手をやった。帽子がない。倒れた拍子に脱げたのだ。
「おまえか、うわさの悪女ってやつは」
鼓動が速まる。こんなところまでうわさが届いていたなんて。
「悪女? なんのことかしら」
「とぼけても無駄だ。俺は確かな筋から聞いたんだぞ」
男は王都でのうわさを声高に話し出した。
「第四王子の許嫁でありながら、夜な夜な男漁りを繰り返したり他の令嬢に卑劣な嫌がらせをしたりして、とうとう追放されたんだってな」
うわさはまさに男が今言った通りだ。真実とはかけ離れているが、ここで否定してもなんの意味もなさないことはわかっている。
「なんのことかおっしゃっているのかさっぱりわかりませんわ」
平然と立ち上がり、スカートの砂ぼこりを手で払ってから顔を上げた。
「それよりも、相手が子どもだからと労働の対価を踏み倒す方が、よっぽど卑怯でいやしい人間だと思いますが」
「なにを!」
怒りで顔を真っ赤にした男が腕を振り上げた。殴られる、と身構えた瞬間、突然剣の刃が割り込んできた。
「手を下ろせ」
低い声が聞こえた。
「どんな理由があろうとも、か弱い婦女子に暴力を振るうのはいただけないな」
青ざめた男がそろそろと腕を下ろした。
横を見ると剣の主は見上げるほど背が高かった。黒い髪は襟足で小ざっぱり整えられているものの、前髪が長くて目が完全に覆われている。そのせいで年齢はよくわからない。リリィより少し年上ではないだろうか。
身なりは悪くないが、詰襟のボタンは胸もとまでくつろげて、袖もまくり上げているので。騎士、というよりも雇われ護衛といった風体だ。
「くそっ、払えばいいんだろ!」
男はそう言って小銭を投げつけて去って行った。
「ありがとうございました」
リリィが礼を言うと男性がこちらに顔を向けた。
「勇敢と無謀はまったくの別物だ」
「なっ!」
「あんたみたいな世間知らずのお嬢様がガラの悪い男に向かって行くと普通はどうなるか。育ちがよすぎて知らないのか」
ぐっと言葉に詰まった。
知らないわけはない。前世はそれなりに経験値を積んできた。どれだけ危険なことだったかなんて自分でもわかっている。震える手をぎゅっと握り締めたとき、「ああ!」と悲壮な声が聞こえてきた。
「全然足んねーじゃねぇか! あのくそジジイ!」
地面に散らばったお金を拾い集めた少年が叫ぶ。
「いくらでしたの?」
「三十リュカス」
少年の手の中にはどう見ても十リュカスほどしかない。
「殴られなかっただけでもよしとしたらどうだ。けがをしたら元も子もない」
「母ちゃんに精がつくもの食べさせてやりたかったのに……」
今にも泣き出しそうな顔で小銭を握り締めた少年に、リリィははっとした。
「そうだわ!」
パチンと手を合わせる。
「あなた、ちょっとわたくしの手伝いをしてくださらない?」
「は?」
「あの坂の上までわたくしの荷物を運んでくださいな。思ったより買い過ぎて困っておりましたの」
「やだね。なんで俺が」
少年がくるりと背を向ける。さっきの男に代金を踏み倒されかけたことが尾を引いているのだろう。背中に金持ちなんか信用できないと書いてある。
「もちろんただでとは言いませんわ。お代はきちんとお支払いいたします」
『お代』の言葉に少年が足を止めて少しだけ振り返る。
「……いくら」
口の端が持ち上がらないように気をつけながら、はっきりと言った。
「百リュカスです」
「ひゃっ……やる!」
リリィはにっこりと微笑んだ。
「通りすがりのあなた様も。どうもありがとうございました。本当に助かりましたわ」
ついいつものようにカーテシーをしようと右足を後ろに引いた途端、ずきんと鋭い痛みが走った。しかめそうになった顔に、にこりと笑みを貼りつける。
「では、わたくしたちはこれで」
軽く会釈をしてそっと足を踏みだそうとした瞬間。
「無謀の次はやせ我慢か」
「きゃっ」
ふわりと体を持ち上げられて声が飛び出す。
「さすが稀代の悪女様だな」
「なっ、どうしてそれを……というか、下ろしてくださいませ!」
顔を上げると、思わぬほど近くに彼の顔があった。心臓がどきっと跳ねた。
シャープな輪郭にすっと高い鼻梁と薄い唇。前髪の隙間からのぞく瞳は、深くて美しい緑色をしている。
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