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スローライフ満喫中?
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アルがじっとこちらを見た。
「どうかいたしまして?」
「なんでおまえはこんなところにいるんだ」
「え?」
唐突な質問に目を丸くする。
「名門ベルナール伯爵家のご令嬢なんだろう?」
「そのことですか」
リリィの実家は伯爵家だが血筋はかなり古く、家系をたどれば公爵、さらにさかのぼれば王家にもつながる。血筋だけは立派だが、当主であるリリィの父親は高齢で事なかれ主義のため、宮廷での発言権は低い。
この屋敷がベルナール家のものだということは、この街に住む人なら知っていて不思議はない。
こんな辺鄙な山すそに、名門貴族の令嬢と侍女がふたり暮らしなんて、どこからどう見てもおかしい。街でリリィの異名を耳にしていることを合わせれば、これまで聞かれなかったことの方が不思議なくらいだ。
「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」
「あのうわさ? ああ、あの悪女ってやつのことか」
「はい」
彼はあごに手を当てて黙った。リリィは無意識に息を詰め、彼をじっと見つめる。
「そうだな。とりあえずは夕飯にトカゲやヘビが入っていないか確認する」
「ヘビっ! そんなもの絶対入れませんわ!」
「本当か?」
不敵に口の端を上げた彼に、はっとした。ヘビが苦手だと知った上でからかわれたのだ。
「意地悪するなら、今日の夕食はアルだけお肉なしですわよ」
思わず膨れながらじっとりと睨む。
せっかく久々にまともな料理をふるまおうかと思っていたけれど、固いパンだけにしてやろうかしら。
「それは困るな。でもじゃあ悪女ってなにをするんだ?」
純粋に疑問を感じている彼に、にっこりと微笑んで見せる。
「殿方を手玉に取って贅沢の限りを尽くすそうですわよ」
「手玉……」
「ええ、手玉ですわ」
社交界であれこれと立てられたうわさをざっくりまとめてみた。
お手玉とけん玉ならともかく、そんなものまったく取りたくもない。痴情のもつれとは一番縁遠いところで平和に暮らすのが今世の目標なのだ。
「わかった」
ようやく納得してくれたようだ。
「じゃあさっそくニワトリ小屋作りに取りかかりましょう。わたくし、ジャンを呼びに行ってまいりますわ」
くるりと背中を向けたところで、後ろから肘のあたりをつかまれた。
「まだなにか」
言いながら振り向いた瞬間、腰をさらうように抱かれた。
「……っ!」
上げそうになった悲鳴をすんでのところでのみ込むと、アルが口の端を持ち上げた。
「手玉に取ってもらおうか」
「ふざけるのはやめてくださいませ」
長く垂らされた前髪の向こう側をじろりと睨み、努めて平然とした声で返す。――が、あごをつかまれて上向かされた。
息を吸い込んだ喉が「ひゅっ」と音を立てる。「離しなさい」と言いたいのに声が出せない。ゆっくりと近づいてくるアルの顔が視界を埋め尽くそうとしている。
前髪の合間からちらりとのぞくグリーンの瞳はまるで深い森を映した泉のようで、逸らすどころかくぎ付けになる。
鼻先が触れ合うほどの距離になってやっと自分の状況に気づき、なす術もなくまぶたをぎゅっとつむった。
「顔が真っ赤だぞ」
耳のすぐ横でささやかれた低音に、両目を見開いた。耳の横に顔を寄せていたアルが、ゆっくりと離れていく。
「だ、騙しましたわね!」
「なんのことだ」
アルはなに食わぬ顔でそう言うと、こちらをチラリと見て「ぷっ」と吹き出した。そして肩を震わせてくつくつと笑いだす。やっぱりからかわれていたのだ。
「もう!」
膨れてみたものの、楽しげな笑い声につられて「ぷっ」と吹き出した。「あははは」と声を上げて笑う。
いつの間にか笑いを収めていたアルがぽつりと言った。
「その方がいい」
「え?」
「すました作り笑いなんかより、そっちの方がずっとおまえに似合っている」
きゅん、と鼓動が音を立てた気がした。いや、そんなはずはない。きっとさっきの余波が残っていてまだ落ち着いていないだけだ。
「お、おだててもだめですわよ。もうアルの夕食はパンとスープだけです」
「それは困ったな」
そう言って彼がクシャリと前髪をかき上げた。額までが一気にあらわになり、顔立ちがよく見える。
形の良い額に、真横に伸びた眉。切れ長の二重まぶたに囲まれたグリーンの瞳。
(意外と整った容姿をしていますのね)
心の中でそうつぶやくと同時に、なぜか既視感がよぎった。
「アル、わたくし達どこかでお会いしたことがありましたか?」
考えるより早くそう尋ねるとアルが首をかしげた。その拍子に前髪が元の位置に戻る。
「それは口説いているのか?」
「くどっ……違います!」
「残念。たぶらかしてくれるかと思ったんだが」
「もう結構です」
ぷいっと横を向いて、ジャンを呼びに行こうとしたら「待て」と声をかけられる。
「まだなにか」
「俺が呼んでくる。その足じゃ日が暮れる」
「……助かりますわ」
言い方は意地悪だけど、なんだかんだで面倒見がいい。根は優しい人なのだ。
少しからかわれたくらいでムキになるなんて、自分らしくなかったと反省していると、すり抜けざまにぽんっと肩を叩かれる。
「夕飯の肉は多めな」
前言撤回。やっぱり意地悪かもしれない。
「どうかいたしまして?」
「なんでおまえはこんなところにいるんだ」
「え?」
唐突な質問に目を丸くする。
「名門ベルナール伯爵家のご令嬢なんだろう?」
「そのことですか」
リリィの実家は伯爵家だが血筋はかなり古く、家系をたどれば公爵、さらにさかのぼれば王家にもつながる。血筋だけは立派だが、当主であるリリィの父親は高齢で事なかれ主義のため、宮廷での発言権は低い。
この屋敷がベルナール家のものだということは、この街に住む人なら知っていて不思議はない。
こんな辺鄙な山すそに、名門貴族の令嬢と侍女がふたり暮らしなんて、どこからどう見てもおかしい。街でリリィの異名を耳にしていることを合わせれば、これまで聞かれなかったことの方が不思議なくらいだ。
「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」
「あのうわさ? ああ、あの悪女ってやつのことか」
「はい」
彼はあごに手を当てて黙った。リリィは無意識に息を詰め、彼をじっと見つめる。
「そうだな。とりあえずは夕飯にトカゲやヘビが入っていないか確認する」
「ヘビっ! そんなもの絶対入れませんわ!」
「本当か?」
不敵に口の端を上げた彼に、はっとした。ヘビが苦手だと知った上でからかわれたのだ。
「意地悪するなら、今日の夕食はアルだけお肉なしですわよ」
思わず膨れながらじっとりと睨む。
せっかく久々にまともな料理をふるまおうかと思っていたけれど、固いパンだけにしてやろうかしら。
「それは困るな。でもじゃあ悪女ってなにをするんだ?」
純粋に疑問を感じている彼に、にっこりと微笑んで見せる。
「殿方を手玉に取って贅沢の限りを尽くすそうですわよ」
「手玉……」
「ええ、手玉ですわ」
社交界であれこれと立てられたうわさをざっくりまとめてみた。
お手玉とけん玉ならともかく、そんなものまったく取りたくもない。痴情のもつれとは一番縁遠いところで平和に暮らすのが今世の目標なのだ。
「わかった」
ようやく納得してくれたようだ。
「じゃあさっそくニワトリ小屋作りに取りかかりましょう。わたくし、ジャンを呼びに行ってまいりますわ」
くるりと背中を向けたところで、後ろから肘のあたりをつかまれた。
「まだなにか」
言いながら振り向いた瞬間、腰をさらうように抱かれた。
「……っ!」
上げそうになった悲鳴をすんでのところでのみ込むと、アルが口の端を持ち上げた。
「手玉に取ってもらおうか」
「ふざけるのはやめてくださいませ」
長く垂らされた前髪の向こう側をじろりと睨み、努めて平然とした声で返す。――が、あごをつかまれて上向かされた。
息を吸い込んだ喉が「ひゅっ」と音を立てる。「離しなさい」と言いたいのに声が出せない。ゆっくりと近づいてくるアルの顔が視界を埋め尽くそうとしている。
前髪の合間からちらりとのぞくグリーンの瞳はまるで深い森を映した泉のようで、逸らすどころかくぎ付けになる。
鼻先が触れ合うほどの距離になってやっと自分の状況に気づき、なす術もなくまぶたをぎゅっとつむった。
「顔が真っ赤だぞ」
耳のすぐ横でささやかれた低音に、両目を見開いた。耳の横に顔を寄せていたアルが、ゆっくりと離れていく。
「だ、騙しましたわね!」
「なんのことだ」
アルはなに食わぬ顔でそう言うと、こちらをチラリと見て「ぷっ」と吹き出した。そして肩を震わせてくつくつと笑いだす。やっぱりからかわれていたのだ。
「もう!」
膨れてみたものの、楽しげな笑い声につられて「ぷっ」と吹き出した。「あははは」と声を上げて笑う。
いつの間にか笑いを収めていたアルがぽつりと言った。
「その方がいい」
「え?」
「すました作り笑いなんかより、そっちの方がずっとおまえに似合っている」
きゅん、と鼓動が音を立てた気がした。いや、そんなはずはない。きっとさっきの余波が残っていてまだ落ち着いていないだけだ。
「お、おだててもだめですわよ。もうアルの夕食はパンとスープだけです」
「それは困ったな」
そう言って彼がクシャリと前髪をかき上げた。額までが一気にあらわになり、顔立ちがよく見える。
形の良い額に、真横に伸びた眉。切れ長の二重まぶたに囲まれたグリーンの瞳。
(意外と整った容姿をしていますのね)
心の中でそうつぶやくと同時に、なぜか既視感がよぎった。
「アル、わたくし達どこかでお会いしたことがありましたか?」
考えるより早くそう尋ねるとアルが首をかしげた。その拍子に前髪が元の位置に戻る。
「それは口説いているのか?」
「くどっ……違います!」
「残念。たぶらかしてくれるかと思ったんだが」
「もう結構です」
ぷいっと横を向いて、ジャンを呼びに行こうとしたら「待て」と声をかけられる。
「まだなにか」
「俺が呼んでくる。その足じゃ日が暮れる」
「……助かりますわ」
言い方は意地悪だけど、なんだかんだで面倒見がいい。根は優しい人なのだ。
少しからかわれたくらいでムキになるなんて、自分らしくなかったと反省していると、すり抜けざまにぽんっと肩を叩かれる。
「夕飯の肉は多めな」
前言撤回。やっぱり意地悪かもしれない。
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