性徒会執行部!!

ふうまさきと

文字の大きさ
7 / 20
三章

性徒会執行部、部員 2

しおりを挟む
 扉の上には性徒会室と書かれたプレートが。

 そして、後ろを振り向くと生徒会室と書かれたプレートが。

 向かい合うようにして、部屋が割り当てられている。なんて突っ込めばいいんだろう、これ。生徒会に迷惑だろ! とか?

 いや、突っ込みを入れるだけ無駄か、今までだってそうだったんだから。

 何度目か分からない溜息を吐いて、井上先輩について性徒会執行部の部室へ入ることにした。

 スライドドアを開けばクラッカーと巨乳でお出迎え! というのを期待したけれど、現実はそうそう上手くいかない。

「新乳部員の如月悠斗だ、庶務をやってもうことにしている」

「如月悠斗です、よろしくおねがいします」

 井上先輩の極々簡単な紹介の後で、俺も簡単にあいさつを済ました。そして、ゆっくりと部屋を観察してみた。

 部屋は入口から縦長に続いており、真ん中には白色の会議用テーブルが置かれている。左右に青色をしたのリクライニングチェア二つずつと、奥に一つ。

 右側の手前にはピンクの色のツインテールをした女性が。形は確かラビット・スタイルだったか? 正統派ツインテールだ。

 どれどれ? おっぱいは……貧乳だ。それもかなりの絶壁。幼い顔立ちに未発育の幼いおっぱい……中々に反則だと思う。高校生というより中学生と言っても通じそうだ。

 その奥には銀色の髪をした男が。髪の右側にうねりとボリューム感があり、ヴィジュアル系バンドをしていると言われば納得できそうだ。俺なんかとは違って、女性に不自由なんてしなさそうで羨ましい。

 手にはティーカップと本を持っていて、絵になりそうだと思えた。

 左の手前には後藤先生と同等くらいに筋肉質で、肌の浅黒い男が。
格闘技とかをしてそうで少し怖い。左右の耳にはイヤリング、首にはネックレス、腕にはブレスレット。その全てが金に統一されている。

 左奥と正面奥の椅子には誰も座って居ないけれど、正面の椅子は恐らく井上先輩の椅子なんだろう。

 部屋の右奥にはパソコンのモニターが六台置かれており、その周辺には美少女フィギュアが置かれていた。そのパソコンの前には、黒のリクライニングチェアに深く腰かけてヘッドホンを付けたいかにもといった男が座っている。

 顔は髪で隠されていて表情が読み取れないが、俺と同じで冴えない部類の人間なんだと思う。

 左奥には冷蔵庫と食器棚、コンパクトキッチンが置かれ、クーラーも完備されている。

 明らかに普通の部室とは思えない。私物としか言えないものまで置かれている。

 こんな無法地帯でいいのか? 生徒会は何かと設備はいいと聞いているけれど、性徒会も例外ではないというのか!?

「君が如月君か、始めまして、俺は二年の才華瑠衣さいかるい、弥生ちゃんの言ってた通り、可愛い顔してるね」

 この銀色の髪をして、笑顔であいさつを返してくれた人は才華先輩か。この部室に居る人は一年で見たことないから全員先輩と見てよさそうだ。

「可愛い、ですか?」

「可愛いと思うよ? ねぇ、げんげん」

「げんげんっていうなっつったろ、あんま言ってと掘るぞゴラッ」

「ははは、冗談きついなーもう」

 げんげんって言われた浅黒い肌の先輩、もしかせずともそっちの人なのだろうか……。

「如月悠斗……っていったか? 俺は三年の吾妻源あずまげんだ、よろしく」

 なるほど、吾妻先輩か、そっちの人なら後ろには気を付けなければならないな……俺にはそっちの気はないし、何より貞操は失いたくない!

「才華、たしかにこいつは可愛い顔をしているが、あいにく俺の趣味じゃない。俺の趣味は細いやつなんかじゃなくて、もっと筋肉のあるやつだと言ってるだろうが!」

 ……貞操の危機は無さそうでよかったけど、趣味じゃないってことはつまりそういうことでいいんだよな? 聞き間違いでいたい……。

「ああ、源はホモ専用だ」

 井上先輩、聞きたくなかったです、それ。

「まぁ、よろしく」

 右手を差し出されたので、とりあえず握手だけはした。

 もちろん、引っ張られても対抗できるように重心は後ろに残したままにしたけど、杞憂で終わってよかった、本当によかった。

「如月君、はじめましたっ」

 ロリ顔ロリ体型で噛んだことを恥じらい顔を赤くする……だと? まじで反則だろこれ!!

 すいません、噛みました! といって何度も頭を下げている。

 これは、癖になりそうだ……。

「始めまして、私は美波柚みなみゆずっていいます。一応これでも高校二年生ですからね! 勘違いしないでくださいよっ!」

「中学校二年生の美波さんですね? 分かりました」

「違いますっ! むぅ!」

 眉を寄せて頬を膨らませて怒っているんだろうけど、可愛過ぎる! ああ、ダメだ、ほんと癖になるぞこれ……。

「悠斗、柚を苛めるな」

 井上先輩が怒るだなんて珍しい、ここは素直に謝っている方が懸命、かな?

「柚は私とレズ専用だ」

 そう言って美波先輩を子供をあやすかのよう愛でている。誰が謝るか! 謝るとか言ったのは誤りだったよ!

 しかしなるほど、美波先輩はレズ……か。だとしたらあのまな板のように絶壁のおっぱいを触ることは出来ないのか……。

 まだ奥の、パソコンの前に鎮座している人が誰か分からない。こんなに騒がしくしていても此方を見向きもしないってことは、ヘッドホンで聞こえていないんだろうか。

「奥の彼は渚仁なぎさじん、見ての通りオタクだよ」

「オタクじゃない」

 今まで何の反応を示さなかったはずなのに、才華先輩の「オタク」という言葉に反応して、ヘッドホンを外して此方を見てきた。

 その時、前髪から一瞬だけ顔を覗かせたけれど、普通に格好いいと思えた。なんであんな髪型にしているのか謎だ。

 短髪にすれば俺なんかと違ってモテるのに勿体無い。

「ほんとお前ら煩い。せっかくのエロシーンが台無しじゃねーかよ」

「だったら自己紹介しなよ」

「二年、渚仁、オタクじゃない、以上」

 言い終わるとヘッドホンを被りなおしてパソコンの画面に視線を移していた。

 エロゲをしていたのか……この部屋にまともな人って俺と才華先輩くらいしかいないんじゃないか?

”だからお前は”

”違う”

”違います”

 くそ、聞き逃してくれなかったか。

「悠斗、彼は二次元専用だ。世の中には私の胸では満足しない人がいるらしい。実に嘆かわしいとは思わないか? んん?」

”欲望に素直になったじゃねーか”

”紳士設定はどこにいったのかしらね?”

 それにしても、井上先輩と美波先輩の間に挟まれたい……。

”無視するんな!”

”無視はいけませんよ!”

 あーもううるさいなー、目の前のことに集中させてくれよ!

「ああー!! 弥生さん、言わないで下さいよ、もぅ……」

「はっはっは、すまんすまん」

 井上先輩の愛でる力がより一層増している気が。頭だけを撫でていたはずなのに頬ずりがプラスされている。そして、何より胸を触っているように見える。

 気のせいと信じたい。

 でも、その光景を才華先輩が羨ましそうに眺めているのを見ると、俺と同じで間に挟まれたいのかな?

 吾妻先輩はと言うと、全くといっていい程興味なさそうだ。本当に同姓にしか興味が無いらしい。

 一応、一応は警戒だけはしておく方がいいよね?

 趣味じゃないとはいっていても、何かの弾みでアッーーーーーー! だなんで絶対に嫌だからな!

 新境地なんて開かないぞ!

「ふゅぅ……」

 美波先輩も、井上先輩にいい様にされているのに満更ではなさそうなところを見ると、レズというのは本当なのだろう。

 あと、M気質があるとみた!

「ところで如月君、君は……貧柔派かい? それとも巨乳派かい?」

 あ、才華先輩、この人も紛うことなき変態だ。この学校にまともな人いなくない!?

 入学する学校盛大に間違えたよ!

 乳学だとか性大だなんて言わないからな!

 いくらまわりがそんな雰囲気だとしても、俺は俺を貫いてみせる!

”その結果紳士ではなくて変態になったわけだがな”

 過去のことを思っちゃダメなんだ、過去は過去なんだから。何時までも過去を引き摺っていたら明るい未来なんてないんだから!

”間違えても格好いいとか思うなよ?”

”格好良くないので自重しましょうね?”

 本当に俺の中にいる天使なの?

 今更だけど、俺に厳しくない!?

 まぁ、それは今は置いておくとしよう、今は、ね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...