性徒会執行部!!

ふうまさきと

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三章

性徒会執行部、部員 3

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 貧柔派と巨乳派、か……。

 おっぱいにはそれぞれの魅力がある。どっち派と聞かれても即答出来ない……。

 猫派、犬派。たけのこ派、キノコ派。タヌキ派、きつね派。こしあん派、つぶあん派。こういったのなら答えられるのに、すべてのおっぱいを愛する俺としては貧柔か巨乳かだなんて選べない……。

「ちなみに僕は断然貧柔派だけどね。巨乳派だったとしても怒らないから気楽にいってごらん?」

「その、どっち派っていうか、両方といいますか……全てを愛してるといいますか……」

「なるほど、どうやら愚問だったようだね」

「いえ、すみません……」

「謝らなくてもいいよ」

 才華先輩はティーカップを手に持ってから。

「それより、あれを見てごらん?」

 井上先輩と美波先輩の方に視線を移した。

 そして、ティーカップの中の何かを啜りながら真剣な表情で。

「羨ましいと思わないかい?」

 真剣な顔してなにいってんすか! 羨ましいけどさ!!

「まぁ、触りたいですよね」

「柚ちゃん、頼んでも触らしてくれないんだよ……」

 残念そうな顔してるけど、言ってることおかしいですからね!?

 俺も俺で触りたいとか思ったけどさ? 何が残念かって、こんな会話をしてることが残念だよね!

 もう、諦めたけどさ……。

”諦めは肝心だな”

”ファイト!”

 いや、そんな励ましいらないから。

「ん? 悠斗、柚の胸を触りたいのか?」

 そんなニヤニヤしないでくださいよね。どうせ、「専用」っていうくらいなんだから頼んだって触らしてくれないくせに。

「触れるなら触りたいものですよ、ね? 才華先輩」

 どうせダメと分かってるから、せめて仲間を増やそうと才華先輩も巻き込んでおいた。悪いとは思っているけど、反省はしてない。

「そうだね……」

 またティーカップの中の何かを啜った。

 机の上の更にカップを置くとき、中身が赤みの薄いオレンジ色をしていた。種類までは分からないけど、紅茶ということは分かった。

 本当にこの姿だけを見ている分には格好良くて絵になっているのに、口を開けば……ってやつだな。ほんと。

「だそうだ、柚」

 愛でる手を休める気はないらしい。

「如月君になら……いいかも……です。」

「僕は!?」

 才華先輩は立ち上がって驚いていた。

 言葉や態度には出して無いけど、それ以上に驚いている自信が俺にはある。ほんと、俺なんて冴えない人間のはずなのに、これはもしかして容姿に自信を持っちゃってもいいのかな? いいのかな!?

”ダメだろ、可愛いけど”

”ダメね、可愛いけど”

 あれ? 悪魔さん? 天使さん? デレ期か何かですか!?

 触られてもいいとは言っているが、罠の可能性も否定はできない。触った瞬間「訴えます!」だなんて言われたり、いきなり平手打ちをされたり。

 だって、レズと公言してるんだよ?

 なのに、イケメンな才華先輩ではなく、地味で冴えないと思っていたけど、可愛いとか言われてる俺が触っていいだなんて、罠としか言えないんじゃないか?

 それでも俺は、たとえ罠だったとしても、僅かな可能性を信じて前へ進もう。

 死ぬときはおっぱいで死ぬ。おっぱいに生きおっぱいに死ぬ。それでいいじゃないか!

 だから……俺は……。

 美波先輩の元に近付いて。

「失礼します」

 一応断りを入れて、服の上から触らせて貰うことにした。

「……ひゃぅ」

 下着が……ない……だと!? 膨らみという膨らみはないけれど、少し硬い物はあった。

 標高の低い頂きだろう……。

美波先輩を日本の山で例えれば天保山。いや、美波先輩の山はもっと低いだろう。日本一低い山、天保山といえど、まがいなりにも山は山だ、少しは登る。けど、美波先輩の山は登ることすらない。

 でも、それを補っても余りある程の感度ときた。そしてなんて可愛らしい声を出すんだろう。もっと触りたいが、止めておこう、まだ死にたくないから。

 後ろからハリのようにチクチクと刺さる視線が、死線が送られている。

「ありがとうございました」

 美波先輩にお礼だけを行って、逃げるために部室から去ろうとしたけれど。

「如月君?」

 後ろから声がかかり、左肩を掴まれた。

 ミシミシいうんじゃないかってくらい強い力で。

「……はい」

 振り向くと、笑顔の才華先輩がいた。ただし、目は笑っていない。

 獲物を狙う肉食獣の目だよこれ!

「感想は?」

「……はい?」

「だから、感想だって」

 そういう才華先輩からは、すっかり牙が抜けていた。先ほどまで向けられていた敵意は無く、純粋な探究心といった印象。

「そうですね、膨らみはまるで感じれなかったですけど、ものすごい感度ですよ、あれ」

 触ったときと、それに対する美波先輩の表情や声から思った感想を端的に述べた。

「そうか、そうか……」

 何かを考えるかのように、目をつぶり、ゆっくりと頭を何度か縦に振っている。

「僕も、いつかは触りたいな……」

 なんていうか、ごめんなさい。

 そこまで貧乳を愛していただなんて……。

「柚ちゃん以外の胸なんていらないよ……」

 恐らくこの声は俺以外の誰にも聞こえていないと思う。それくらい小さな声だった。もしかして、貧乳好きというよりも、美波先輩を好きなんじゃないかと思ってしまう。

 才華先輩にだけ聞こえるように近付いて。

「美波先輩のこと好きなんですか?」

「柚ちゃんを好きか? だって? そうだね、今は柚ちゃんにしか興味がないね」

 あ、やっぱり美波先輩のことが好きなんだ。

「だって、この学校にいる他の子の胸はもう触ったから……」

「……あ、そうですか」

 苛立ちを通り越して呆れの気持ちしかない。

「卒業までには柚ちゃんの胸を触るって決めてるんだ」

「頑張ってください」

 目の奥に炎が見えてしまったら、そりゃもう応援するしかないよね!

 項垂れていた才華先輩は起き上がり、自分の場所に戻って残っていた紅茶を飲み干す。そしてコンパクトキッチンに向かった。
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