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13巻
13-2
興奮に言葉もないバルドに、シルクは恥じらいながら囁いた。
「その……食べて?」
ブチン、と理性の紐が音を立てて切れる音をバルドははっきりと聞いた。
「こ、こんなん辛抱できるかあああああ! 覚悟は出来てんだろうなあああああ!」
「きゃあああああああんっ!」
野獣と化したバルドに、内心でしてやったりとシルクはガッツポーズを取った。
シルクにとっては、側室だけでなくバルドでさえもライバル。
夫婦の夜の生活では、夫にも負けることは許されない。
(勝った! 第一章、完!)
そう思っていた。今この時までは――。
「あの……バルド? もういいんじゃないかしら?」
「…………」
「お願い。私がやりすぎたわ。早く正気に戻って!」
「…………」
「もう限界なの。少しだけ、少しだけでいいから休ませて……」
「…………」
「らめえ……馬鹿になりゅ」
「…………」
「……………………(言葉がない。ただの屍のようだ)」
「仕方がないんや! この金色の輝きが、僕のエクスカリバーを狂わせるうううう!」
朝の日差しがベッドを照らし出すころ、精魂尽き果てた二人は、仲良く抱き合ったまま怒涛の初夜を終えたのだった。
その日の午後、シルクは昼過ぎにようやくベッドから出て私室に戻った。
コルセットでかろうじて姿勢を維持しているシルクを、たちまち嫁たちが取り囲む。
「どうやった?」
「バルド様は優しくしてくれましたか?」
「ていうか……随分と遅かったわね。激しかった?」
セリーナとレイチェルに続き、アガサも切実な顔でシルクに迫った。
「……すごかった」
思い出すだけで秘所が濡れそうなほどに凄まじい体験だった。
表現すべき言葉が見当たらず、シルクは恥ずかしそうに頬を染めて俯いてしまう。
順番的に今夜の相手となるはずのレイチェルが困惑する。
「あの……もう少し具体的におっしゃってくれませんか?」
「……本当にしゅごかった」
「色ボケしてんなやあああああああ!」
「使えないのにゃ」
「……ごくり」
セリーナ、サツキ、シルクの反応である。
焦り半分、羨ましさ半分。ただ、ベッドでシルクがバルドに完敗したらしいことだけは察した。
そうでなくてはこのシルクの反応は説明できない。
「いったい何をやったのあなた?」
うすうすシルクが策を講じていることに気づいていたアガサは、どんな手段を取ったのか、そしてバルドの反応はどうだったのかを探ろうとしたのだが……。
「……しゅごかった」
「あのねえ、あまり色ボケしてると正妻の名が泣くわよ?」
「でも、しゅごかった」
心ここにあらず、という風のシルクに、今日のところはまともな話ができそうもないと、アガサは諦めて肩を竦めた。
「どうせこの子のことだから、何か企んで返り討ちにあったんでしょ。レイチェル様にはあまり参考にならないでしょうけど」
「あの凛々しいシルク様をここまで……少し羨ましい気がしてしまいますわ」
「た、確かに私も正直気になるけど……」
アガサとレイチェルがわずかに頬を赤くする。
年頃の乙女だけに、性への興味も欲求も強い。シルクの意識が回復したならば、必ずや真実を吐かせようと固く誓う嫁たちであった。
「だだだ、だめよ! あれは封印! 私は本気で命の心配をしたのよ? とても一人では受け止められないわ……? あら? 二人ならいいのかしら……」
いけない妄想に陥りつつも、シルクが秘密を守り通せたかどうかは謎である。
後日、バルドの寝室からチャリン、という金貨の音と、複数の女性の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか。
――ネドラス王国。
もともとは統一王朝がアンサラー王国やマウリシア王国に分裂していく過程で、有力な公爵家であったネドラス公爵が独立した小国である。
それから数百年、大陸の複雑なパワーバランスのなかで、隣国であるカディロス王国とともに強かに生き抜いてきた。
しかし先代王モラド二世が、アンサラー王国の王女バーバラを娶ったことで情勢は変わる。
いや、強引に変えられたというほうが正解であろう。
二人の間に男子が生まれ、六歳まで成長したとき、モラド二世は急な病に倒れ、二十八歳の若さでこの世を去った。
この件は、いまだにアンサラー王国による暗殺を疑われている。
弱冠六歳のラトカ三世が即位するも、治世を全うできる能力などあるはずもなく、親アンサラー王国派のヴァシリー公爵が摂政に就く。
この一連の動きに対して、反アンサラー王国派のダビッド公爵が抵抗勢力を構築するが、翌年謀反の疑いをかけられて処断。
さらに国母となったバーバラが、母国から有力な貴族を呼び寄せ、国王の側近として登用したため、国家の中枢を乗っ取られる形となった。
こうなってはネドラス王国が独立を失い、属国と化すまで一本道である。
重税を課せられた庶民や、既得権益を失った貴族が各地で反抗の火の手を上げるのもまた、自然の流れであった。
アンサラー王国に近くエウロパ教徒が多いなかにあって、ネドラス王国では人間と獣人とが協力的な関係を築いてきた。
アンサラー王国で獣人の虐殺が発生し、そこから逃れてきた獣人が多かったこと、そして彼らの武力を独立の力にしようという王家の思惑があったことなどが理由だ。
両者の間で交わされた暗黙の契約は、ヴァシリー公爵による獣人の財産の没収という形で破られた。
獣人が有する白兵能力は軍事力として得難い。だからこそネドラス王国は彼らの権利を守り、同じ国民として保護してきた。
しかし実質的にアンサラー王国の属国となった今、その軍事力は邪魔でしかなかった。
かつて獣人がもっとも多く住んでいたのは、反アンサラー王国派のコヴァレンコ伯爵領である。
また、粛清されたダビッド公爵領にも獣人が集中していた。
新たにダビッド公爵領を受け継いだアンサラー王国派のプリマコフ侯爵は、ただちに獣人に対する迫害を開始した。
獣人の土地は残らず没収され、強制労働や重税が課されて、ほとんどの獣人はプリマコフ侯爵領からの逃亡を選択する。
そうなると、彼らの希望がコヴァレンコ伯爵領となるのは当然だろう。
どうして彼らがそれほどコヴァレンコ伯爵に信頼を寄せていたかといえば、それは伯爵が獣人の側室を迎え、ラグニタスという息子を得ていたからにほかならない。
「彼らとて変わらぬ我が国の民である!」
当時の当主であったコヴァレンコ伯爵イサークは、絶望的な国内情勢のなかでも、毅然とした態度を崩さなかった。
権力は失えども、反アンサラー王国派の兵力は依然として強力だ。
特に伯爵領に集結した獣人は、確実にアンサラー王国の脅威となるだろう。
正面から戦争となったら、なんのために時間をかけて、婚姻政策でネドラス王国を乗っ取ったのかわからない。
そのままじわじわと数十年をかければ、労せずして反対派は衰え、ネドラス王国は熟した果実のように手に入ったはずった。
そうならなかったのは――運命の力というしかないだろう。
アンサラー王国からやってきた外様と違い、ようやく権力を手中に収めた摂政のヴァシリー公爵はそれほど気長に待つ気にはなれなかった。
「コヴァレンコ伯爵の仕儀、まことにもって不届き千万」
戦争は犠牲が大きすぎるというのなら暗殺してしまえばよい、とばかりにイサークを王宮に呼び出し、毒殺してしまう。
旗頭を失ったコヴァレンコ伯爵領は、為す術もなくヴァシリーが派遣した軍勢に占領されるかに思われたのだが――。
「父上の仇、もはや祖国とて容赦せぬ」
そう叫んで敢然と立ち上がったのが、誰あろう若き日のラグニタス――イサークの獣人側室の息子であった。
このときラグニタスはまだ十七歳で、初陣も経験していなかった。
それでも伯爵家の人間として高等教育を受け、幼いころから忠誠心の高い獣人の近臣を与えられたラグニタスは、五百の兵を率いて王国軍二千を散々に打ち破った。
イサークさえ殺せばどうにでもなると考えていたヴァシリー痛恨の誤算であった。
しかし誤算から始まったとはいえ、地方貴族に負けたままでは摂政たる自分の威信に関わる。
すぐさまヴァシリーは五千の大兵を組織して討伐に向かわせた。
「――誰が素直に戦うといった?」
だが戦いの知恵を生まれながらに備えた天才の片鱗を、ラグニタスはすでに見せ始めていた。
のちに変幻自在の戦術と神出鬼没の戦闘で、幻影のラグニタスと徒名されるきっかけこそが、まさしくこの戦いであった。
圧倒的な兵力差を前に、城に引きこもって防戦するだろうと考えていた派遣軍司令官は、伯爵領まで二日ほどの距離を残したラルフの街で、完全に油断しきっていたところを夜襲される。
音もなく接近し、防御施設など物ともせぬ踏破能力で奇襲する、まさに獣人部隊の真骨頂であった。
「何事だっ?」
「……あんたはうちを嘗めすぎだよ」
「ひいぃっ! 誰だ貴様? まさか……伯爵の手の者か?」
「ここまで攻めてきていながら、今さら誰だ、もないだろうが」
うろたえる司令官を嗤う金色の眼光。少年ラグニタスは獲物を狩る獣の喜びを存分に享受していた。
あるいは獣人が人間に警戒されるのは当然なのかもしれない。こんなにも獲物を、敵を弄ぶのが楽しくて仕方がないのだから。
「五千も兵がいれば、大人しく閉じこもっていると思ったか?」
「こ、こんなことをしてただで済むと思うか? コ、コヴァレンコ伯爵領の獣人など皆殺しにしてやってもよいのだぞ!」
「できもしないことを吠えるな、クズが」
「ひいいいいいっ!」
トスッ。
あっけないほど小さな音とともに、司令官の胸に剣が突き立つ。
その光景を信じられないような目で見つめて、子供のようにいやいやと首を振り、司令官は絶命した。
「強者ほど油断しないものなのだがな。ネズミでも己の生を守るために猫に噛みつくというのに、黙って俺たちが殺されるとでも思ったか」
ラグニタスはゆっくりと右手を上げる。
同時に派遣軍の宿舎に次々と火が放たれ、五千もの兵を維持すべき食糧や秣、武器がすべて紅蓮の炎のなかへと消えていった。
いくら五千の兵がいても、寝込みを襲われ、しかも周囲が火事となれば戦うどころの騒ぎではない。
混乱して同士討ちする者、火傷する者、甚だしいところでは逃げ遅れて焼死する者などが続出し、派遣軍は戦わずして千以上の兵力を失った。
残った兵で戦いを継続しようにも、持ってきた食糧は灰になっているし、馬の秣も燃え尽きていた。
決断すべき司令官も戦死していて、派遣軍は完全に戦意を喪失した。
驚愕したのはヴァシリー公爵である。
小国であるネドラス王国にとって、五千という兵力は軽々に編成できるものではない。
アンサラー王国との国境圧力が軽減されているとはいえ、最低限の守備兵力は必要であり、王都ハズスを維持するだけの護衛兵力も必要であった。
そうすると、どうやりくりしても編成できるのは最大で三万。コヴァレンコ伯爵以外の反アンサラー王国派への備えを考えるなら、一万五千から二万がせいぜいというところか。
そのうちすでに、七千もの兵力が壊滅してノコノコと帰還してきたのだ。彼らを再編せずして、再び討伐軍を組織することは不可能であった。
かかる失態は、摂政であるヴァシリーの顔に泥を塗るものだ。
もし三度敗北するようなことがあれば、反アンサラー王国派が勢いづき、ヴァシリーが逆に粛清されることにもなりかねない。
それからしばらくして、ヴァシリーはネドラス王国にとって、まさしく最悪の決断をした。
アンサラー王国へ軍事支援を要請し、ネドラス王国内に、アンサラー王国の正規軍数万が駐留することを認めたのである。
――貧すれば鈍する、とは至言である。
形式的にはまだ独立を保っていたネドラス王国が、完全にアンサラー王国の属国と化した。
軍事的独立を放棄しては、いかなる意味での独立もありえない。
もはやアンサラー王国がどんな無茶を要請してきても、それを拒否する力も気概もネドラス王国は持ちえなかった。
堂々とネドラス王国を実効支配できる大義名分を得たアンサラー王国は、満を持して正規軍二万を派遣。
合計三万となる討伐軍が組織され、数年の時を経て、いよいよコヴァレンコ伯爵領への再進撃が開始された。
対する伯爵家は根こそぎ動員しても二千程度。しかし獣人からなる白兵部隊がその半数近くを占め、甘く見ることはできない。
さすがに今回は討伐軍も油断していなかった。
獣人による夜襲を警戒し、伯爵領への道筋でも偵察を徹底して、リスクを回避しようとしていたのだが……。
「――生憎と、こっちはまともに戦う気はないんだよ」
ラグニタスは最初から、人間の戦争に付き合う気はなかった。
正面からの戦いになれば、数で圧倒的に劣る獣人は決して勝てない。
ならば勝てるところでだけ勝てばよい。
それが、獣人がもっとも力を発揮する戦い方であるはずだった。
突如として宿営地に火の手が上がる。警戒を解いていなかった討伐軍はすぐさま迎撃の態勢を取り、秣に火を放つ複数の獣人を追撃した。
「伏兵がいるかもしれん! 連携を怠るな!」
数に勝る討伐軍がリスクを取る必要はない。それは完全に正しい判断だったが、その沈着な対応が仇となった。
「――ぐはっ!」
今回の奇襲の目的は、兵と食糧にあらず。その目的は指揮官の暗殺にあった。
ラグニタスとごく数名の精鋭が、司令官を狙って密かに狙撃位置についていたのである。
獣人ならではの膂力で放たれた矢は、過たず司令官の胸を貫いた。
「――狙撃だ! 近くに暗殺者がいるぞ!」
「探せ! 生かして帰すな!」
即死した司令官の周囲を必死で探し回るが、ラグニタスたちが潜伏していた場所はそこより遥かに遠い。獣人の弓の射程は人間のそれを上回るのだ。
「俺たちの夜目と膂力を嘗めてもらっちゃ困る。そんな近くにはいないよ」
本来なら司令官が戦死した場合、副司令官が指揮を代行する。しかし戦闘にすらならないうちにあっさりと暗殺されてしまったことに副司令官は恐怖した。
次に狙われるのは指揮を受け継いだ自分だが、司令官を暗殺した部隊はいまだ捕まらない。
副司令官はいっそ撤退してしまいたい欲求に駆られた。しかし、多数を占めるアンサラー王国正規軍がそれを許さなかった。
彼らからすれば、ネドラス王国の司令官が暗殺されたことはむしろ僥倖であり、自らの力を見せつける好機でもあったのである。
見張りの数を倍に増やし、それ以来奇襲を許さず、ついに討伐軍はコヴァレンコ伯爵領へと到達した。
今度こそ圧倒的な兵力で蹂躙できる。
そう彼らが考えたのも無理はない。事実、戦闘は完全に討伐軍の優位に推移していた。
損害もまた大きかったが、攻城戦の開始から数日後、いよいよ城壁を突破した討伐軍は怒涛の勢いで市街へと突入する。
――ところが。
「今だ、火を放て」
数万の兵力でごった返した市街地の各所から、一斉に火の手が上がった。
逃げようにも大軍ゆえに、平地ならばともかく市街地では身動きが取れず、混乱が広がりさらに指揮系統が乱れる。
もはや討伐軍は、炎という暴虐に嬲られる哀れな生贄にすぎなかった。
「まさか! 自分の街を焼くというのか!」
「もう領民はとうに避難を完了している。ここで貴様らを殲滅しておけばもう王国に余力がないことはわかっているんだ」
「だからと言って――こんな、こんな戦い方があるか! 貴様は武人の誉れを何だと思っているのか!」
「武人になったつもりは一度もないね。思い上がった身の程知らずの獲物を仕留める狩人になった気はするが」
「これだから獣は――!」
「狩られる獣は貴様らのほうだ。死ぬ前に慈悲深い神に祈っておくんだな。獣に負けてしまってごめんなさい、と」
幼いころから育ってきた美しい街並みを犠牲にして、討伐軍に与えた損害実に一万。残る二万も戦力としてはほとんど使い物にならない。
もはやネドラス王国にコヴァレンコ伯爵領へ手を出す余力はないかに思われた。
だがラグニタスほどの人物をもってしても、大陸最強最大の国家であるアンサラー王国の底力は計り知れなかった。
面目を丸つぶれにされてから一年、切り札として送り込まれたミハイル・カラシニコフ将軍によって、ラグニタスは人生初めての手酷い敗北を喫するのである。
空に浮かんだ巨大な月を見上げて、ラグニタスは少年時代のある日、突然に父を奪われ戦いの日々に身を投げ出した記憶を思い出していた。
「敵としてミハイルは恐ろしくはあったが、憎むべき男ではなかった。だが、あのトリストヴィーのクズどもは……」
戦いの相手として認めることすら憚られる。
ただ害虫のように駆除する対象。殺すという言葉にさえ値しない連中であった。
「準備はいいか?」
「はい、獣王陛下より賜った火薬も準備を完了し、あとはラグニタス様の命令を待つのみでございます」
打てば響くような側近の返事に、ラグニタスはようやく訪れた反撃の時に心を躍らせていた。
「――あなたに賭けて正解でしたよ。獣王陛下」
バルドのトリストヴィー国王即位からまもなく、ネドラス王国では獣人たちによる新たな反乱が、かつてない規模で開始されようとしていた。
現在のネドラス王国を実質的に支配しているのは、もちろん幼いラトカ三世ではない。かといって摂政であるヴァシリー公爵でもなかった。
ラグニタスの討伐に失敗したヴァシリー公爵は面目を失い、失脚とまではいかないが、お飾りに近い存在となっている。
現在ネドラス王国の実質的な指導者は、国母であるバーバラ王太后と、アンサラー王国から派遣されてきたウラジーミル将軍となっていた。
すでに国内官僚組織の主立ったメンバーは、アンサラー王国の息のかかった人間にすげかえられており、今やアンサラー王国の顔色を窺わずには、何もできないありさまであった。
「――何があった?」
灰色の装束を身につけた諜報員が、音もなく執務室へと滑り込む。それを見たウラジーミルはにべもなく尋ねた。
前任者のフォークと違い、ウラジーミルは策謀を旨とする軍政家タイプの将軍である。
戦場での指揮能力はミハイルに劣るが、属国を統治することに関しては、一枚どころか二枚も三枚も上の男だ。
彼は人間の欲求が、格差によっていかようにも操作できることを熟知していた。
だからこそ旧トリストヴィー公国の貴族を捨て石としてこき使うという奇策を考えつくことができたのである。
「獣人どもが再び攻勢に転じております。すでに捨て石の半ばまでが殺されているかと」
「だからどうした? もともとあの連中は生贄だ。いくら殺されても構わん」
「はい、ですが今回ばかりは逆手に取られましたようで」
「その……食べて?」
ブチン、と理性の紐が音を立てて切れる音をバルドははっきりと聞いた。
「こ、こんなん辛抱できるかあああああ! 覚悟は出来てんだろうなあああああ!」
「きゃあああああああんっ!」
野獣と化したバルドに、内心でしてやったりとシルクはガッツポーズを取った。
シルクにとっては、側室だけでなくバルドでさえもライバル。
夫婦の夜の生活では、夫にも負けることは許されない。
(勝った! 第一章、完!)
そう思っていた。今この時までは――。
「あの……バルド? もういいんじゃないかしら?」
「…………」
「お願い。私がやりすぎたわ。早く正気に戻って!」
「…………」
「もう限界なの。少しだけ、少しだけでいいから休ませて……」
「…………」
「らめえ……馬鹿になりゅ」
「…………」
「……………………(言葉がない。ただの屍のようだ)」
「仕方がないんや! この金色の輝きが、僕のエクスカリバーを狂わせるうううう!」
朝の日差しがベッドを照らし出すころ、精魂尽き果てた二人は、仲良く抱き合ったまま怒涛の初夜を終えたのだった。
その日の午後、シルクは昼過ぎにようやくベッドから出て私室に戻った。
コルセットでかろうじて姿勢を維持しているシルクを、たちまち嫁たちが取り囲む。
「どうやった?」
「バルド様は優しくしてくれましたか?」
「ていうか……随分と遅かったわね。激しかった?」
セリーナとレイチェルに続き、アガサも切実な顔でシルクに迫った。
「……すごかった」
思い出すだけで秘所が濡れそうなほどに凄まじい体験だった。
表現すべき言葉が見当たらず、シルクは恥ずかしそうに頬を染めて俯いてしまう。
順番的に今夜の相手となるはずのレイチェルが困惑する。
「あの……もう少し具体的におっしゃってくれませんか?」
「……本当にしゅごかった」
「色ボケしてんなやあああああああ!」
「使えないのにゃ」
「……ごくり」
セリーナ、サツキ、シルクの反応である。
焦り半分、羨ましさ半分。ただ、ベッドでシルクがバルドに完敗したらしいことだけは察した。
そうでなくてはこのシルクの反応は説明できない。
「いったい何をやったのあなた?」
うすうすシルクが策を講じていることに気づいていたアガサは、どんな手段を取ったのか、そしてバルドの反応はどうだったのかを探ろうとしたのだが……。
「……しゅごかった」
「あのねえ、あまり色ボケしてると正妻の名が泣くわよ?」
「でも、しゅごかった」
心ここにあらず、という風のシルクに、今日のところはまともな話ができそうもないと、アガサは諦めて肩を竦めた。
「どうせこの子のことだから、何か企んで返り討ちにあったんでしょ。レイチェル様にはあまり参考にならないでしょうけど」
「あの凛々しいシルク様をここまで……少し羨ましい気がしてしまいますわ」
「た、確かに私も正直気になるけど……」
アガサとレイチェルがわずかに頬を赤くする。
年頃の乙女だけに、性への興味も欲求も強い。シルクの意識が回復したならば、必ずや真実を吐かせようと固く誓う嫁たちであった。
「だだだ、だめよ! あれは封印! 私は本気で命の心配をしたのよ? とても一人では受け止められないわ……? あら? 二人ならいいのかしら……」
いけない妄想に陥りつつも、シルクが秘密を守り通せたかどうかは謎である。
後日、バルドの寝室からチャリン、という金貨の音と、複数の女性の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか。
――ネドラス王国。
もともとは統一王朝がアンサラー王国やマウリシア王国に分裂していく過程で、有力な公爵家であったネドラス公爵が独立した小国である。
それから数百年、大陸の複雑なパワーバランスのなかで、隣国であるカディロス王国とともに強かに生き抜いてきた。
しかし先代王モラド二世が、アンサラー王国の王女バーバラを娶ったことで情勢は変わる。
いや、強引に変えられたというほうが正解であろう。
二人の間に男子が生まれ、六歳まで成長したとき、モラド二世は急な病に倒れ、二十八歳の若さでこの世を去った。
この件は、いまだにアンサラー王国による暗殺を疑われている。
弱冠六歳のラトカ三世が即位するも、治世を全うできる能力などあるはずもなく、親アンサラー王国派のヴァシリー公爵が摂政に就く。
この一連の動きに対して、反アンサラー王国派のダビッド公爵が抵抗勢力を構築するが、翌年謀反の疑いをかけられて処断。
さらに国母となったバーバラが、母国から有力な貴族を呼び寄せ、国王の側近として登用したため、国家の中枢を乗っ取られる形となった。
こうなってはネドラス王国が独立を失い、属国と化すまで一本道である。
重税を課せられた庶民や、既得権益を失った貴族が各地で反抗の火の手を上げるのもまた、自然の流れであった。
アンサラー王国に近くエウロパ教徒が多いなかにあって、ネドラス王国では人間と獣人とが協力的な関係を築いてきた。
アンサラー王国で獣人の虐殺が発生し、そこから逃れてきた獣人が多かったこと、そして彼らの武力を独立の力にしようという王家の思惑があったことなどが理由だ。
両者の間で交わされた暗黙の契約は、ヴァシリー公爵による獣人の財産の没収という形で破られた。
獣人が有する白兵能力は軍事力として得難い。だからこそネドラス王国は彼らの権利を守り、同じ国民として保護してきた。
しかし実質的にアンサラー王国の属国となった今、その軍事力は邪魔でしかなかった。
かつて獣人がもっとも多く住んでいたのは、反アンサラー王国派のコヴァレンコ伯爵領である。
また、粛清されたダビッド公爵領にも獣人が集中していた。
新たにダビッド公爵領を受け継いだアンサラー王国派のプリマコフ侯爵は、ただちに獣人に対する迫害を開始した。
獣人の土地は残らず没収され、強制労働や重税が課されて、ほとんどの獣人はプリマコフ侯爵領からの逃亡を選択する。
そうなると、彼らの希望がコヴァレンコ伯爵領となるのは当然だろう。
どうして彼らがそれほどコヴァレンコ伯爵に信頼を寄せていたかといえば、それは伯爵が獣人の側室を迎え、ラグニタスという息子を得ていたからにほかならない。
「彼らとて変わらぬ我が国の民である!」
当時の当主であったコヴァレンコ伯爵イサークは、絶望的な国内情勢のなかでも、毅然とした態度を崩さなかった。
権力は失えども、反アンサラー王国派の兵力は依然として強力だ。
特に伯爵領に集結した獣人は、確実にアンサラー王国の脅威となるだろう。
正面から戦争となったら、なんのために時間をかけて、婚姻政策でネドラス王国を乗っ取ったのかわからない。
そのままじわじわと数十年をかければ、労せずして反対派は衰え、ネドラス王国は熟した果実のように手に入ったはずった。
そうならなかったのは――運命の力というしかないだろう。
アンサラー王国からやってきた外様と違い、ようやく権力を手中に収めた摂政のヴァシリー公爵はそれほど気長に待つ気にはなれなかった。
「コヴァレンコ伯爵の仕儀、まことにもって不届き千万」
戦争は犠牲が大きすぎるというのなら暗殺してしまえばよい、とばかりにイサークを王宮に呼び出し、毒殺してしまう。
旗頭を失ったコヴァレンコ伯爵領は、為す術もなくヴァシリーが派遣した軍勢に占領されるかに思われたのだが――。
「父上の仇、もはや祖国とて容赦せぬ」
そう叫んで敢然と立ち上がったのが、誰あろう若き日のラグニタス――イサークの獣人側室の息子であった。
このときラグニタスはまだ十七歳で、初陣も経験していなかった。
それでも伯爵家の人間として高等教育を受け、幼いころから忠誠心の高い獣人の近臣を与えられたラグニタスは、五百の兵を率いて王国軍二千を散々に打ち破った。
イサークさえ殺せばどうにでもなると考えていたヴァシリー痛恨の誤算であった。
しかし誤算から始まったとはいえ、地方貴族に負けたままでは摂政たる自分の威信に関わる。
すぐさまヴァシリーは五千の大兵を組織して討伐に向かわせた。
「――誰が素直に戦うといった?」
だが戦いの知恵を生まれながらに備えた天才の片鱗を、ラグニタスはすでに見せ始めていた。
のちに変幻自在の戦術と神出鬼没の戦闘で、幻影のラグニタスと徒名されるきっかけこそが、まさしくこの戦いであった。
圧倒的な兵力差を前に、城に引きこもって防戦するだろうと考えていた派遣軍司令官は、伯爵領まで二日ほどの距離を残したラルフの街で、完全に油断しきっていたところを夜襲される。
音もなく接近し、防御施設など物ともせぬ踏破能力で奇襲する、まさに獣人部隊の真骨頂であった。
「何事だっ?」
「……あんたはうちを嘗めすぎだよ」
「ひいぃっ! 誰だ貴様? まさか……伯爵の手の者か?」
「ここまで攻めてきていながら、今さら誰だ、もないだろうが」
うろたえる司令官を嗤う金色の眼光。少年ラグニタスは獲物を狩る獣の喜びを存分に享受していた。
あるいは獣人が人間に警戒されるのは当然なのかもしれない。こんなにも獲物を、敵を弄ぶのが楽しくて仕方がないのだから。
「五千も兵がいれば、大人しく閉じこもっていると思ったか?」
「こ、こんなことをしてただで済むと思うか? コ、コヴァレンコ伯爵領の獣人など皆殺しにしてやってもよいのだぞ!」
「できもしないことを吠えるな、クズが」
「ひいいいいいっ!」
トスッ。
あっけないほど小さな音とともに、司令官の胸に剣が突き立つ。
その光景を信じられないような目で見つめて、子供のようにいやいやと首を振り、司令官は絶命した。
「強者ほど油断しないものなのだがな。ネズミでも己の生を守るために猫に噛みつくというのに、黙って俺たちが殺されるとでも思ったか」
ラグニタスはゆっくりと右手を上げる。
同時に派遣軍の宿舎に次々と火が放たれ、五千もの兵を維持すべき食糧や秣、武器がすべて紅蓮の炎のなかへと消えていった。
いくら五千の兵がいても、寝込みを襲われ、しかも周囲が火事となれば戦うどころの騒ぎではない。
混乱して同士討ちする者、火傷する者、甚だしいところでは逃げ遅れて焼死する者などが続出し、派遣軍は戦わずして千以上の兵力を失った。
残った兵で戦いを継続しようにも、持ってきた食糧は灰になっているし、馬の秣も燃え尽きていた。
決断すべき司令官も戦死していて、派遣軍は完全に戦意を喪失した。
驚愕したのはヴァシリー公爵である。
小国であるネドラス王国にとって、五千という兵力は軽々に編成できるものではない。
アンサラー王国との国境圧力が軽減されているとはいえ、最低限の守備兵力は必要であり、王都ハズスを維持するだけの護衛兵力も必要であった。
そうすると、どうやりくりしても編成できるのは最大で三万。コヴァレンコ伯爵以外の反アンサラー王国派への備えを考えるなら、一万五千から二万がせいぜいというところか。
そのうちすでに、七千もの兵力が壊滅してノコノコと帰還してきたのだ。彼らを再編せずして、再び討伐軍を組織することは不可能であった。
かかる失態は、摂政であるヴァシリーの顔に泥を塗るものだ。
もし三度敗北するようなことがあれば、反アンサラー王国派が勢いづき、ヴァシリーが逆に粛清されることにもなりかねない。
それからしばらくして、ヴァシリーはネドラス王国にとって、まさしく最悪の決断をした。
アンサラー王国へ軍事支援を要請し、ネドラス王国内に、アンサラー王国の正規軍数万が駐留することを認めたのである。
――貧すれば鈍する、とは至言である。
形式的にはまだ独立を保っていたネドラス王国が、完全にアンサラー王国の属国と化した。
軍事的独立を放棄しては、いかなる意味での独立もありえない。
もはやアンサラー王国がどんな無茶を要請してきても、それを拒否する力も気概もネドラス王国は持ちえなかった。
堂々とネドラス王国を実効支配できる大義名分を得たアンサラー王国は、満を持して正規軍二万を派遣。
合計三万となる討伐軍が組織され、数年の時を経て、いよいよコヴァレンコ伯爵領への再進撃が開始された。
対する伯爵家は根こそぎ動員しても二千程度。しかし獣人からなる白兵部隊がその半数近くを占め、甘く見ることはできない。
さすがに今回は討伐軍も油断していなかった。
獣人による夜襲を警戒し、伯爵領への道筋でも偵察を徹底して、リスクを回避しようとしていたのだが……。
「――生憎と、こっちはまともに戦う気はないんだよ」
ラグニタスは最初から、人間の戦争に付き合う気はなかった。
正面からの戦いになれば、数で圧倒的に劣る獣人は決して勝てない。
ならば勝てるところでだけ勝てばよい。
それが、獣人がもっとも力を発揮する戦い方であるはずだった。
突如として宿営地に火の手が上がる。警戒を解いていなかった討伐軍はすぐさま迎撃の態勢を取り、秣に火を放つ複数の獣人を追撃した。
「伏兵がいるかもしれん! 連携を怠るな!」
数に勝る討伐軍がリスクを取る必要はない。それは完全に正しい判断だったが、その沈着な対応が仇となった。
「――ぐはっ!」
今回の奇襲の目的は、兵と食糧にあらず。その目的は指揮官の暗殺にあった。
ラグニタスとごく数名の精鋭が、司令官を狙って密かに狙撃位置についていたのである。
獣人ならではの膂力で放たれた矢は、過たず司令官の胸を貫いた。
「――狙撃だ! 近くに暗殺者がいるぞ!」
「探せ! 生かして帰すな!」
即死した司令官の周囲を必死で探し回るが、ラグニタスたちが潜伏していた場所はそこより遥かに遠い。獣人の弓の射程は人間のそれを上回るのだ。
「俺たちの夜目と膂力を嘗めてもらっちゃ困る。そんな近くにはいないよ」
本来なら司令官が戦死した場合、副司令官が指揮を代行する。しかし戦闘にすらならないうちにあっさりと暗殺されてしまったことに副司令官は恐怖した。
次に狙われるのは指揮を受け継いだ自分だが、司令官を暗殺した部隊はいまだ捕まらない。
副司令官はいっそ撤退してしまいたい欲求に駆られた。しかし、多数を占めるアンサラー王国正規軍がそれを許さなかった。
彼らからすれば、ネドラス王国の司令官が暗殺されたことはむしろ僥倖であり、自らの力を見せつける好機でもあったのである。
見張りの数を倍に増やし、それ以来奇襲を許さず、ついに討伐軍はコヴァレンコ伯爵領へと到達した。
今度こそ圧倒的な兵力で蹂躙できる。
そう彼らが考えたのも無理はない。事実、戦闘は完全に討伐軍の優位に推移していた。
損害もまた大きかったが、攻城戦の開始から数日後、いよいよ城壁を突破した討伐軍は怒涛の勢いで市街へと突入する。
――ところが。
「今だ、火を放て」
数万の兵力でごった返した市街地の各所から、一斉に火の手が上がった。
逃げようにも大軍ゆえに、平地ならばともかく市街地では身動きが取れず、混乱が広がりさらに指揮系統が乱れる。
もはや討伐軍は、炎という暴虐に嬲られる哀れな生贄にすぎなかった。
「まさか! 自分の街を焼くというのか!」
「もう領民はとうに避難を完了している。ここで貴様らを殲滅しておけばもう王国に余力がないことはわかっているんだ」
「だからと言って――こんな、こんな戦い方があるか! 貴様は武人の誉れを何だと思っているのか!」
「武人になったつもりは一度もないね。思い上がった身の程知らずの獲物を仕留める狩人になった気はするが」
「これだから獣は――!」
「狩られる獣は貴様らのほうだ。死ぬ前に慈悲深い神に祈っておくんだな。獣に負けてしまってごめんなさい、と」
幼いころから育ってきた美しい街並みを犠牲にして、討伐軍に与えた損害実に一万。残る二万も戦力としてはほとんど使い物にならない。
もはやネドラス王国にコヴァレンコ伯爵領へ手を出す余力はないかに思われた。
だがラグニタスほどの人物をもってしても、大陸最強最大の国家であるアンサラー王国の底力は計り知れなかった。
面目を丸つぶれにされてから一年、切り札として送り込まれたミハイル・カラシニコフ将軍によって、ラグニタスは人生初めての手酷い敗北を喫するのである。
空に浮かんだ巨大な月を見上げて、ラグニタスは少年時代のある日、突然に父を奪われ戦いの日々に身を投げ出した記憶を思い出していた。
「敵としてミハイルは恐ろしくはあったが、憎むべき男ではなかった。だが、あのトリストヴィーのクズどもは……」
戦いの相手として認めることすら憚られる。
ただ害虫のように駆除する対象。殺すという言葉にさえ値しない連中であった。
「準備はいいか?」
「はい、獣王陛下より賜った火薬も準備を完了し、あとはラグニタス様の命令を待つのみでございます」
打てば響くような側近の返事に、ラグニタスはようやく訪れた反撃の時に心を躍らせていた。
「――あなたに賭けて正解でしたよ。獣王陛下」
バルドのトリストヴィー国王即位からまもなく、ネドラス王国では獣人たちによる新たな反乱が、かつてない規模で開始されようとしていた。
現在のネドラス王国を実質的に支配しているのは、もちろん幼いラトカ三世ではない。かといって摂政であるヴァシリー公爵でもなかった。
ラグニタスの討伐に失敗したヴァシリー公爵は面目を失い、失脚とまではいかないが、お飾りに近い存在となっている。
現在ネドラス王国の実質的な指導者は、国母であるバーバラ王太后と、アンサラー王国から派遣されてきたウラジーミル将軍となっていた。
すでに国内官僚組織の主立ったメンバーは、アンサラー王国の息のかかった人間にすげかえられており、今やアンサラー王国の顔色を窺わずには、何もできないありさまであった。
「――何があった?」
灰色の装束を身につけた諜報員が、音もなく執務室へと滑り込む。それを見たウラジーミルはにべもなく尋ねた。
前任者のフォークと違い、ウラジーミルは策謀を旨とする軍政家タイプの将軍である。
戦場での指揮能力はミハイルに劣るが、属国を統治することに関しては、一枚どころか二枚も三枚も上の男だ。
彼は人間の欲求が、格差によっていかようにも操作できることを熟知していた。
だからこそ旧トリストヴィー公国の貴族を捨て石としてこき使うという奇策を考えつくことができたのである。
「獣人どもが再び攻勢に転じております。すでに捨て石の半ばまでが殺されているかと」
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