出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

文字の大きさ
68 / 194

68 羞恥心

しおりを挟む

「余計なお世話だと思うんですけど…」
「余計なお世話かどうかはこっちで決める。」

双子に報告があるからとお茶会を他人に盗み聞きし放題な屋外で行う。自分の部屋の侍女や女官を別の仕事を依頼しつつ好きなだけ人を放り込めという感じにしたので良い感じにお嬢様方の部屋付きメイドたちが給仕についている。

「キチンと報告書読まれてますか?」
「そうですね、外交問題になりかねないので読んでますよ?」
「…お金とかちゃんと動いているとか、見かけた時に直接進捗聞いたりして圧力掛けてます?口だけのやるやる詐欺とか下に命じるだけで人がしている仕事をいかにも自分頑張ってます報告書なんてカンタンに作れますよ?」

「…不公平とか出ないか?」
「そんなの時の運でしょ?たまたま見掛けて声を掛けた。しかも立ち話でキチンと答えれるのかどうかは別問題では?仕事の話をしてるのにそれ以外をしようとしていたら仕事してないのと同じですし、下に任せっぱなしで自分知らないって大問題だと思いますよ?御二方は報告書を目を通しているので全体的にご存知でしょうし、報告書外の話を捏造されても分かるかと。」

「…グダグダで変な持て成しになるくらいならそうするしかないでょうね。仕事もしてない人に与える部屋もありませんし、仕事してないと判断したらおかえり頂きましょうか。」

ギルバート様はこちらの意図を組んでそういう事を言ってくれるのにヴィルフリート様といえば…気づいていない。

「ヴィルフリートはこういうの苦手というか素直なんだよ。」
「心が純真な少年ってことですか。」
「仕事の思考回路はあるんだよ?弁明するけど。ミカエラ、伯父上が部屋に泊まって不便はない?」
「いえ。特にないですよ?ベッドは(クッションバリケード作っても)広いですし(2人とも)寝相はいいですから。」

 とりあえず仕事の話をそれっぽい話にして契約愛人としての勤めもしなければならない。私の仕事としてこれで良いのかとても不安だけれど、多分これで良いのだろう。というよりただの小娘に何を期待しているのだろう。王宮よりも家兼工房で仕事をして珍しい素材を調達して作品を作っていたい。たまに上級貴族でしかお目にかかれないものを見て新作の制作の参考にはさせて欲しいけれど。

「だけど私たちが声をかけたところで変なことにならないか?」
「あぁ、見た目が違うからですか?魔法で見た目を揃えて側近も混ぜてどちらかわからないようにしておけば良いでのでは?王宮にはそういう魔法ができる技術者くらいいそうですけれど。」
「それは昔いたずらでやりすぎて禁則事項となっている。昔は髪の色を揃えたら瓜二つだから苦手な授業から逃げる為に…」
「自業自得ですね。」

 お茶を飲んでおかわりをするたびに侍女達がこそこそと動いているのを確認してお茶会という名の報告を終わらせる。仕事を押し付けられた人たちはため息混じりに水面下で動いているだろうし、そろそろのんびりさせてほしい。私だけが内偵じゃないだろうけれど…


「ヘラルド様、今日もこちらで休まれますか?」

 夕食を一緒に食べるのだが、持ち込まれた書類の山とそれを運搬するクーフィア様が不憫に見えてならない。ヘラルド様の部屋はもっと奥で行くのも面倒くさいからとフーフィアが生活用品をこっちに運び入れてしまっている。ある程度のプライバシーを守るために衝立はあるし、ヘラルド様は私より早く起きて朝食は職場で食べるようにしているのはかなり申し訳ない。私が朝遅いからなのとヘラルド様の起床が早いことで時間が全く合わない。それにクッションバリケードをつど片付けられている。

「そのつもりだ。時間短縮もできて楽だからな。問題があるのか?」
「それが全くないんですよね。」
「そうか。こちらでの生活にも慣れてきた頃か??」
「…そう見えるなら目を医者に見てもらった方が良いかと思います。」

 食べ終わって入浴後もヘラルドは仕事をしているので私も少ない自分の時間を使って自分の仕事を行う。それにしても会話がない。お互い手を動かしているだけで仕事も別系統で話が全く噛み合わないから仕方ないのだけれど。演出はもう良いのだろうか。人前ではこれ以上しないとかそういう線引きにしておけば良いのか。

「そろそろ演出を増やさないと怪しまれるか…」
「人前で口づけは契約外なのでお断りしますよ。」
「鬱血痕もか?」
「…鎖骨までです。それより下は不可です。」

 ということで、別料金で鬱血痕をつけることになった。



感想
とっても恥ずかしかった!!!!!!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...