出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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74 森の〇〇さん

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朝起きたら私は何故かイザーク様の腰に手を回して抱きついていた。

「……???」
「おはようございます。」
「……//////え、あ、わ、私…」

後退りをしてベッドから落ちてしまった。

「痛っ…」
「顔を洗ってきてください…今日には目的地に着く予定ですよね。」
「…はぃ…」

全く動じない大人すぎる。身支度をして髪をまとめる。やってしまった。寝相がいいほうだと思っていたのに。スンと無表情が辛い。

「なぜ叩き起されなかったのです…」
「熟睡されてましたから。抱きつかれただけでそれ以上もなかったですよ。」

そっと顔を撫でられて羞恥心が込み上げる。顔が熱い。

「ヘラルド様にはもっと過激な事されてるのでは?」
「それは最初からそういうことをすると宣告されてますし、心構えができるというか何かあってもここから上だったり膝に乗せられて激甘セリフとかで…いや、それも恥ずかしいですけど。仕事と割り切ってますし。イザーク様眠れてなかったんじゃ…」
「寝ましたから。」
「本当に???私が御者しますから後ろで眠られた方が…」

ふにっ。指で唇を抑えられた。

「過剰な心配をする口を塞ぎますよ?口付けでもして。」
「…まさか、イザーク様がそんな……」
「私も男ですけど。」
「…そういう冗談は抗体がないので…//////もっと素敵な貴族のご令嬢がいらっしゃるのでは!?」
「ミカエラ、貴方も貴族の女性ですよ。」

顔が良い。危ないからと傍に引き寄せられた。/////近い。恥ずかしい。



なんだこれ…お昼に目的地に着いたが川にころがっている石が大きい。

「石が大きい…」
「そうですね、採掘許可などないのですか?」
「鉱山は厳しいですけど、ここまで離れると何も言われませんね。」
「山で採掘しないのですか?」
「うーん。その山を持ってる貴族の許可証、採掘料、入山料、取った石にの重さに対する税とお金がかかるんです。貴族から許可証を得るのにコネや伝手、賄賂も別途必要でしょうし…そこまでして取りに行きたくないんです。だから商業ギルドでさらに割り増しした石を買ったりクズ石ばかりになります。」

採取のためにブーツからサンダルに!!!履き替えて採取するぞ。そう思って靴を履き替え用としたらイザークが傍に来た。

「え?」
「動かないでください。」

顔を上げると熊が視線の先に居た。大きい気がする。

「直ぐに片付けますが、熊の肉は食べますか?」
「…食べれるのですか?」
「えぇ、ですが珍味ですね。」
「えっと…はい。」

剣を抜いてあっという間に倒してしまった。熊ってそんなに簡単に殺せるもの???

「血抜きなどをして捌くなら下流ですか…処理しておきますので採取を続けてください。」

頷いて本来の自分の目的で来た材料採取を行う。着替えの服とかも馬車に乗せているけれど塗料に使えそうな石、創作に使えそうなものを集めて馬車の荷台に積んである木の箱に詰めていく。石を採取するのに樽に肉が詰め込まれて氷の魔石で蓋をしている。

「クマの肉食べますか?」
「ヒッ」

熊の毛皮を持っている。ぼんっ。毛皮も荷物として置かれた。お腹がなってしまった…

「肉焼きますね。」

お腹すいているから熊肉美味しい…調味料とかも持ってきているし川の水で冷えた身体を温めるためにも焚き火が嬉しい。

「普段の採取でも熊とか出るでしょう。」
「私が行くところは熊より鹿とか猪で。」
「そうだったのですね。猪や鹿、兎の方が美味しいですけれど。氷の魔石で冷やしているので村で売れるでしょう。」
「…毛皮も売るのですか?」
「あれはミリーナ様のお土産にしようかと。」
「え…」

何故ご令嬢にクマの毛皮…????

「剥製とか需要あると思うんです。熊とはあまり遭遇出来ませんし。まだ肉ありますよ。」

お肉美味しい。ガブガブとお肉を食べて採取の続きをする。ミカエラは隣にいるイザークを見上げるが顔が良い。

「この後はどうするのですか?村に1度戻るかここで野宿をするか。一応準備してますが。」
「…あの、こっそり護衛の方…」
「付いてませんよ。私が付きっきりになるんですから。その代わり私も好き勝手に離れて素材採取もできませんけれど。」

……!?!?!?!?てっきりこっそり護衛さんがいると思っていたのですが!?!?!?え???

「私一人だと力量に不安があると?」
「もっと根本的なところです…いや、別に私が自意識過剰なのでしょうか。」
「…あぁ、そういう事ですか。ユーリ様の命令でいるのです。貴方を傷つけるマネはしませんよ。」
「勿論信じてますし、抱きついてしまった手前…何が最適解なのか…」
「では野宿しましょう。まだ荷馬車の中の方が広いですから。」

 そうなのだろうか。それでも今から村に戻って宿よりは川も近くて野宿の準備があるこちらの方が時間の節約にもなる。時間とかのことを考えた。

「野宿したいと思いますので宜しくお願いいたします。」

 幌を下ろしてもらい、熊肉と寝ることになる。毛布が多めに入っているので準備万端だというのがよくわかった。イザークは馬を別の場所に繋いで火をつけて御者の座る位置に腰掛けてみるからに距離を取られた。

「イザーク様…すみません。色々と。」
「仕事ですし、気になさらないでください。明日の夕方には出発しますよ。」
「はい…おやすみなさい。」

 ミカエラが眠りにつくとイザークは中で毛布に包まりねむっている姿を横目にしながらも獣よけの火を絶やさないように薪を放り投げる。
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