出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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109 外国語

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外国語の勉強は本当に難しい。まさかのアリアもカタコトなら行けるという。

「私の家って昔からロズウェル侯爵家にお仕えしてるので、親から仕事で必須って言われたのでカタコトですが出来ますよ。」
「コツとかない??」
「テストが出来ないと食事抜きとか結構強引な手段でしたね。」

頼りにならなかった。子供の時にしか通じないやり方だ。発音も酷ければ聞き取りもさっぱりだ。文字も形が似ているくらいで全然違う。共通点を探すことから始めないといけないし、勉強が嫌いになりそうだ。

「ミカエラ様、急に語学なんてどうしたのですか?」
「使節団が来てその歓待の宴強制参加の通知が来たから…」
「あー…もういっその事ヘラルド様にくっつくとかして喋らなくて済む状況を作って逃げたらどうですか?」
「ヘラルド様が接遇側だから無理…」

ミカエラは参考書を投げ飛ばしたくなるが、高い本なのでそれも出来ず休憩のお菓子を食べる。イザークが護衛と教師を兼ねているがコツは何も教えてくれない。まずい。サボりたい。アリアが片付けをして勉強の続きになるがどうしよう。こういう場所だとユーリ様もいるだろうけれど、イザーク様は護衛でそちらに着くだろうし、他に外国語に流暢で私が何もできないのを知っている人…

「レオンハルト様にパートナーをお願いするしかないか。空いているのかな。」

 呟くと目の前でカップが割れた。本を守るために全てを雑ではあるけれど避ける。顔を上げるとイザークが信じられないという顔をしていた。

「ユーリ様の護衛とか通訳とか色々お忙しいですよね??」
「せめて一言聞きませんか???」
「空気を読みました。」
「読めてませんよ。」

 どこがだろうか。相手が忙しいだろうと思っていたのだけれども???ミカエラがそう思って首を傾げると顔の距離が近づいた。不満げなのだけれども。

「イザーク様はお仕事ですよね?」
「…そうですが。」
「ですよね?レオンハルト様ならパートナーも決まっていないと思うので相談してみます。」
「何故そうなるのです。」
「お二人共私より身分が上ですし、ユーリ様の仕事を優先するのは当然では?」

とりあえず相手が忙しい人だという気配りをしたのに。アリアがタオルを持ってきてテーブルを拭いてくれた。

「この後商業ギルドに納品に向かいますが買い出しありますか?」
「大丈夫だよ。」
「ミカエラ様ダメ元でお願いするものですよ。」

こっそりと耳打ちをされた。アリアが家から出て2人きりになってしまった。机にお茶を零されてしまったので自分の部屋で勉強を見てもらうが…これはなんか面倒くさいことになっていそうだ。勉強しても分からん。文字も違うから読み書き発音だなんて追いつかない。無理。

「レオンハルト様も騎士団の仕事か何かユーリ様に言われてると思いますけどね。」
「イザーク様みたいに護衛って決まってるわけじゃないので。それに虫除けパートナー大歓迎してくれそうかなって…ダメですか?私より身分が上の2人の都合を優先すべきですよね?レオンハルト様も騎士団の仕事なら私のお願いを多少融通してくれそうだし。」
「ミカエラ」

顔をがしっ。と、掴まれて目を合わされる。私の主張、筋通してるけれど!?怒ってる感じじゃない。自信ないけど。怒られるようなことしてないし。

「見苦しい男の嫉妬で迷惑を掛けますよ。」
「見苦しい男の嫉妬って言い切った。その前にご自分の仕事を棚に上げていいのですか?」
「そこを調整するのは私とユーリ様の都合です。爵位を持っているのは貴方なのですが??私は招待状を持っていないのに誘うのはおかしいと思いませんか?」

みしっと頬を押され無駄口叩くな。と、口を封じられている気がする。酷くない???

「ミカエラ、貴方が赤面してシーツにくるまりたくなる様な甘い台詞でも吐けばいいのですか?」
「…足りてます!!仕事放棄してませんか。」
「あなたが気にすることではありませんよ。で、どうするのです。」
「…イザーク様がそうしたいならじゃダメなのですか?」
「物事には体裁が必要な時もあるのです。」

どうすべきなのかは決まっている。勉強道具を片付けて長椅子にゴロンと横になりクッションに顔を埋める。

「ミカエラ。」
「////////ゾワゾワするから耳元で良い声で言わないでください。」

真っ赤になり膨れる。近くにある顔を手で押しどける。言葉が見つからない。

「ミカエラは上と下どちらが好きですか?」

何を唐突に。

「質問の意図が分かりません。」
「好き嫌いの話ですよ。」
「答えません。何か含みがあるというか、ろくな事がない気がしたので。」

彼は少し考えた。考えた結果ソファーではやりにくいと思ったのかミカエラをベッドに転がして靴を脱がせる。彼女はこういうのを嫌がらないというか警戒心がない。

「もう少し警戒心持ってください。」
「私が嫌がることするのですか?」
「…そうですか。で、言う言葉くらいそろそろ思いついたのでは??」

ぐぬぬ。

「…パートナーが居ないのでこの強制参加の宴のパートナーをお願いいたします。」

足の爪先に口付けをされた。ミカエラはぶわっと一気に赤くなりクッションを投げつける。

「ミカエラ。」
「…で、いいです。」
「???」
「ミカでいいです。特別扱いですし…/////」

一応親しい人には愛称の人が多いし。ミカエラはそう思いながら足に口付けとかしなくていいと引っ込める。愛称で呼ばれるようになったら少しは変わるかもしれない。
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