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第一章

三日月草と不運なゴブリン

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 街道を歩き昨日イリスに飛ばされた森へとやってきた。昨日来たばかりだが、少し懐かしく感じるな。
 あの時はあまり植物とかを注意深く見ていなかったが、今回はじっくり観察させてもらおう。

「さて、確か三日月草は陽の当たる木の根本にあるんだったな。」

 その条件ならあまり奥まで行かなくてよさそうだ。ここら辺でも見つかるのではないだろうか?

 辺りを散策し、木の根元を注意して見渡していると……。

「おっ、これじゃないか?」

 目先にある木の根元に一輪の花が生えている。特徴的な三日月の形の花、間違いないな。念のため根っこから採取していこう。これも野草を料理で使う時には基本だ。鮮度を少しでも良く保つため根元から引っこ抜くのである。

「まだ周りに結構生えてるな。少し余分に採取していこう。」

 少し採取に精を出すことにする。依頼の分とは別に自分用に少し取っておきたい。

 そして俺はあたりに生えている三日月草を次々に採取し、バッグに放り込んでいった。

「うん、このぐらいにしておこう。」

 ある程度取ったところでマジックバッグを鑑定する。

 すると内容物の欄に三日月草が1.2キロと書かれていた。

 むやみやたらに取りすぎては、生態系を破壊してしまう。この辺が引き時だ。

 そして引き上げようとしていたその時だった。

「グギャギャッ!!」

 茂みから緑色の肌の小人が目の前に飛び出してきた。こいつは魔物か?鑑定してみよう。

「鑑定。」

種族   ゴブリン
性別     オス

level     2/100
HP         60
MP         15
ATK        40
DEF        20
MDEF    10
AGI        10
INT         2
LUK         5

スキル
無し

 ふむ、この魔物がドーナの言っていたゴブリンって魔物らしい。まぁ街の近くに出る魔物だけあって流石に弱いな。
 だけど戦いは避けれなさそうだし、せっかくならいろいろスキルを試してみようか。

「サンダーブレス。」

 そう俺は片手を前に出してそう唱えた。このスキルはカオスドラゴンに初見で使われ、死を垣間見たあれである。
 そして放たれたブレスは光の速度でゴブリンを捉え消し去った。

 いや、正確にはゴブリンの後ろに生えていた木々もまとめて全て跡形もなく消滅した。

「やべ、流石にこれはやりすぎだな。人に見られる前に早いとこ退散したほうがよさそうだ。」

 足早に俺はその場を後にして街へと戻った。関所に着くと、なにやらあわただしく騎士の人達が動いている。

「何かあったのか?」

 あわただしく動いている騎士の一人に声をかけてみた。

「あぁ、どうやらエミル樹林でとんでもない魔力反応があってな。あんたそういえば薬草採取に行ってたよな?大丈夫だったか?」

「特に何も……。」

「そうか、まぁしばらくあの森には入らないように。危険だからな。」

 騎士にそう警告された後、俺はそそくさと街へと入りギルドへと向かった。
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