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第ニ章

グレイスの葛藤

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 イリスと二人でみんなが待つテーブルへと料理を運ぶ。すると、お昼ご飯を心待ちにしているみんなの中に約一名……悶々と葛藤している者がいた。

「食べたら太っちゃうっす…でも美味しいの食べたいっす…ぐぬぬぬ。」

 目の前に置かれたナポリタンを見つめ、必死に自分の中の欲望と戦うグレイス。そんなグレイスの様子を見たシアは…。

「グレイスお腹すいてないの?じゃあシアが食べてあげる~♪」

 悶々としているグレイスの分の料理を、シアが自分の方に引き寄せようとすると。

「だ、ダメっす!!あげないっす、やっぱり食べるっす!!」

 食欲には勝てなかったらしく、グレイスは慌てて自分の分の料理を守った。

「うぅ、食欲には勝てなかったっす。」

 素直でよろしいことだ。我慢は体にも精神的にもよくないからな。

「さ、パスタが伸びちゃうから早く食べよう。」

 グレイスの決心がついたところでみんなで手を合わせ…。

「「「いただきます!!」」」

 いつものあいさつを終えてナポリタンを食べ始めた。

 食べているうちにグレイスもすっかり、ダイエットなんてことはお頭から抜けてしまったらしく、いつものようにおかわりをして食事を楽しんでいる様子だった。

 そして昼食を食べ終えた後で、今日の予定について話し合うことにした。

「さて、今日のこれからの予定だが……もう一回ダンジョンに潜ろうと思う。」

「またお金が必要になったのかい?」

「いや、そういうことじゃない。今回ダンジョンに行くのはドーナとランの実戦形式の稽古のためだ。」

 そう告げると、ドーナとランの二人はこちらの意図を察したらしい。

「なるほど、あのバフォメットとまた戦うってわけね。」

「そういうことだ。アイツは殺しには全く興味はないみたいだし、強さもかなりのものだ。ドーナたちの稽古相手にはもってこいなんだよ。」

 戦闘スタイルもどちらかといえば技巧派よりかは、脳筋のゴリ押しタイプだから教えている武術と相性もいい。アイツ以上に練習になる相手は今のところいないだろう。
 獣人族の国に行く前にある程度ドーナたちには実践でも技を使えるようになってほしいからな。

 そして二人の了承も得られたところで、俺たちはギルドへと向かって歩みを進めるのだった。
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