167 / 404
第ニ章
グレイスの葛藤
しおりを挟むイリスと二人でみんなが待つテーブルへと料理を運ぶ。すると、お昼ご飯を心待ちにしているみんなの中に約一名……悶々と葛藤している者がいた。
「食べたら太っちゃうっす…でも美味しいの食べたいっす…ぐぬぬぬ。」
目の前に置かれたナポリタンを見つめ、必死に自分の中の欲望と戦うグレイス。そんなグレイスの様子を見たシアは…。
「グレイスお腹すいてないの?じゃあシアが食べてあげる~♪」
悶々としているグレイスの分の料理を、シアが自分の方に引き寄せようとすると。
「だ、ダメっす!!あげないっす、やっぱり食べるっす!!」
食欲には勝てなかったらしく、グレイスは慌てて自分の分の料理を守った。
「うぅ、食欲には勝てなかったっす。」
素直でよろしいことだ。我慢は体にも精神的にもよくないからな。
「さ、パスタが伸びちゃうから早く食べよう。」
グレイスの決心がついたところでみんなで手を合わせ…。
「「「いただきます!!」」」
いつものあいさつを終えてナポリタンを食べ始めた。
食べているうちにグレイスもすっかり、ダイエットなんてことはお頭から抜けてしまったらしく、いつものようにおかわりをして食事を楽しんでいる様子だった。
そして昼食を食べ終えた後で、今日の予定について話し合うことにした。
「さて、今日のこれからの予定だが……もう一回ダンジョンに潜ろうと思う。」
「またお金が必要になったのかい?」
「いや、そういうことじゃない。今回ダンジョンに行くのはドーナとランの実戦形式の稽古のためだ。」
そう告げると、ドーナとランの二人はこちらの意図を察したらしい。
「なるほど、あのバフォメットとまた戦うってわけね。」
「そういうことだ。アイツは殺しには全く興味はないみたいだし、強さもかなりのものだ。ドーナたちの稽古相手にはもってこいなんだよ。」
戦闘スタイルもどちらかといえば技巧派よりかは、脳筋のゴリ押しタイプだから教えている武術と相性もいい。アイツ以上に練習になる相手は今のところいないだろう。
獣人族の国に行く前にある程度ドーナたちには実践でも技を使えるようになってほしいからな。
そして二人の了承も得られたところで、俺たちはギルドへと向かって歩みを進めるのだった。
応援ありがとうございます!
70
お気に入りに追加
568
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる