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第二章 呪われた運命
第109話 作戦失敗
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ようやく捕らえたと思ったアルにあっさりと逃げられてしまい東雲は茫然としていた。
「妾の全力の結界を……いとも容易く破っただと?」
まさか破られるとは思っていなかったのだろう、東雲はアルがいた場所を坊さんと眺めながらポツリと呟いた。
「…………あれは人の力……なのか?」
東雲が上を見上げると、先程アルによって放たれた矢が夜空をも切り裂いている。
「もしあれをまともに喰らっていたら……妾は…………。」
最悪の光景が一瞬頭の中をよぎり、ゴクリと東雲は生唾を飲み込んだ。
そんな彼女に、真琴とミリアの二人が窓から声をかけた。
「東雲ちゃん大丈夫~?」
「怪我はないどすかぁ?」
「……うむ。」
心配して声をかけてきた二人に東雲は一拍置いてから一つ頷く。
「ならいいんだけど……それにしてもあの子ヤバかったね~。」
「東雲はんの作りはった結界を壊すなんて、あてでも無理やけど……まさか一撃で……なんて夢にも思わんかったどすなぁ。」
「くくくくく……こんな屈辱は名付きの天使と戦ったとき以来だ。」
ふと、東雲は一度目の生を受けたときの名付きの天使と戦った時のことを思い出した。自分の培ってきた力が通用しない天使の中でも特に異質な存在。
東雲は、アルと名付きの天使の姿を重ねていた。
「もしかして~あの子天使だったりするのかな~。」
疑問に思ったのだろう、ミリアがポツリと呟いた。
「いや、あれは天使とはまた別の力を感じた。それに天使ならば迷わず妾のことを撃ち抜くだろう。……だが、妾達とはまた違う存在であることは間違いないな。」
「それって……つまりどういうこと?」
東雲の言葉の意味がわからずにミリアは首をかしげた。
「天使ではないが、この世界の住人でもないかもしれない……ということだ。」
「えぇっ!?」
「もしそうやとしたら……この先ややこしいことになりそうやねぇ。」
「うむ。天使だけではなく、そっちの方にも気を向けねばならなくなるからな。まったく…………厄介な。」
ポリポリと面倒くさそうに東雲は頭を掻く。そして突然狐の姿に戻ると、真琴の胸へと飛び込んだ。
「ふぅ……魔力切れだ。」
「だんないどす?東雲はん?」
すっぽりと真琴の胸の谷間に埋まった東雲は、少し疲れたような表情を浮かべながら答える。
「少し疲れた……。妾も歳だな……。」
弱気な東雲の言葉を聞いて、真琴がクスクスと笑いながら言う。
「いややわぁ~東雲はん。魔力の燃費があかんのは、その体やからどっしゃろ?歳のせいにされたら、あてはどうなるんどす~?」
「くくくくく、それもそうだな。」
そんな二人のやり取りを聞いていて、ある疑問を抱いたミリアはふと東雲達に問いかけた。
「まこっちゃん、今さ~東雲ちゃんの体がどうって言ってたけど……それどういう意味?」
「あ~それは…………。」
真琴が説明しようとした時、東雲がそれを遮って声を上げた。
「それは、妾が直接話した方がわかるだろう。……妾はな一度目の天使の襲来で名付きの天使に殺されているのだ。」
「え?でも今は生きてる……よね?」
「あぁ、これには事情があってな。この世界を創った女神とやらに、ルアの目付役として冥府から呼び戻されたのだ。」
「ほぇ~…………。つまり生き返った……ってことだよね?」
「そういうことだな。だが、妾の肉体は疾うの昔に朽ち果てていた。故にこの小さな体に生を受けた……ということだ。」
「なるほどね。やっと理解できたよ。」
東雲の説明でようやく彼女のことが理解できたのか、ミリアは大きく頷いた。
「いや~、前から変だな~っては思ってたんだよね。絶対日常生活を送るなら人の姿の方が楽だろうしさ。」
「それは間違いないな。だが、この姿も案外悪くはない。こうして誰かの体に乗れば、運んでもらえるからな。特にルアの頭の上が一番居心地が良いのだが……。」
「あら、あての胸の中もあったこくて、居心地はえぇと思うんどすけどなぁ~。」
「貴様の胸はでかすぎるのだ。挟まれる圧が強すぎる。」
ペチペチと強めに東雲は真琴の胸を上から叩くと、大きく弾力のある真琴の胸がプルプルと震えた。
「んふふふ、でもこの胸も♂を誘惑するのには役立つんどすえ?特にルア君なんか、胸おっつけたら……顔真っ赤にしてかわいいんどす~♪」
「へ~っ!!面白そう、今度私もやってみよ~♪」
東雲を挟んで巨乳の二人が楽しそうに会話を弾ませる。そんな二人を見て東雲はぎりりと歯軋りをしながら、ポツリとこぼした。
「…………やはりこやつらは敵だな。妾の味方はクロロのみ……か。」
「妾の全力の結界を……いとも容易く破っただと?」
まさか破られるとは思っていなかったのだろう、東雲はアルがいた場所を坊さんと眺めながらポツリと呟いた。
「…………あれは人の力……なのか?」
東雲が上を見上げると、先程アルによって放たれた矢が夜空をも切り裂いている。
「もしあれをまともに喰らっていたら……妾は…………。」
最悪の光景が一瞬頭の中をよぎり、ゴクリと東雲は生唾を飲み込んだ。
そんな彼女に、真琴とミリアの二人が窓から声をかけた。
「東雲ちゃん大丈夫~?」
「怪我はないどすかぁ?」
「……うむ。」
心配して声をかけてきた二人に東雲は一拍置いてから一つ頷く。
「ならいいんだけど……それにしてもあの子ヤバかったね~。」
「東雲はんの作りはった結界を壊すなんて、あてでも無理やけど……まさか一撃で……なんて夢にも思わんかったどすなぁ。」
「くくくくく……こんな屈辱は名付きの天使と戦ったとき以来だ。」
ふと、東雲は一度目の生を受けたときの名付きの天使と戦った時のことを思い出した。自分の培ってきた力が通用しない天使の中でも特に異質な存在。
東雲は、アルと名付きの天使の姿を重ねていた。
「もしかして~あの子天使だったりするのかな~。」
疑問に思ったのだろう、ミリアがポツリと呟いた。
「いや、あれは天使とはまた別の力を感じた。それに天使ならば迷わず妾のことを撃ち抜くだろう。……だが、妾達とはまた違う存在であることは間違いないな。」
「それって……つまりどういうこと?」
東雲の言葉の意味がわからずにミリアは首をかしげた。
「天使ではないが、この世界の住人でもないかもしれない……ということだ。」
「えぇっ!?」
「もしそうやとしたら……この先ややこしいことになりそうやねぇ。」
「うむ。天使だけではなく、そっちの方にも気を向けねばならなくなるからな。まったく…………厄介な。」
ポリポリと面倒くさそうに東雲は頭を掻く。そして突然狐の姿に戻ると、真琴の胸へと飛び込んだ。
「ふぅ……魔力切れだ。」
「だんないどす?東雲はん?」
すっぽりと真琴の胸の谷間に埋まった東雲は、少し疲れたような表情を浮かべながら答える。
「少し疲れた……。妾も歳だな……。」
弱気な東雲の言葉を聞いて、真琴がクスクスと笑いながら言う。
「いややわぁ~東雲はん。魔力の燃費があかんのは、その体やからどっしゃろ?歳のせいにされたら、あてはどうなるんどす~?」
「くくくくく、それもそうだな。」
そんな二人のやり取りを聞いていて、ある疑問を抱いたミリアはふと東雲達に問いかけた。
「まこっちゃん、今さ~東雲ちゃんの体がどうって言ってたけど……それどういう意味?」
「あ~それは…………。」
真琴が説明しようとした時、東雲がそれを遮って声を上げた。
「それは、妾が直接話した方がわかるだろう。……妾はな一度目の天使の襲来で名付きの天使に殺されているのだ。」
「え?でも今は生きてる……よね?」
「あぁ、これには事情があってな。この世界を創った女神とやらに、ルアの目付役として冥府から呼び戻されたのだ。」
「ほぇ~…………。つまり生き返った……ってことだよね?」
「そういうことだな。だが、妾の肉体は疾うの昔に朽ち果てていた。故にこの小さな体に生を受けた……ということだ。」
「なるほどね。やっと理解できたよ。」
東雲の説明でようやく彼女のことが理解できたのか、ミリアは大きく頷いた。
「いや~、前から変だな~っては思ってたんだよね。絶対日常生活を送るなら人の姿の方が楽だろうしさ。」
「それは間違いないな。だが、この姿も案外悪くはない。こうして誰かの体に乗れば、運んでもらえるからな。特にルアの頭の上が一番居心地が良いのだが……。」
「あら、あての胸の中もあったこくて、居心地はえぇと思うんどすけどなぁ~。」
「貴様の胸はでかすぎるのだ。挟まれる圧が強すぎる。」
ペチペチと強めに東雲は真琴の胸を上から叩くと、大きく弾力のある真琴の胸がプルプルと震えた。
「んふふふ、でもこの胸も♂を誘惑するのには役立つんどすえ?特にルア君なんか、胸おっつけたら……顔真っ赤にしてかわいいんどす~♪」
「へ~っ!!面白そう、今度私もやってみよ~♪」
東雲を挟んで巨乳の二人が楽しそうに会話を弾ませる。そんな二人を見て東雲はぎりりと歯軋りをしながら、ポツリとこぼした。
「…………やはりこやつらは敵だな。妾の味方はクロロのみ……か。」
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