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第二章 呪われた運命
第126話 恋心とは
しおりを挟む「うぅ……も、もうお嫁にいけない。」
散々東雲達に弄ばれたルアは、一人悲しく涙を流していた。そんな彼の気持ちを無視して東雲達が口々に言った。
「なぁに、他のところに嫁に行く必要はないぞ?お前は妾がもらってやるからなぁ……くくくくく。」
「あてが貰ってもええよ?」
「もちろん私でもいいからね~。」
「そういう問題じゃないです~……。」
彼の気持ちなぞついぞ知らない東雲たち。気持ちを分かってくれない彼女たちにルアが嘆いていると、ふとアルがとある疑問を抱いたようだ。
「そういえばなんだけど……君って好きな娘っていないの?」
「ふえっ!?す、好きな人……ですか?」
唐突なアルの質問にルアは声を裏返らせた。
「あ、それ私も気になるなぁ~。」
「ルア君が好いとる人……あても気になるわぁ。」
「うむ、妾も気になる。それでは問答の時間と洒落込もうか?くくくくく……。」
ジリジリと東雲達はルアへと近づいていく。
「さぁ吐け、お前が添い遂げたいと思う者は誰だ?」
「え、えっと…………その…………。」
ルアは言葉につまる。実はそれにはちゃんとした理由があった。
「ぼ、ボクまだそういう人はいない……です。」
「なんだと!?」
「あら、えらい不思議な話やねぇ。こんだけ女の子に囲まれてるんに、恋しとらんの?」
「は、はい……。」
ルアの言葉に東雲達はお互いに顔を見合わせると、なにやらこそこそと話し始める。
「……おい、これはどういうことだ?ルアが嘘をついている様子は無いぞ!?」
「ん~……ルア君があてらのことを恋愛対象として見てくれとらんってことどすなぁ。」
「どうしてだろうね……結構アプローチかけてたつもりなんだけど。」
不思議がる三人。そんな三人にアルがその答えを口にする。
「確かにあの子は常にたくさんの女の子に囲まれて生活してるけど……なにぶん年齢が問題なんじゃないかしら?」
「わ、妾達が年増だと言うのか!?確かに前世を含めれば齢は…………。」
「あ、いや……そういうことじゃなくて。ほら、あの子と同年代の女の子っていないでしょ?だからその……恋愛感情?ってのが芽吹いてないんじゃないの?」
「…………つまり、ルアと同年代の娘を見繕えば……やつに恋心が生まれると言うことか?」
「確信はないけど……そうなんじゃない?」
アルの言葉に東雲達は深く考え込む。
「真琴よ、この変態女神の考え……どう思う?」
「うーん、そうどすなぁ……。言うとることは的を射てるとは思うけど……。」
「ミリアはどう思う?」
「そうだねぇ~、言った通り私達は大人でルア君はまだ子供だし……私達の大人の恋愛ってのがわかんないんじゃないの?」
「うむぅ……。子供の恋心とはわからんものだ。まず第一に恋に大人も子供もあるものなのか?……くっ、わからん。」
「あははっ、これは東雲ちゃん……研究が必要かもね~。」
すっかりルアの事を置き去りにして、東雲達は話し合っている。しかし、一人置き去りにされたルアも彼女達と同じ事を考えていた。
(好きな人……かぁ。日本でもそういうの特に気にしたことなかったなぁ。)
ルアは前世からというものの、恋愛というものを経験したことがない。誰かを好きだと思ったこともない。
というのも、日本にいたときルアのそばにはいつも悟の姿があり、同世代の女の子達の心は皆彼に引き寄せられていた。それをルアはわかっていたから恋心を抱くこともなかったのだ。
(お母さんもロレットさんもクロロさんにエナさんも、それに東雲さん達も皆好きだし……。皆はボクのことどう思ってるのかな……。)
ふとルアは疑問に思う。自分は皆から好かれているのか……はたまたただの生殖対象としてしか見られていないのか。
(……後で皆に聞いてみようかな。……う~ん、でも面と向かって好きって聞くのって恥ずかしいよね。なら、一応親子だし……お母さんから試しに聞いてみようかな。)
面と向かって、自分のことが好きか?と聞くのは流石にルアも恥ずかしいようで、この世界で親子関係にある由良ならば、すんなり答えてくれると思ったようだ。
ルアがそんなことを思っている最中、東雲達の方では色々と作戦会議が行われていた。
「ということはまず……ルアと同年代の娘をどこからか探してこなければならないようだな。」
「でも、東雲はん誰かあてはあるん?」
「そんなもの無いに決まっているだろう。これから調べるのだ。」
「私もロザリィに連絡とって調べてくれるように頼んでみるよ。」
「うむ、頼んだぞ。」
そんな会話をする三人におずおずとアルが手を上げて発言する。
「あの~、それで修行はどうするの?」
「そんなもの後だ!!今はそれよりも重大なことが見つかった。」
「え、えぇ……?私の汚名はどうなるのよ……。」
東雲にスパッと切り捨てられ、ガックリと肩を落とすアルだった。
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