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第三章 終焉を呼ぶ七大天使
第231話 平和な日々には休息を
しおりを挟むラグエルの襲撃を退けて、またルア達の生活に平穏が訪れた。
次なる天使たちの襲撃に備えて各々修行に励んでいるルア達であったが、そんな最中ある人物がとある提案をみんなにした。
「皆の者、毎日毎日修行に励むのもよいのだが、たまには体を休めるのも大事なことだと思うのだ。」
みんなが集まって朝食を食べていた時にそう口にしたのは東雲だった。
「ん~、まぁ確かにそれはありだね~。」
「あてもえぇ考えやと思います~。」
東雲の提案にミリアと真琴の二人は大いに賛成らしい。
「わしも東雲様に意見には賛成ですじゃ。」
「うむ、たまには休息をとるのも修行のうちだ。体を壊してしまっては元も子もないからな。」
「前はみんなでビーチに行きましたけどぉ~。今度はどこに行くんですかぁ?」
「あっ!!それなら私っ温泉とか行きた~い!!」
東雲の提案にクロロは温泉に行きたいと言った。すると、彼女の言葉に次々と賛同者が現れる。
「温泉どすかぁ~えぇどすなぁ~。」
「いいねぇ~温泉なら体を休めるのにぴったりだよ。」
「うむ、古くより温泉は心身の疲れを癒し、流すと言われているからな。休息にはまさに最適だろう。」
「じゃあじゃあ、今回は温泉で決定でいいですか!?」
賛同者が多く出た事でクロロの表情がぱぁっと明るくなる。
「ボクはいいと思います。」
「ルアが行くというのならわしも行こう。」
「我も異議なしだ。」
「私も賛成ですぅ~。」
みんなの意見が一致し、今回の休息の旅は温泉旅行に決定した。東雲がどこの温泉に行くかなどなどプランを立てている最中、ルアの隣でもぐもぐとご飯を食べていたドライアドのリリィがツンツンとルアの肩をつつく。
「ルア?」
「ん?リリィ?どうしたの?」
「温泉って……なに?」
「えっ!?リリィ温泉知らないの?」
「うん。だってルアの記憶にはそんなのなかった。」
「えっとね、温泉っていうのは……お風呂みたいなものなんだけど。ちょっと違うんだ。」
「お風呂なの?」
「うん、お風呂なんだけど……なんて言うのかな。その~お湯にいろんな効果があるお風呂なんだ。うまく説明できなくてごめんね。」
「うぅん大丈夫。なんとなくわかった。」
うまく説明できなかったルアをリリィは優しくなだめるようにそう言った。
二人がそんなやり取りをしている間にも、東雲たちは行き先を絞り込み、とある秘境にあるという幻の温泉旅館へと向かうということで意見が一致した。
「では早速参るとしよう。皆の者集まるのだ。」
東雲の声に従ってみんなは東雲に近くへと集まった。そして彼女が指で印を結ぶとみんなの足元に大きな魔法陣が現れ光を発し始めた。
「さぁ行くぞ。」
そう東雲がぽつりとつぶやいた次の瞬間視界を覆うほどのまばゆい光が魔法陣から漏れ、ルア達の体を包み込む。
そして次にルアが目を開けた時……彼らはさっきまで朝食を食べていた場所とは別の場所に移動していた。彼らが移動してきた場所はまさに幻想的という表現がぴったりな場所だった。
近くでは滝が流れていて、滝つぼへと落ちて舞い上がった水しぶきがキラキラと空中で煌めいている。そんな景色に見とれたルアはぽつりとつぶやく。
「ふぁぁ……すごいきれいな場所。」
「そうだろうルア?ここは古来より一切人の手が加わっていない土地なのだ。最初に天使どもが襲ってきたときにもここだけは無傷だった。」
景色に見とれていたルアに東雲はこの場所の説明をした。
「さぁ、景色に見とれるのもよいが我らの目的はこの先にある旅館だ。ついて参れ。」
そして先頭に立って歩きだした東雲にルア達は続く、東雲曰く一切人の手が加わっていないという森の中を進んでいくと、急に目の前に川の向こうへと架けられた朱色の橋が現れた。
その橋の向こう側には深い霧がかかっていて、一寸先も見通せない。
「旅館はこの先だ。妾の後ろにしっかりとついてくるのだぞ?霧に惑わされんように……な。」
意味深なことを言いながらクスリと東雲は笑うと、霧が立ち込めている朱色の橋を渡り始めるのだった。
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