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群青の時~ロックな人々すべてに捧ぐ!!
#8 バンド内対立と、野音における飛翔
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朝美の亡骸は、とかく厄介ごとを煙たがる救命医によって、特に司法解剖や行政解剖など精密な剖検に付されることもなく、すんなり近親者のもとに返された。
ひと通りの葬儀が営まれたが、秀丸だけは頑として通夜にも本葬にも出席することを拒まれた。
しかしながら、彼女の両親から疎まれるのを承知で、秀丸はきっちりした喪服を身につけて、青山墓地に隣接している葬儀場に赴いた。たとえ、葬儀そのものには参列できなくても、せめて朝美の遺体が焼却炉で灰になるまで、そのそばで一緒にすごしたいと思ったからだ。
朝美の本葬の日はあいにくの天気で、朝からずっと小雨が降りつづいていた。
遺族の気持ちを配慮して、秀丸はそぼ降る雨のなか、傘もささずに人気のない斎場のロータリーにある巨木の陰に隠れて、遠くから彼女の葬儀が行われている建物を拝礼した。
前もって葬儀場のフロント係に確認しておいたので、だいたいの式次第は見当がつく。あと数分もすれば、焼き場に運ばれた朝美の体は、この世の小さな構成単位である炭素にまで還元されてしまうことだろう。
数分後、秀丸は故人との最後の別れをした遺族の目に触れないように、早ばやとその場から消えた。
道々、彼はこれからずぶ濡れになった喪服を着替えるために、ひとまず広尾のマンションに帰ろうか、それともこのまま市ヶ谷の練習スタジオに直行しようかどうしようかと迷っていた。
あの陰惨な記憶が残る広尾の現場には、二度と戻りたくない。さりとて今日は、市ヶ谷でバンドの重要な練習に行かなければならない。それは明日に控えている野音の前座ライブの最終チェックをするためだが、それ以外にも他のメンバーたちは、年末にリリースする予定のファーストアルバムの「録り」に懸命になっているだろうし、連日のスタジオワークで、すでにあっぷあっぷの状態だろう。
各パートの録音が終わってから、最後に歌入れをする秀丸はまだそれほど追いつめられた状況にはない。けれども、明日のライブの通し練習だけには、どうしても参加しなければならないのだ。
いずれにしろ、現在地から広尾に行くのも市ヶ谷に行くのも、時間的にさほど違いはなかった。秀丸は意を決して、ずぶ濡れの喪服姿のまま、市ヶ谷のスタジオに向かうことにした。
レコーディングスタジオの厚ぼったい防音扉を開くと、その内部に圧迫されていた騒音がいっせいに外にあふれ出てくる。床を埋めつくしたシールドやエフェクターボードを避けながら、秀丸は黙ってマイクスタンドの前まで歩いていく。
すると、もう殺気立っている高梨が、待ってましたとばかりに不満たらしく声をかけてきた。
「遅いぞ、秀丸____それになんなんだよ、そのずぶ濡れのカラスみたいなかっこうは……おまえ、まさかモッズにでも転向するつもりなのか?」
朝美の葬儀の日どりを知らない高梨遊行は、恋人の不慮の死から秀丸の動静を常にはらはらする思いで見守っていたせいか、その反動からつい胸のうちにしまっていた憂苦が、心ない刺々しい言葉となって噴出したようだ。そんな彼の無神経な言動に、片山翼がギターを肩にかけたまま、険しい非難の眼ざしを投げる。
秀丸が何げなくメンバーひとり一人を見渡したところ、いずれも疲労困憊の体で、まるっきり弾みのない虚ろな表情をしている。それにスタジオ内の不穏な空気から、おそらくほんのちょっと前までアルバムの構成や音づくりをめぐって、かなり白熱した議論を戦わせていただろうことが、如実に伝わってくる。
「俺ら、ダラスの音楽性は根が暗いから、しょせん今日的じゃないんだよね」
そう言ってバンドリーダーの高梨が、またもや議論を蒸し返した。
「なにせ、いまのご時勢は社会批判や反戦平和より、バカ丸出しの可愛い子ちゃんが、お手々つないで愛を歌えば、それだけでたちまちヒットソングになる時代だからね」
「だからって、単に明るいだけの前向きソングや愛の歌ばっかりじゃ、ロックの魂自体がやせ衰えちゃいます」
と翼は躍起になって、高梨に反論する。
「たとえアルバムが売れなくたって、おいしいものが食べられなくたって、ダラスはダラスの信じる道を貫けば、それでいいじゃないですか?」
「翼ちゃん、実にご立派だよ。ご立派だが、まるでたちの悪い宗教の話かなんかを聞かされてるような気分だな。そんなのは、ただの空理空論、寝ごとたわごとの世界でしょう。翼ちゃんは二、三日食えなくても、いいダイエットになるぐらいにしか考えてないだろうけど、このダラスって船の舵とりを任されている俺としては、ことはそう簡単じゃないんだよ。もしも、メンバー全員が路頭に迷うようなことがあれば、それは少なからずこの俺の責任だからね」
通常は惚れた女を甘やかしてばかりいる彼だが、今日はいつになく高圧的な態度を崩さなかった。そこにジャンボが急に口をはさんで、
「たしかに、リーダーさんのおっしゃる通り____俺も財布の中身がツェー万をきると、とたんに不安になる。どんなに高尚なことを言ってもさ、やっぱ腹が減っては戦ができない。しかしだよ、その反面、人間は名誉や誇りのために血を流し、また時に命を捨てることだってある……ところで、スタジオミュージシャンの経験豊富な河合くんは、どう思うね?」
と高梨と翼の意見対立を均そうとして、興味なさげにぼんやりしているマイク河合に話をふった。
「僕には、みなさんの参考になるような確固たる意見はないです。ただ、ムダな論争をしてるよりも、運を天に任せて自分たちがいいと思う音楽をやりつづけましょうよ。よく言うじゃないですか、人事を尽くして店長になれってね」
「それを言うなら、人事を尽くして天命を待てだろう。おまけに、それじゃ運を天に任せていることにもなってない」
「知ってますよ、そんなことくらい……ユーモアです、ただのユーモア。まったく、遊行さんはユーモアのセンスが、かけらもないんだから」
その時、プロデューサーのMがプクちゃんにかわる新マネージャーの松田をともなって姿を現した。複数の売れっ子バンドをかけ持ちしている多忙な彼が、わざわざいち新人バンドの録音スタジオに臨場するのは、めったにあることではない。
Mプロデューサーの突然の来訪で、バンド内の対立もいったんは収束するかと思われたが、高梨遊行はめずらしく彼に媚びるような真似はせず、そのまま不躾に議論をつづけた。
「あれ、どこまで話したっけ? とにかく、俺にはダラスがこのままでいいとは、とうてい思えないんだ」
「じゃ遊行さんは、いったんどうすればいいと思ってるんですか?____具体的に教えて下さいよ」
と片山翼が顔を赤らめて、きつく問いつめた。
「そうね、たとえばフロントの秀丸がもっとポップに、それこそマイケル・ジャクソンばりに歌って踊ってくれたら申しぶんないな。たぶん、お客は腹を抱えて、大笑いするだろうがね」
「ふざけないで下さい。秀丸がMJみたいにバリバリに歌って踊るなんて、そんなの馬鹿げてます。それとも遊行さんは、私たちを単なる見せ物にするつもり?」
「そうともさ、翼ちゃん。俺たちだってMJ同様、もう少しコンテンポラリーなセンスでブリリアントな音楽をしないと……どう見ても、いまのダラスはほどほどベビー、若干ウエットだからね。それなら、いっそのことマイクのかわりに美人パーカッションでも呼んで、もう少し見ばえをよくしようか?」
「遊行さんの馬鹿、わからず屋____売れる曲、一時的に認められるバンドだけが、すべてじゃない。人知れず捨てられていくゴミのなかにだって、素敵なものがたくさんあるんだから」
「うるせえよ、黙ってろ! この三味線ギタリスト」
「三味線ギタリストで、悪かったわね。自分だって、鶏ベースのくせして……」
翼は大きな瞳のふちに涙をためて、いまにも泣き出しそうになりながら叫んだ。
こうも興奮してしまうと、たがいに意地になって、なかなか収拾がつかなくなる。それを見かねたジャンボが、ちゃめっ気たっぷりにドラムのコンボを端から軽く連打して、なんとかその場の険悪なムードを変えようとする。
「にしてもさ、いきなりダラスの音楽をポップでクリスピーなものにしたところで、それこそ坊主にカツラ……カマボコみたいにゃ、板につかない」
「ジャンボ、ちゃかすんでねぇ!」
自分のことは棚にあげて、そう怒鳴った高梨遊行だったが、ややしばらくすると意識的に声のトーンを落として、
「いやね、俺は何も全面的にダラスのロック路線を捨てようって言ってるわけじゃないんだよ。ほんのちょっとだけ、小指の先ほどでも俺たちの音楽にポップの要素を加味しないかって提案してるわけさ」
いつ果てるともない不毛な論争に、忙しいプロデューサーのMがとうとう業を煮やしたのか、それまで静かに座っていた壁ぎわの椅子からすっと腰をあげた。
「みなさん、くだらない痴話ゲンカはもうおすみですか? おすみでしたら、明日のライブのことのみ考えて、しっかりリハをして下さい。それから、最後に私からひと言……特に高梨くん、君にはぜひ胸に染みいるようなマイナーコードのバラードをもっと書いていただきたい。一聴、忘れられなくなるくらい、万人受けする甘美なヤツをです。もし、そういう楽曲が一曲でも世に認められれば、きっとあなた方は生涯、このバンドで食いつないでいけるでしょう。いいですか、みなさん……これ以上の時間の浪費はやめて、スローなバラードにしてくれ。これが私からの、唯一にして最大のアドバイスです。それでは、これにて失敬させてもらいます」
Mプロデューサーがスタジオから姿を消したあとで、
「だとよ……要はつべこべ言ってないで、とにかくラブソングをやれっことね」
と高梨は誰にともなく、吐き捨てるように唸った。
その間も、秀丸はアンプのひとつに腰をかけて、終始、不気味なほどの沈黙を守っていた。彼は恋人の朝美を亡くしてから、その寡黙な性格にさらに輪をかけて寡黙になっていたが、自分の命よりも大切に思っているこのバンドが、内輪もめでまさに空中分解しかけている危機にあっても、ずっと黙り通していること自体、奇妙と言えば奇妙だった。
その証拠に秀丸は突如、座っていた一台のアンプから腰をあげると、おもむろに目の前のマイクスタンドを手にして、それを勢いよくへし折った。そして彼は、その様子を呆然と見つめている他のメンバーたちを尻目に、無言のままスタジオから出ていってしまった。
野音ライブの当日も、相変わらず朝から小糠雨が降りつづいていた。
昼すぎに雨があがって薄陽が射すようになると、そのどんよりと曇った秋空は日暮れを迎える前から、淡い闇に塗り変えられていった。
あたりが暗くなるにつれて、黒松やヒマラヤ杉などいく種類もの樹木に囲まれた日比谷、野外音楽堂の周辺には、しだいに観客らしき人影が増えてきた。
この日、ダラスはノルウェーから招待されたサイレントという外バンの前座を勤める予定になっていた。もっとも、このサイレントとは先日の武道館でも同じ舞台に立ったので、どんな音楽性を持つバンドなのか、だいたいのところは把握している。
いわば、ほとんど歌わないインストロメンタル中心の冷めた音楽性……ちょうど深く静かな森を思わせるような、アンビエントな催眠音楽____それにしても、BGM同然の平淡な彼らと、あくまでロックの魂にこだわる熱いダラスとが、なぜここでブッキングされたのか、どう考えてみてもプロデューサーMの狙いが解せなかった。
日没前に音合わせをすませたダラスのメンバーはいったん楽屋にハケていたが、秀丸だけは舞台のかみ手に立って、長いこと野音の会場内を眺めていた。反響の少ない野外ステージ、雨上がりの濡れた空席、場内に点々と植樹されたプラタナスの若木……。
実は秀丸と僕は朝っぱらから、かなり派手なケンカをしてしまい、それっきりいまだに口をきいていなかった。
その原因は、誰が朝美にあんなにも大量の違法薬物を横流ししたかという点に関してだった。秀丸はその犯人を頭からローリー小沢だと決めつけていて、そのうちあいつを半殺しの目に遭わせてやると、ものすごい剣幕で息巻いた。
かたや僕は僕で、いまさら友だちにそんな制裁を加えたところで、死んでしまった朝美は決して喜んだりしないと頑強に反論した。
長い激論の末、結果的にあえなくもの別れに終わり、あとあと僕と秀丸のあいだには、抜きがたい感情的なしこりが残った。その秀丸は、観客席の最前列に横たわって、じっとまぶたを鎖ざしていたが、そんな彼の横顔を僕はただ黙って見守っていることしかできなかった。
そうこうしているうちに、新マネージャーの松田がそろそろ最後のミーティングをして出番を待つ時間だと秀丸のことを呼びにくる。
本番直前の舞台裏____前座というだけあって、ダラスの出演はとにかく早い。野外は完全に暗くなっていたものの、遠い西空にはまだ太陽の余韻がわずかに残っている。
秀丸は集中力を高めるため、舞台ソデでひとり静かに瞳を閉じている。
そのすぐ横を翼とジャンボが、「お先に」と声をかけてステージへ向かう。あとにつづく高梨は、ベースを片手に緊張の面持ちのまま、なにも言わずに通りすぎていく。マイク河合はシーケンサーを操作する関係上、前もって舞台の後方で待機している。
観客たちのざわめきと、罵声に近いような散発的な雄叫び……。
その瞬間、秀丸は何かを決意したように眼を開くと、大きく深呼吸してマイクスタンドのあるステージ中央を睨みすえる。その姿は、まさしく人々を歓喜に導く「光音天」のイメージそのまま。悦びを食とし、ひとたび歌えばまばゆい光を口中から発する、インド古来のバラモン教の神。
そして、秀丸はお決まりのおまじないを口のなかで小さく唱える……素敵な夢を見よう、生きる喜び。あとは野となれ、山となれ!
薄明かりなかに、ジャンボが踏みしめるベードラの音だけが鳴り響く。ロック好きなら、誰もがよく知るクイーンの名曲中の名曲。
ステージ上がぱっとライトに照らされたとたん、秀丸は力強く歌いながら飛び出していく。
彼は半ば強引に観衆に拍手を求めつつ、ベードラのリズムに乗ってステージのど真ん中で高だかと拳をかかげる。さらにサビの部分では、メンバー全員が斉唱して秀丸のことをフォローし、なんとか会場の冷えた雰囲気に火をつけようとする。
秀丸がようやくそのスリーコーラスほどの唄を歌い終え、本来ならそこにブライアン・メイのギターソロが入るところで、いきなりジャンボがどかどかとバスドラを叩いて『アジアの恋人たち』のイントロを開始する。
メンバーたちが、ダラスのオリジナル曲共通の、起伏に富んだ難曲を一気に完奏すると、次には航空機が遠ざかっていくような効果音のもとに、小さく抑えたハイハットとスネアーの打音が徐々に近づいてくる。そして、そこにギターによる高低のリフと、堅実なベースの律動が重複する。
まもなくボーカルの秀丸が、スクエアーな声で『情熱の歌をあなたに』の冒頭を歌い出す。
(♪
魅惑のビジネスウーマン
愛を騙る堕天使
金を集めて
魂を忘れた
高梨遊行がベースにしては出しゃばりな、ぶりぶりしたフレーズで、シャープなギターの音と拮抗する。前座バンドの責務として、それまで秀丸は冷めた観客席を少しでも熱くしようとしたが、その反応たるや極めて思わしくなかった。おまけに、またしても小雨がパラついてきて、野外にいるお客たちの多くは、肩をすぼめて寒そうにしている。
(♪
Passion play!
無情の仲
Passion play!
でも愛されたい
Passion play!
愛されたい……
サビ終わりの翼のギターソロでは、リバーブをかけた倍音に対して、ジャンボが細かい変拍子を打ってから、曲芸的にくるくると指のあいだでステックを回転させながら、地味なドラマーとしては数少ない見せ場をつくる。
ギターの翼がガットを強くピッキングして、ひずんだ音を鳴り響かせると、すかさず秀丸は舞台のしも手に駆けて行って、ダラスのファンたちが密集している一帯を両手で煽り、返す刀でかみ手に走って、しらけている観衆にあっかんべーをして挑発する。それから何を思ったか、おもむろに照明やステージセットを支えている太い鉄骨によじ登りはじめる。
いまから、おまえたちがいちばん観たがっている最高のものを見せてやる。せいぜい、楽しめ……秀丸は心のうちでそう叫んで、雨に濡れたスチール製の骨組みを登りつづける。
やめろよ、秀丸。危ないじゃないか!?____僕は必死になって、彼のことを制止する。が、秀丸はまるで聞く耳を持とうとしない。彼は夢中になって、ただ鉄骨を昇っていく。
野外音楽堂のあちらこちらから、波涛のようなどよめきが起きる。
やめろ、秀丸。こんな危険な真似、僕が絶対に許さない!!____おまえ、死ぬつもりなのか? おまえが死ねば、僕まで一緒に死んでしまう。だって、おまえは僕のかけがえのない二重身……。
次の瞬間、折からの雨で湿った一本の鉄柱から手を滑らせて、秀丸と僕はステージの奈落に向かって斜めに落下していく。
真っ赤な悲鳴と青ざめた怒号。ギターを背中にまわした片山翼が無謀にも、とっさに秀丸と僕のことを抱きとめようとする。
けれども、僕たちは落下した勢いのまま翼の体に激突し、さらにステージのへりにワンバウンドしてから、一挙に客席側に転落した。
実際のところ、そのへんの詳しい事情は、よく覚えていない。なぜなら、当然のごとく僕と秀丸は、二人して意識を喪ってしまっていたからだ。
ひと通りの葬儀が営まれたが、秀丸だけは頑として通夜にも本葬にも出席することを拒まれた。
しかしながら、彼女の両親から疎まれるのを承知で、秀丸はきっちりした喪服を身につけて、青山墓地に隣接している葬儀場に赴いた。たとえ、葬儀そのものには参列できなくても、せめて朝美の遺体が焼却炉で灰になるまで、そのそばで一緒にすごしたいと思ったからだ。
朝美の本葬の日はあいにくの天気で、朝からずっと小雨が降りつづいていた。
遺族の気持ちを配慮して、秀丸はそぼ降る雨のなか、傘もささずに人気のない斎場のロータリーにある巨木の陰に隠れて、遠くから彼女の葬儀が行われている建物を拝礼した。
前もって葬儀場のフロント係に確認しておいたので、だいたいの式次第は見当がつく。あと数分もすれば、焼き場に運ばれた朝美の体は、この世の小さな構成単位である炭素にまで還元されてしまうことだろう。
数分後、秀丸は故人との最後の別れをした遺族の目に触れないように、早ばやとその場から消えた。
道々、彼はこれからずぶ濡れになった喪服を着替えるために、ひとまず広尾のマンションに帰ろうか、それともこのまま市ヶ谷の練習スタジオに直行しようかどうしようかと迷っていた。
あの陰惨な記憶が残る広尾の現場には、二度と戻りたくない。さりとて今日は、市ヶ谷でバンドの重要な練習に行かなければならない。それは明日に控えている野音の前座ライブの最終チェックをするためだが、それ以外にも他のメンバーたちは、年末にリリースする予定のファーストアルバムの「録り」に懸命になっているだろうし、連日のスタジオワークで、すでにあっぷあっぷの状態だろう。
各パートの録音が終わってから、最後に歌入れをする秀丸はまだそれほど追いつめられた状況にはない。けれども、明日のライブの通し練習だけには、どうしても参加しなければならないのだ。
いずれにしろ、現在地から広尾に行くのも市ヶ谷に行くのも、時間的にさほど違いはなかった。秀丸は意を決して、ずぶ濡れの喪服姿のまま、市ヶ谷のスタジオに向かうことにした。
レコーディングスタジオの厚ぼったい防音扉を開くと、その内部に圧迫されていた騒音がいっせいに外にあふれ出てくる。床を埋めつくしたシールドやエフェクターボードを避けながら、秀丸は黙ってマイクスタンドの前まで歩いていく。
すると、もう殺気立っている高梨が、待ってましたとばかりに不満たらしく声をかけてきた。
「遅いぞ、秀丸____それになんなんだよ、そのずぶ濡れのカラスみたいなかっこうは……おまえ、まさかモッズにでも転向するつもりなのか?」
朝美の葬儀の日どりを知らない高梨遊行は、恋人の不慮の死から秀丸の動静を常にはらはらする思いで見守っていたせいか、その反動からつい胸のうちにしまっていた憂苦が、心ない刺々しい言葉となって噴出したようだ。そんな彼の無神経な言動に、片山翼がギターを肩にかけたまま、険しい非難の眼ざしを投げる。
秀丸が何げなくメンバーひとり一人を見渡したところ、いずれも疲労困憊の体で、まるっきり弾みのない虚ろな表情をしている。それにスタジオ内の不穏な空気から、おそらくほんのちょっと前までアルバムの構成や音づくりをめぐって、かなり白熱した議論を戦わせていただろうことが、如実に伝わってくる。
「俺ら、ダラスの音楽性は根が暗いから、しょせん今日的じゃないんだよね」
そう言ってバンドリーダーの高梨が、またもや議論を蒸し返した。
「なにせ、いまのご時勢は社会批判や反戦平和より、バカ丸出しの可愛い子ちゃんが、お手々つないで愛を歌えば、それだけでたちまちヒットソングになる時代だからね」
「だからって、単に明るいだけの前向きソングや愛の歌ばっかりじゃ、ロックの魂自体がやせ衰えちゃいます」
と翼は躍起になって、高梨に反論する。
「たとえアルバムが売れなくたって、おいしいものが食べられなくたって、ダラスはダラスの信じる道を貫けば、それでいいじゃないですか?」
「翼ちゃん、実にご立派だよ。ご立派だが、まるでたちの悪い宗教の話かなんかを聞かされてるような気分だな。そんなのは、ただの空理空論、寝ごとたわごとの世界でしょう。翼ちゃんは二、三日食えなくても、いいダイエットになるぐらいにしか考えてないだろうけど、このダラスって船の舵とりを任されている俺としては、ことはそう簡単じゃないんだよ。もしも、メンバー全員が路頭に迷うようなことがあれば、それは少なからずこの俺の責任だからね」
通常は惚れた女を甘やかしてばかりいる彼だが、今日はいつになく高圧的な態度を崩さなかった。そこにジャンボが急に口をはさんで、
「たしかに、リーダーさんのおっしゃる通り____俺も財布の中身がツェー万をきると、とたんに不安になる。どんなに高尚なことを言ってもさ、やっぱ腹が減っては戦ができない。しかしだよ、その反面、人間は名誉や誇りのために血を流し、また時に命を捨てることだってある……ところで、スタジオミュージシャンの経験豊富な河合くんは、どう思うね?」
と高梨と翼の意見対立を均そうとして、興味なさげにぼんやりしているマイク河合に話をふった。
「僕には、みなさんの参考になるような確固たる意見はないです。ただ、ムダな論争をしてるよりも、運を天に任せて自分たちがいいと思う音楽をやりつづけましょうよ。よく言うじゃないですか、人事を尽くして店長になれってね」
「それを言うなら、人事を尽くして天命を待てだろう。おまけに、それじゃ運を天に任せていることにもなってない」
「知ってますよ、そんなことくらい……ユーモアです、ただのユーモア。まったく、遊行さんはユーモアのセンスが、かけらもないんだから」
その時、プロデューサーのMがプクちゃんにかわる新マネージャーの松田をともなって姿を現した。複数の売れっ子バンドをかけ持ちしている多忙な彼が、わざわざいち新人バンドの録音スタジオに臨場するのは、めったにあることではない。
Mプロデューサーの突然の来訪で、バンド内の対立もいったんは収束するかと思われたが、高梨遊行はめずらしく彼に媚びるような真似はせず、そのまま不躾に議論をつづけた。
「あれ、どこまで話したっけ? とにかく、俺にはダラスがこのままでいいとは、とうてい思えないんだ」
「じゃ遊行さんは、いったんどうすればいいと思ってるんですか?____具体的に教えて下さいよ」
と片山翼が顔を赤らめて、きつく問いつめた。
「そうね、たとえばフロントの秀丸がもっとポップに、それこそマイケル・ジャクソンばりに歌って踊ってくれたら申しぶんないな。たぶん、お客は腹を抱えて、大笑いするだろうがね」
「ふざけないで下さい。秀丸がMJみたいにバリバリに歌って踊るなんて、そんなの馬鹿げてます。それとも遊行さんは、私たちを単なる見せ物にするつもり?」
「そうともさ、翼ちゃん。俺たちだってMJ同様、もう少しコンテンポラリーなセンスでブリリアントな音楽をしないと……どう見ても、いまのダラスはほどほどベビー、若干ウエットだからね。それなら、いっそのことマイクのかわりに美人パーカッションでも呼んで、もう少し見ばえをよくしようか?」
「遊行さんの馬鹿、わからず屋____売れる曲、一時的に認められるバンドだけが、すべてじゃない。人知れず捨てられていくゴミのなかにだって、素敵なものがたくさんあるんだから」
「うるせえよ、黙ってろ! この三味線ギタリスト」
「三味線ギタリストで、悪かったわね。自分だって、鶏ベースのくせして……」
翼は大きな瞳のふちに涙をためて、いまにも泣き出しそうになりながら叫んだ。
こうも興奮してしまうと、たがいに意地になって、なかなか収拾がつかなくなる。それを見かねたジャンボが、ちゃめっ気たっぷりにドラムのコンボを端から軽く連打して、なんとかその場の険悪なムードを変えようとする。
「にしてもさ、いきなりダラスの音楽をポップでクリスピーなものにしたところで、それこそ坊主にカツラ……カマボコみたいにゃ、板につかない」
「ジャンボ、ちゃかすんでねぇ!」
自分のことは棚にあげて、そう怒鳴った高梨遊行だったが、ややしばらくすると意識的に声のトーンを落として、
「いやね、俺は何も全面的にダラスのロック路線を捨てようって言ってるわけじゃないんだよ。ほんのちょっとだけ、小指の先ほどでも俺たちの音楽にポップの要素を加味しないかって提案してるわけさ」
いつ果てるともない不毛な論争に、忙しいプロデューサーのMがとうとう業を煮やしたのか、それまで静かに座っていた壁ぎわの椅子からすっと腰をあげた。
「みなさん、くだらない痴話ゲンカはもうおすみですか? おすみでしたら、明日のライブのことのみ考えて、しっかりリハをして下さい。それから、最後に私からひと言……特に高梨くん、君にはぜひ胸に染みいるようなマイナーコードのバラードをもっと書いていただきたい。一聴、忘れられなくなるくらい、万人受けする甘美なヤツをです。もし、そういう楽曲が一曲でも世に認められれば、きっとあなた方は生涯、このバンドで食いつないでいけるでしょう。いいですか、みなさん……これ以上の時間の浪費はやめて、スローなバラードにしてくれ。これが私からの、唯一にして最大のアドバイスです。それでは、これにて失敬させてもらいます」
Mプロデューサーがスタジオから姿を消したあとで、
「だとよ……要はつべこべ言ってないで、とにかくラブソングをやれっことね」
と高梨は誰にともなく、吐き捨てるように唸った。
その間も、秀丸はアンプのひとつに腰をかけて、終始、不気味なほどの沈黙を守っていた。彼は恋人の朝美を亡くしてから、その寡黙な性格にさらに輪をかけて寡黙になっていたが、自分の命よりも大切に思っているこのバンドが、内輪もめでまさに空中分解しかけている危機にあっても、ずっと黙り通していること自体、奇妙と言えば奇妙だった。
その証拠に秀丸は突如、座っていた一台のアンプから腰をあげると、おもむろに目の前のマイクスタンドを手にして、それを勢いよくへし折った。そして彼は、その様子を呆然と見つめている他のメンバーたちを尻目に、無言のままスタジオから出ていってしまった。
野音ライブの当日も、相変わらず朝から小糠雨が降りつづいていた。
昼すぎに雨があがって薄陽が射すようになると、そのどんよりと曇った秋空は日暮れを迎える前から、淡い闇に塗り変えられていった。
あたりが暗くなるにつれて、黒松やヒマラヤ杉などいく種類もの樹木に囲まれた日比谷、野外音楽堂の周辺には、しだいに観客らしき人影が増えてきた。
この日、ダラスはノルウェーから招待されたサイレントという外バンの前座を勤める予定になっていた。もっとも、このサイレントとは先日の武道館でも同じ舞台に立ったので、どんな音楽性を持つバンドなのか、だいたいのところは把握している。
いわば、ほとんど歌わないインストロメンタル中心の冷めた音楽性……ちょうど深く静かな森を思わせるような、アンビエントな催眠音楽____それにしても、BGM同然の平淡な彼らと、あくまでロックの魂にこだわる熱いダラスとが、なぜここでブッキングされたのか、どう考えてみてもプロデューサーMの狙いが解せなかった。
日没前に音合わせをすませたダラスのメンバーはいったん楽屋にハケていたが、秀丸だけは舞台のかみ手に立って、長いこと野音の会場内を眺めていた。反響の少ない野外ステージ、雨上がりの濡れた空席、場内に点々と植樹されたプラタナスの若木……。
実は秀丸と僕は朝っぱらから、かなり派手なケンカをしてしまい、それっきりいまだに口をきいていなかった。
その原因は、誰が朝美にあんなにも大量の違法薬物を横流ししたかという点に関してだった。秀丸はその犯人を頭からローリー小沢だと決めつけていて、そのうちあいつを半殺しの目に遭わせてやると、ものすごい剣幕で息巻いた。
かたや僕は僕で、いまさら友だちにそんな制裁を加えたところで、死んでしまった朝美は決して喜んだりしないと頑強に反論した。
長い激論の末、結果的にあえなくもの別れに終わり、あとあと僕と秀丸のあいだには、抜きがたい感情的なしこりが残った。その秀丸は、観客席の最前列に横たわって、じっとまぶたを鎖ざしていたが、そんな彼の横顔を僕はただ黙って見守っていることしかできなかった。
そうこうしているうちに、新マネージャーの松田がそろそろ最後のミーティングをして出番を待つ時間だと秀丸のことを呼びにくる。
本番直前の舞台裏____前座というだけあって、ダラスの出演はとにかく早い。野外は完全に暗くなっていたものの、遠い西空にはまだ太陽の余韻がわずかに残っている。
秀丸は集中力を高めるため、舞台ソデでひとり静かに瞳を閉じている。
そのすぐ横を翼とジャンボが、「お先に」と声をかけてステージへ向かう。あとにつづく高梨は、ベースを片手に緊張の面持ちのまま、なにも言わずに通りすぎていく。マイク河合はシーケンサーを操作する関係上、前もって舞台の後方で待機している。
観客たちのざわめきと、罵声に近いような散発的な雄叫び……。
その瞬間、秀丸は何かを決意したように眼を開くと、大きく深呼吸してマイクスタンドのあるステージ中央を睨みすえる。その姿は、まさしく人々を歓喜に導く「光音天」のイメージそのまま。悦びを食とし、ひとたび歌えばまばゆい光を口中から発する、インド古来のバラモン教の神。
そして、秀丸はお決まりのおまじないを口のなかで小さく唱える……素敵な夢を見よう、生きる喜び。あとは野となれ、山となれ!
薄明かりなかに、ジャンボが踏みしめるベードラの音だけが鳴り響く。ロック好きなら、誰もがよく知るクイーンの名曲中の名曲。
ステージ上がぱっとライトに照らされたとたん、秀丸は力強く歌いながら飛び出していく。
彼は半ば強引に観衆に拍手を求めつつ、ベードラのリズムに乗ってステージのど真ん中で高だかと拳をかかげる。さらにサビの部分では、メンバー全員が斉唱して秀丸のことをフォローし、なんとか会場の冷えた雰囲気に火をつけようとする。
秀丸がようやくそのスリーコーラスほどの唄を歌い終え、本来ならそこにブライアン・メイのギターソロが入るところで、いきなりジャンボがどかどかとバスドラを叩いて『アジアの恋人たち』のイントロを開始する。
メンバーたちが、ダラスのオリジナル曲共通の、起伏に富んだ難曲を一気に完奏すると、次には航空機が遠ざかっていくような効果音のもとに、小さく抑えたハイハットとスネアーの打音が徐々に近づいてくる。そして、そこにギターによる高低のリフと、堅実なベースの律動が重複する。
まもなくボーカルの秀丸が、スクエアーな声で『情熱の歌をあなたに』の冒頭を歌い出す。
(♪
魅惑のビジネスウーマン
愛を騙る堕天使
金を集めて
魂を忘れた
高梨遊行がベースにしては出しゃばりな、ぶりぶりしたフレーズで、シャープなギターの音と拮抗する。前座バンドの責務として、それまで秀丸は冷めた観客席を少しでも熱くしようとしたが、その反応たるや極めて思わしくなかった。おまけに、またしても小雨がパラついてきて、野外にいるお客たちの多くは、肩をすぼめて寒そうにしている。
(♪
Passion play!
無情の仲
Passion play!
でも愛されたい
Passion play!
愛されたい……
サビ終わりの翼のギターソロでは、リバーブをかけた倍音に対して、ジャンボが細かい変拍子を打ってから、曲芸的にくるくると指のあいだでステックを回転させながら、地味なドラマーとしては数少ない見せ場をつくる。
ギターの翼がガットを強くピッキングして、ひずんだ音を鳴り響かせると、すかさず秀丸は舞台のしも手に駆けて行って、ダラスのファンたちが密集している一帯を両手で煽り、返す刀でかみ手に走って、しらけている観衆にあっかんべーをして挑発する。それから何を思ったか、おもむろに照明やステージセットを支えている太い鉄骨によじ登りはじめる。
いまから、おまえたちがいちばん観たがっている最高のものを見せてやる。せいぜい、楽しめ……秀丸は心のうちでそう叫んで、雨に濡れたスチール製の骨組みを登りつづける。
やめろよ、秀丸。危ないじゃないか!?____僕は必死になって、彼のことを制止する。が、秀丸はまるで聞く耳を持とうとしない。彼は夢中になって、ただ鉄骨を昇っていく。
野外音楽堂のあちらこちらから、波涛のようなどよめきが起きる。
やめろ、秀丸。こんな危険な真似、僕が絶対に許さない!!____おまえ、死ぬつもりなのか? おまえが死ねば、僕まで一緒に死んでしまう。だって、おまえは僕のかけがえのない二重身……。
次の瞬間、折からの雨で湿った一本の鉄柱から手を滑らせて、秀丸と僕はステージの奈落に向かって斜めに落下していく。
真っ赤な悲鳴と青ざめた怒号。ギターを背中にまわした片山翼が無謀にも、とっさに秀丸と僕のことを抱きとめようとする。
けれども、僕たちは落下した勢いのまま翼の体に激突し、さらにステージのへりにワンバウンドしてから、一挙に客席側に転落した。
実際のところ、そのへんの詳しい事情は、よく覚えていない。なぜなら、当然のごとく僕と秀丸は、二人して意識を喪ってしまっていたからだ。
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