意味が分かると怖い話【祝:お気に入り数130突破!】

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■フェーズ:062『ソイレント・グリーン』

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Title:『ソイレント・グリーン』

鬱蒼とした森の奥深くに佇む研究所。
そこで「未曽有の危機」に備え、
避難壕の開発を続ける博士がいた。

「ガンツ博士、
これが新発明のシェルター11ですか?」

博士の研究を追い続けている
アメリカ人記者ビル・ハーベイは、
コンクリートの壁に覆われた
無骨な造りの室内を見渡し、
博士に視線を投げかけた。

「そう! その通り!
地震、隕石、核……。
どのような災害にも対応し、
ノアの箱舟の如く人類を救済する
ハイパープロテクションセーフハウス。
それがシェルター11なのだよ!」

奇抜な発明品を生み出し、
科学界の異端児と呼ばれる博士の名は、
リヒャルト・フォン・ガンツ。

ガンツ博士はふふんと鼻を鳴らすと、
白衣をひるがえして、
自慢のセーフハウスを満足気に見渡した。

だが、ビルの反応は薄く、
その瞳には懐疑の色が浮かんでいた。

「博士の説明を聞いていると、
確かに偉大そうではありますが……。
見た目は、ただの地下室にしか見えませんね。
これで本当に身を守り、
生き延びることができるんですかい?」

「ほっほっほ、侮ってはいかん。
シェルター11の外壁は
5フィート(約1.5m)もの厚さを誇り、
天井の厚さは6フィート(約1.8m)で鉄筋コンクリート製、
これは巡航ミサイルや地中貫通爆弾に耐える強度なのだ。
だが……真の発明は彼女達だよ」

ガンツ博士は指をパチリと鳴らすと、
プレイメイトを彷彿とさせる
グラマラスな5人の美女を呼び寄せた。

「わお! こいつはグレートですね!
でも、彼女達の何が発明品なんです?
まさか……ハーレム体験ができる、
いかがわしいシェルターが
世紀の大発明だなんて言わないですよね?」

「キミは何も分かってないな……。
彼女達は私が開発した人類救済メイド:ミールだ」

「人類……救済ですか?」

「メイド:ミールは自分好みのビジュアルに
カスタマイズできるだけでなく、
主人に献身的に付き従い、身の回りの世話をし、
娯楽を提供してくれるのだよ。」

「閉鎖された空間での避難生活が、
華やかになりそうですね……」

「じゃろ? しかも、彼女達はだな……」

博士は鼻の穴を膨らませ興奮気味に話を続けた。
と――その時。
シェルターの警報装置が、
異常を知らせる警告音を発した。

「博士! これは!?」

「どうやら、すぐ近くにある
活火山の活動が活発になり
噴火したようじゃ!」

「噴火ですか!? そりゃ大変だ!
早く避難しなくちゃ!!!」

ビルは完全に取り乱した様子で、
自分の荷物をまとめ始めた。
だが、そんなビルの背中を
ガンツ博士がぽんと叩く。

「こんな時こそシェルター11だ!
さぁ、私と一緒に最高の
避難生活を送ろうではないか!」

ガンツ博士はビルの手を引くと、
メイド:ミール達と共に、
シェルター11の奥深くへと消えて行った。

それから3ヵ月後――。
火山の脅威が去った頃、
シェルター11からの救難信号を受け取った
ハイパーレスキューチームは
火山灰に埋もれたシェルター11を
掘り起こすことに成功していた。

「ガンツ博士……無事ですか!?」

防護服に身を包んだ、
完全防備のレスキュー隊員が
シェルター11に足を踏み入れる。
するとそこには――。

「おーい! こっちだ、早くきてくれい!」

丸々と太ったガンツ博士と、
ガリガリに痩せこけたビルの姿があった。

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