婚約破棄?あなたが婚約していたのは私の妹でしょう?

やノゆ

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第3話・勘違いの理由、その1

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ーーーカスガイガラスのような美しい羽の色をした髪を、指先でくるくるといじる少女が、馬車に揺られていた。

黒曜石のような瞳は不満げな色を映し、小さな唇は先がちょこんととんがっている。
熟れた桃のような色をした頬を、まるでリスのようにプクッと膨らませ、私、不満です、と隠すことなく顔に映す彼女は、名をカレン・アバーストと言った。

今日は、まちに待った彼女の誕生日パーティーである。
自身の最愛の姉が、微笑をたたえながら、自分へ祝福の言葉を述べる。こんなにも嬉しい日はない。

カレンは、自身の誕生日が、毎年楽しみで仕方ないのである。

3年前、姉から貰ったスイートピーがモチーフのイヤリングに、一昨年貰った淡い橙色のドレス、去年もらったレースのチョーカー。

どれもこれも一級品、最高にセンスのいいプレゼントである。
何より、姉から貰ったものなら、道端の花でも押し花にして捨てずに大切にとっておく程だ。可愛らしいプレゼント達が、大切じゃないわけが無い。

この日を、どんなに楽しみにしていたことか。

それなのに、それなのに、どうして…。

(よりにも寄って今日、陛下から呼び出しがあるのよ…!)

そう、彼女の不機嫌の理由は、これである。



理由は明かされないまま、何故か国王陛下に招かれた、いや、呼び出された彼女は、アバースト伯爵家当主とともに王城へ向かった。

最近、平民たちの間で流行していた病の原因、飲水の汚染について5年間研究、そして実行し、病の流行を止めたアバースト伯爵家の当主は、近いうちに候爵へ叙爵される。

もしかしたら、そのことなのかもしれないが、それだったらカレンまで呼び出す必要はないのである。

だが、なぜ呼び出されたのかは、すぐにわかった。


なんと、事実状はカレンの婚約者であるレイトン・ビーストアが婚約破棄を要請しに来たという。しかも、カレンではなく、姉との婚約だそうだ。

最初はどういうことだと首を傾げていたが、執事の口から語られた真実に、唖然とした。








なんと、レイトンは勘違いに勘違いを重ねて自身の姉を婚約者と認識していたのである。

語ると少し長くなるが、説明しようーーー

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