宰相さんちの犬はちょっと大きい─契約編─

すみよし

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07 下山

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 日没まであと三時間ほど。
 シファは山を降り始めた。するとどんどん天候が悪くなってくる。九合目はすぐに過ぎ、八合目、七合目と下りるほどに荒れてくる。

 魔物の数も増えてきた。結界を張っているとはいえ、魔物の気配は気に障る。

 竜王さまの威圧から自分を守るために防御の結界を張り続けていたせいで、魔力の残りも心もとない。

 五合目、ついにシファは面倒になって、自分にかけていた魔封じの結界を解く。

 人の気配を察知した魔物が、じわりじわりと近づいてくる。

 シファは愛用の槍をとりだし、構え、魔物の群れの中を一気に駆け抜けた。

  気がつけば近くをシロが駆けている。

「あら」

 シファが、槍を使うことを理解してのことか、右やや前方を先導するように駆けていく。

 後ろを見れば、シファを守るように、ビャク、ハク、ユキが駆けてくる。

 シファは試してみたい気になった。

「お願いできる?」

 シファは左手の熊のような魔物を払った後、シロに言ってみる。

 がう、と唸ったのが、諾であったらしい。そのまま走るのを緩めてシファが止まる。シロは反転して飛び出す。
 そうしてシロは追ってきた魔物の群れを火炎で一掃したのである。

 ※

 まあ、口から火を吐いていたけれど、毛が焦げたりはしないのかしら?

 戻ってきたシロの首を撫でてやりながら、シファは確かめてみる。しかし、シロの豊かな毛は戦闘前と変わらない。不思議なものだ。

「強いのねシロ。それにとっても賢いわ」

 わしゃわしゃもふもふとシロを撫でてやると、シロは目を細めて嬉しそうにしている。

 すると、シファの背中にユキが鼻先をくっつけてきた。

「ユキもハクもビャクもありがとう。私を守ってくれたのね」

 ユキの首に抱きついてギュッとするとユキも尻尾をパタパタと振る。残りの二頭にもそうしてやって、シファは言う。

「この分なら十分間に合いそうだわ」

 それからシファは四頭に戦闘のほとんどを任せながら山を降りた。シファが指示を出さなくても、四頭はうまく協力して魔物を退けてくれた。

 四頭で一つの精霊、と竜王さまは言っていたが、それぞれに性格は違うようだ。それでいて統率が取れている。

 これは、使い勝手がいい。
 そして、かわいい。

 シファは、契約に狼たちを選んだことを良かったと思った。この時は。
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