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15 誤解と気合と誤解の産物
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シファが真っ赤になったさまを、ヨシュアは砂漠の熱で体調を崩したのだと理解したらしい。
日向で話させたことを詫びるヨシュアは、シファを木陰へと移動させる。シファはそれに申し訳なく思いながら素直に従った。
水を、と勧められたのは流石に遠慮した。砂漠で万一のことがあって水を切らせば命に関わる。自分のものがあります、と言って、シファはヨシュアの前で持参の水を飲んで見せる。それにヨシュアはホッとしたようだ。
そう言えば名乗っていなかった、とヨシュアが名乗る。シファも名乗った。そうする頃にはシファは落ち着いてきた。それと共に恥ずかしさも募るが、そこは元女官の技というか気合いで押し隠した。
「どうしてこんなところに?」
ヨシュアが聞くのに、シファは結局正直に告げることにした。
「あなたを探していたのです」
「私を?」
ヨシュアはギョッとしたようだ。おそらく後ろ暗いことがいろいろあるのだろうなと、シファは思う。自分は西の宮に寄宿しているだけで、なんの権限ももらっていないが、宮に仕える者以外はそうは思うまい。いや、宮に仕えている者にさえ、何か密命を帯びているのではと警戒されることもあるシファである。
「はあ、しかし、どうやって私を見つけたのです?」
警戒をあらわにするヨシュアに、シファは言う。
「シロたちが見つけてくれたのです」
犬ですからね、と言うシファにヨシュアが成る程と頷く。
「大人しくて変わっていて、賢い犬ですね」
「はい」
何事か含ませたヨシュアの言い方に、シファがにこりと笑う。そして言う。
「もしよろしければ、ですが。この子達を番犬として使って頂けませんか?」
「番犬、ですか?」
「はい。私はこの子達がどれだけのことができるのか、色々と試してみたいのです。
人は殺めません。少し変わっておりますから、餌も水も要りません。もちろん護衛の謝礼を求めることはありません。私があなたにお礼を差し上げることもできませんが。いかがでしょう?」
「しかし、なぜ私に?」
「遠く離れても私の頼みを聞くか、知りたいのです。それから、今一番狙われているのがあなたの商隊だからです」
「なるほど」
ヨシュアは苦笑いで言う。ヨシュアは、しばらく考えたあとシファに言った。
「商隊の安全に関わることですから私だけでは決めることができません。
仲間にもあなたと犬たちを引き合わせてもよろしいですか? 実際に護衛をしてもらって皆と協議して決めたいのです」
「はい。もちろん結構でございます。お引き合わせくださいまし」
微笑むシファを見ながらヨシュアは思う。
──隠していることがある。
初めの浮かれた気分から抜け出た商人はシファからそれを読み取ろうとしたが、無理だと判断する。
※
ひとまず断られずに済んだシファはホッとする。顔合わせの日を決めて、それでは、と帰ろうとしてシファは迷う。
この日覆いの布はここでお返しする方が良いかしら? 洗ってから返したいけれど、すぐ必要となるものだったら困るだろう。
シファが聞くと、ヨシュアはそのままお持ちくださいと言う。
「まだ暑いですから、念のためお使いください。予備のものですから次の顔合わせの時にお持ち頂ければ」
本当は暑さも結界で防げるシファは気まずくなるが、ヨシュアの勧めに従うことにした。
※
礼を言ってシファは帰っていった。ヨシュアはそれを見送る。
明らかに男物だと分かる布をシファが羽織っている。
自分はシファの体調を心配しただけであって、あくまで他意はない。
おそらく仲間からあれこれ言われるだろが、他意はないと言い通そう。
そう心の中で言いながら、ヨシュアはあの布をはためかせて市場をいくシファを想像して、楽しい気分になるのだった。
※
さて、そんな若い二人を見ていた人物が三人。木に寄りかかって下を向いて肩を震わせる西の宮、砂に転がって腹を抱えて笑う東の宮、そんな宮さま方を冷たく見るカイルであった。
日向で話させたことを詫びるヨシュアは、シファを木陰へと移動させる。シファはそれに申し訳なく思いながら素直に従った。
水を、と勧められたのは流石に遠慮した。砂漠で万一のことがあって水を切らせば命に関わる。自分のものがあります、と言って、シファはヨシュアの前で持参の水を飲んで見せる。それにヨシュアはホッとしたようだ。
そう言えば名乗っていなかった、とヨシュアが名乗る。シファも名乗った。そうする頃にはシファは落ち着いてきた。それと共に恥ずかしさも募るが、そこは元女官の技というか気合いで押し隠した。
「どうしてこんなところに?」
ヨシュアが聞くのに、シファは結局正直に告げることにした。
「あなたを探していたのです」
「私を?」
ヨシュアはギョッとしたようだ。おそらく後ろ暗いことがいろいろあるのだろうなと、シファは思う。自分は西の宮に寄宿しているだけで、なんの権限ももらっていないが、宮に仕える者以外はそうは思うまい。いや、宮に仕えている者にさえ、何か密命を帯びているのではと警戒されることもあるシファである。
「はあ、しかし、どうやって私を見つけたのです?」
警戒をあらわにするヨシュアに、シファは言う。
「シロたちが見つけてくれたのです」
犬ですからね、と言うシファにヨシュアが成る程と頷く。
「大人しくて変わっていて、賢い犬ですね」
「はい」
何事か含ませたヨシュアの言い方に、シファがにこりと笑う。そして言う。
「もしよろしければ、ですが。この子達を番犬として使って頂けませんか?」
「番犬、ですか?」
「はい。私はこの子達がどれだけのことができるのか、色々と試してみたいのです。
人は殺めません。少し変わっておりますから、餌も水も要りません。もちろん護衛の謝礼を求めることはありません。私があなたにお礼を差し上げることもできませんが。いかがでしょう?」
「しかし、なぜ私に?」
「遠く離れても私の頼みを聞くか、知りたいのです。それから、今一番狙われているのがあなたの商隊だからです」
「なるほど」
ヨシュアは苦笑いで言う。ヨシュアは、しばらく考えたあとシファに言った。
「商隊の安全に関わることですから私だけでは決めることができません。
仲間にもあなたと犬たちを引き合わせてもよろしいですか? 実際に護衛をしてもらって皆と協議して決めたいのです」
「はい。もちろん結構でございます。お引き合わせくださいまし」
微笑むシファを見ながらヨシュアは思う。
──隠していることがある。
初めの浮かれた気分から抜け出た商人はシファからそれを読み取ろうとしたが、無理だと判断する。
※
ひとまず断られずに済んだシファはホッとする。顔合わせの日を決めて、それでは、と帰ろうとしてシファは迷う。
この日覆いの布はここでお返しする方が良いかしら? 洗ってから返したいけれど、すぐ必要となるものだったら困るだろう。
シファが聞くと、ヨシュアはそのままお持ちくださいと言う。
「まだ暑いですから、念のためお使いください。予備のものですから次の顔合わせの時にお持ち頂ければ」
本当は暑さも結界で防げるシファは気まずくなるが、ヨシュアの勧めに従うことにした。
※
礼を言ってシファは帰っていった。ヨシュアはそれを見送る。
明らかに男物だと分かる布をシファが羽織っている。
自分はシファの体調を心配しただけであって、あくまで他意はない。
おそらく仲間からあれこれ言われるだろが、他意はないと言い通そう。
そう心の中で言いながら、ヨシュアはあの布をはためかせて市場をいくシファを想像して、楽しい気分になるのだった。
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さて、そんな若い二人を見ていた人物が三人。木に寄りかかって下を向いて肩を震わせる西の宮、砂に転がって腹を抱えて笑う東の宮、そんな宮さま方を冷たく見るカイルであった。
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