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前日譚、そして
前日譚7.この力(※4)が騎士王たる由縁だ……!(バグ王) ※4:チート
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…………。
キラキラと光が輝いている。
その眩い召喚石を見つめながら、俺は俺の想いを抱きしめる。
……ああ、まもなくだ。
ずっと手を出さずにいた彼女を、ようやく手に入れるために、行動する。
主と定め、付き添ってきたけれど、それも今日からは在り方が変わる。
彼女が――ユイが、俺たちから離れようとするのなら、もう我慢はしない。
彼女の事情はわからない。あんなにも別れを惜しみ、嘆き、涙し、それでも俺をほっしている。ならば、離れないでいたらいいじゃないかと思うのに、どうやらそれもままならないらしい。
サービス終了。
その言葉の正しい意味はわかりかねるが、俺たちを問答無用で召喚しておいて、彼女は自分だけ去っていくつもりらしい。
ならば、俺だってとるべき行動はひとつだ。
逃げられると思うな。
俺たちも、勝手に彼女を召喚してやればいい。
昨日の夜、導手が眠ったその後に、若いバグウィルと、首領が力を注ぎ、座標を固定した召喚石。
導手の身体は居室にあり、俺たちの意志では召喚の間まで連れてくることはかなわない。
ユイの声は聞こえても、俺たちの言葉は一部しか届かない。一方通行なユイの意識は絶対で、俺たちは逆らうこともできなくなる。
それはこの世界のシステムだ。
本当はこの場に導手の身体があれば手っ取り早いのだが、できないならできないで、別の手段を講じるしかなかった。
昨夜注がれた若い俺と、首領の魔力を媒介に、道を導手――すなわち、あの人形のような存在へと繋ぐ。
向こうには若い俺と首領がいる。
首領が召喚石から導手への道を固定し、彼女の存在が流れ着いたそのあと、若い俺が彼女の存在を固定する。
これには粘膜接触が必要だが、仕方がない。
召喚石を動かすことは俺しかできないし、彼女の存在を召喚することが最優先だ。ファーストキスは、譲ってやる。
……さて。ユイの意識をこちらと繋いでいる魔法が切れるのは、まもなくだ。
その直前を狙って、彼女をここへ召喚する。
彼女の世界と、この世界の道がわずかに繋がっているそのギリギリに。
向こうの状況がどうなっているのかもわからない。
だから、もし俺たちの動きに気づいた向こうの世界からの妨害が入ったとしても、きっと間に合わないであろう、その瞬間に、だ。
完全に道を閉ざしてしまえば、もう一度繋ぎ直すには多少の時間を要するだろう。
向こうの世界にどのような魔法の使い手がいるのかは知らないが、俺は魔力でも勝っている自信がある。
そしてすぐに、この召喚石を破壊する。
召喚石さえなければ、向こうからの干渉はできなくなるはずだ。
ユイが帰る道は、完全に絶たれる。
こんなものはもう必要ない。
新たな同胞も、いらない。
俺たちがいれば十分だろう? なあ、ユイ?
もうこの世界は平和に満たされている。彼女が元の世界に戻る手段は、徹底的に壊す。それだけだ。
そのためには、俺だってありったけの力を込めねばならないだろう。
しばらく動けなくなるだろうが、仕方がない。
俺はこの城の中でも、最も神に近い力を宿した人間だ。
ユイを召喚するのも、召喚石を破壊するのも、全部、全部俺がやる!
他のバグウィルでもない。
この、約束されし黎明の騎士王が! 辿りついた先の未来で! 真の主に仕えるために、俺は俺で摑み取るんだ!
俺の命を捧げるべき主を。
さあ!
そうして俺は、俺の中に溜まっていた魔力をすべて、放出する――――!!
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